第142話 『新たな敵』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第142話
『新たな敵』
ルーパを拘束したイタッチは、ルーパを捕らえたアームを地面に刺し、宙吊りにしておいてルーパが動けない間にダッチを解放した。
「大丈夫か? ダッチ」
「すまん、油断した……」
「油断しすぎだ。ま、お前のおかげでルーパの切り札が分かった。それで勝てたんだ、ありがとな」
イタッチは感謝を述べながら、ダッチが立つのを手助けするために手を伸ばす。しかし、ダッチは顔を赤くして逸らす。
「感謝される筋はない」
そしてイタッチの手を取らずに、自力で立ち上がる。
ダッチの無事も確認し、イタッチとダッチは捕まえたルーパの元へ向かう。
「さて、それじゃあそろそろ、お前達が何者か。教えてもらおうか?」
イタッチはそう言って捕まえたルーパを見上げる。ルーパは答える気はないようで、口をへの字にして視線を逸らす。
「おい、イタッチ。お前達ってどういうことだ? コイツは単独じゃないのか?」
「会った時にCOLORSって名乗ってたろ。それに単独犯にしては装備が充実しすぎてる……」
イタッチ達がそんな会話をしていると、川上から何か流れてきた。
「なんだあれ? 巨大なレモン……?」
それは半径2メートル以上ある巨大なレモン。
ダッチが不思議がって流れてくるレモンを見つめると、イタッチ達の横まで流れてきて、レモンがパカっと開いた。
「いかにも、COLORSとは俺達のことでもあーる!!」
レモンが開くと、中から黄色い毛のインコが顔を出した。腰に羽を当てて威張る姿勢のインコ。
自己紹介でもして、レモンから飛び降りるのかと思ったが、そのままレモンと一緒に流れていく。
その様子にルーパが叫ぶ。
「ンコイ!! 流されてるぞ!!」
ルーパの声が聞こえたのか。インコはハッと羽を広げる。
「…………はっ!? 降りてなかった!!」
ドジなのか、アホなのか。インコは羽を使ってレモンから飛び去り、イタッチ達のいる川辺へ着地した。
「俺はCOLORSのンコイ。ルーパをやっつけるとはやるではないかー!!!!」
腰に手を当てて威張るポーズを取るンコイ。このポーズがお決まりのポーズなのだろう。
そんなンコイにダッチは刀を向ける。
「お前も俺達とやるのか?」
「当然であーる!! それが俺たちの使命であり、お仕事であーる!! だが、俺だけでは厳しいであーる!!」
すぐさまに戦うと言い出さないあたり、ただのアホでは無いようだ。
「そこで我らがリーダーの登場であーる!!」
ンコイの言葉を合図に、空から人影が降ってくる。地面に穴を開けて着地した人物。
かなりの高度から落ちてきたのだろう。落下のスピードも速いし、砂利の地面に大きな穴が空いた。
「ごほほほぉ、ルーパちゃんよん、可哀想だなぁ」
穴から手が伸びてきて、落下してきた存在が這い出てくる。目から鼻に赤い模様の付いた猿。
穴から出ると身体についた土を払い除ける。その正体はマンドリル。
到着したマンドリルは、鋭い眼差しでイタッチを睨みつけた。
「俺はCOLORSのリドルグだぁ、ルーパちゃんを解放してもらおぉうかぁ?」