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怪盗イタッチ大作戦!!  作者: ピラフドリア
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第138話 『二人の怪盗』

怪盗イタッチ大作戦!!




著者:ピラフドリア




第138話

『二人の怪盗』






 イタッチが美術館に到着すると、屋上に人影が浮かぶ。二つのハサミを持ち、尻尾に針を持ったその影はイタッチの方へ身体を向けた。




「イタッチ。また会ったな……」




「サソリか……」




 屋上で待っていたのはサソリ。彼は元警官でフクロウ警部、ゴリラ警部の同期である。しかし、ある事件がきっかけで警察を辞めてしまった。

 そしてそんな彼がまた、イタッチの前に現れた。




「いつかは再開するとは思ってた。同じく怪盗になった身だ。お宝を狙っていれば、必ず再開する」




 サソリの手には今回イタッチが狙っていた金の石板が握られていた。

 お宝を持っていることを確認したイタッチは、サソリのことを睨みつける。




「お宝を返してもらおうか」




「返す? これは俺が手に入れたお宝だ。そうはいかない」




 お宝を懐に隠したサソリは、拳銃を取り出すとイタッチを狙う。銃口を向けられたイタッチだが、抵抗する様子はなく、ただサソリと向き合うように立ち尽くす。




「撃つのか?」




 サソリの目を見てイタッチが訊ねる。すると、少し間を空けて、サソリは銃口を下ろした。




「イタッチ。お前、わざと俺と同じお宝を狙ったな」




「そろそろお前は潮時だと思ってな。これ以上、罪を重ねるのはオススメしないぜ」




「罪……か」




 サソリは銃を持つ自分の手を見つめる。サソリには何か見えているのか、サソリを顔は少し怯えているように感じられる。




「警察には戻らないのか?」




「戻らない。警察には正義はない。俺は正義を求めてる」




「正義か。お前の言う正義は本当にこれでいいのか」




 イタッチの問いにサソリはまたしても間を開ける。




「……警察の上層部は月光と通じていた。月光の闇ルートでの武器売買を買収されて見逃していた。そんな警察に帰る気はない」




「それで怪盗になったら正義を貫き通せると?」




 サソリはイタッチを鋭い眼差しで睨みつける。




「これはまだ準備段階だ。貴様と同じにするな、泥棒……時期に見せてやるさ、俺の正義をな」




 それだけ言い残すと、屋根を飛び越えへ暗闇の中へ消えた。イタッチは追うことはなく、そのままサソリが逃げた方向に背を向けた。




「そうか……。大きな計画を動かしてるみたいだな。まぁ、俺はお宝を手に入れるだけだけどな」




 イタッチの手にはサソリが盗んだはずのお宝が握られていた。




「来ることは事前にわかってたからな。すり替えさせてもらったぜ」




 そこにはいないが、サソリに言うことだけ伝えると、イタッチも屋根を飛んでアジトへ帰った。







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