第137話 『新しいお店』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第137話
『新しいお店』
「では、こちらになります」
書類を持ったタヌキに案内され、イタチとアンは住宅街にある二階建てのビルに辿り着いた。
「ついに完成しましたね」
「ああ、だいぶ待ったな」
二人の目の前にある建物は、前に襲撃に巻き込まれて爆破されてしまった喫茶店。それを改築して新しく作り直した新店舗。
「これが俺達の新しい店だ」
ついに完成した喫茶店にイタチとアンは胸を躍らせながら、扉を開けて中に入る。
店内は右側にカウンター席が並ぶ、縦長の内装。前の状態と大きくは変わっていないが、テーブルやキッチンは全て新品になっている。
イタチ達を店内へ入れると、書類と鍵を渡してタヌキはお辞儀する。
「では私はこれで……。また私の不動産をお使いください」
「ああ、契約とかの諸々は後でだな」
タヌキを見送って、二人は店内の探索をする。
「イタチさん!! 前よりも綺麗になりましたね!!」
「ああ、これなら常連も喜んで帰ってきてくれるよ」
店を閉めてから数ヶ月が経過している。常連のお客さんとも最近は会えていない。
他のお店に取られてしまった常連客も、新しくできたこの店ならば、取り返すこともできるだろう。
「イタチさん。二階見ましょう!!」
「そうだな」
今までの店の内装と同じで、一階は店舗。二階は住居になっている。カウンターの奥にある厨房から、階段を登って二階へ上がる。
二階の内装は少し変えていて、今までは一部屋と倉庫があっただけだったが、新しく部屋を増やした。
「狭くはなったが、部屋数を増やした……」
イタチは一番奥にある部屋の扉を開き、アンを中に入れる。そこはまだ何も置かれていない部屋。
「もしかして……」
「ああ、お前の部屋だ。自由に使って良い」
「ありがとうございます!! イタチさん!!」
「その代わり隣は俺の部屋だ」
「はい!!」
自分の部屋ができたことに、アンは喜んで早速寝っ転がって匂いをつける。
「倉庫は狭くなったが、まぁ、どうにかなるだろ」
二階は共同の部屋とそれぞれの個室。そして倉庫という形になった。
部屋を堪能し終えたアンが、扉を開けて顔だけを出す。
「イタチさん。ダッチさんにも見せましょうよ!!」
部屋が出来たことが嬉しいのか、尻尾を上げて身体を上下させるアン。
「そうだな。ダッチの奴にも自慢してやるか」
だが、イタチも同様であり、新しくなった店をダッチに見せてやりたい。
「そうだな。今夜の作戦会議はここでやるか。ダッチを呼んで、新しいアジトで作戦会議だ!!」
「はい!!」