第141話 『捕まったダッチ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第141話
『捕まったダッチ』
ルーパが立ち上がり、ダッチに弾丸を放つ。その弾はさっきまで使っていた通常の弾とは違い、対象に触れると破裂し、粘着性の液体で相手を拘束することができる。
ルーパはリロードの時にその弾に入れ替えていたらしい。
ダッチはネバネバに捕えられて身動きが取れなくなる。
「な、なんじゃこーりゃー!?」
自由を失い、ダッチは地べたに倒れ込む。ネバネバを引き剥がそうとしても、ダッチの力では取れない。
「それはナットウガン。強烈な匂いと共に対象を捕まえることができる強力な弾丸だ。ゾウの動きすらも止める弾丸だからな、四神のダッチ、貴様でも抜け出すことはできまい」
ルーパはダッチにトドメを刺すために側へと歩いてくる。そんなダッチとルーパの間にイタッチが立った。
イタッチは地べたに顔を擦り付けるダッチを見下ろす。
「油断しすぎだ。どうする? 手を貸すか?」
「お……たのむ、…………わ。動けない」
「やれやれ」
イタッチは背中につけている赤いマントを、ダッチに被せる。そしてルーパからダッチが見えないようにした。
「ちょっ!? イタッチ!!」
マントを被せられて視界を覆われ、ダッチがモゾモゾと動く。しかし、ネバネバのせいでダッチは動けず、マントを剥がすこともできない。
「そこにいな。そのマントは大砲だって防ぐ。折り紙のマントだ」
マントでダッチを守り、イタッチは折り紙の剣を握りしめる。そしてルーパと向かい合う。
「次はイタッチ。お前だ」
「その再生能力とナットウガンの組み合わせは厄介だな」
「すぐにそこの男と同じことになるさ」
ルーパは弾丸を放ち、ダッチと同じようにイタッチを捕らえようとする。しかし、イタッチは左右にステップをして弾丸を避けていく。
「その弾は通常の弾よりも遅いからな。奇襲じゃなければ当たらない」
簡単に避け切ったイタッチはルーパの懐に潜り込む。そしてルーパを折り紙の剣で切ろうとするが、ルーパの皮膚に触れそうになったところで剣を止めた。
「何のつもりだ……」
「こうするんだよ」
イタッチは折り紙の剣に付いていたボタンを押す。すると、剣の刃が変形して、手の形のアームになった。
「なっ!?」
イタッチはそのアームでルーパを捕まえる。拘束したルーパを持ち上げて、足の付かないところまで持ち上げる。
アームの中に手は隠れてしまい、ルーパは抵抗する術を失った。
「そんな、この私が捕まるなんて……」
「切られると思って油断したろ? 予想を裏切る攻撃は反応を鈍くするんだよ」