第135話 『アルダイン』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第135話
『アルダイン』
「なにを、コイツは人質……」
アルダインがエリソンに銃口を擦り付けるが、イタッチとダッチはやれやれと言った表情で武器を構える様子はない。
「そ、そうか。お前達は泥棒だもんな!! ……なら、手を組もう。VIPERのボスはこうして捕らえた。お前達と俺が手を組めば……」
エリソンに人質の価値はないと判断したアルダインは別の方法を取ろうとする。しかし、
「そんなことで俺達がお前に協力すると?」
イタッチはアルダインの提案を断る。
「俺は怪盗。欲しいものは奪い取る。そういうことだ、エリソン!! そのままジッとしてるなら貰っていくが、それで良いか?」
イタッチはアルダインに捕まっているエリソンに目線を向ける。その様子にアルダインは顔を真っ赤にする。
「なぜ、この小娘に話しかける。相手をしているのはこの俺だぞ!!」
「お前はもう、負けてるからだよ」
「は?」
イタッチがそう言うと、エリソンはアルダインの拘束を振り払う。そして腕を掴んで背負い投げをした。地面に叩きつけられ、アルダイン悶える。
「なっ!? なんで…………がはっ!?」
「私があなたに本気で人質にされると思ってたの?」
エリソンが手を挙げると、それを合図にVIPERの兵士達は一斉に銃をアルダインに向ける。
「すべては計画のうち。あなたが私達を利用してこれを手に入れようとしてたのも全て知っていた」
「知っていながら……俺を泳がせていたのか……」
「そういうことだ」
エリソンは地面を這いつくばるアルダインを蹴り飛ばして、兵士達の元へ転ばす。兵士達はアルダインに銃口を向けると、即座に拘束した。
裏切り者を捕縛し、エリソンは自由の身になった。そしてピラミッドに背を向けて、イタッチ達と向き合う。
「茶番に付き合ってくれたこと、感謝するぞ」
「お前達がこのお宝を封印してきたのは、アルダインの用な欲を持ったものからお宝を守るためだろ」
「このお宝を作ったのは私の父だ。最初は報復が目的だったのかもしれない、だが、父はそれをやめ、このお宝を封印することに決めた」
「そんなお宝を俺が手に入れようとしたから、組織を再編成して先に取り戻したってわけか」
エリソンはコントロールパネルに手を置くと、システムをダウンさせる。電源の落ちたピラミッドは光が消えて暗くなる。
「これこそが私達の祖国だ。このお宝を守り抜き、平和を維持する。それが私の父の望みだ」
イタッチはマントの中に手を伸ばすと、折り紙を取り出した。そして折り紙を折り始める。
「しかし、残念だ。俺にも目的があるんだ」
作り上げたのは折り紙の剣。作った折り紙の剣を構えると、エリソンに刃を向けた。
「お宝はこのイタッチがもらうぜ」