第133話 『虹の輝き』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第133話
『虹の輝き』
「この中にヘイエイがいるか……」
エリソンはグルっと監獄の中を見渡す。すると、
「早速当たりか……」
右側にある檻の中に、二足歩行するエイを発見した。
エリソンは駆け寄って話しかけようとした時。
「あらあら、こんな時間に来客なんて……」
廊下の奥にある扉が開き、虹色に光を放つクワガタが現れた。看守帽を被っているところから、看守なのだろう。
クワガタは背中に背負っていた巨大なハサミを取り出す。
「クロックロックが盗まれた時点で、この監獄に来ることも予想できたわ。だから、ヘイエイを別の監獄に移すこともできた。でも、それをしなかったのはなぜかわかるかしら?」
クワガタは喋っている間、顎についたツノが閉じたり開いたり動く。口と連動しているのだろう。
エリソン達が答えずにいると、クワガタはニヤリと笑い、
「あなた達がいつ攻めてきても対処できる自信があったからよ。あなたの仲間も元にも看守達が向かったわ。つまりあなた達は自ら捕まりにきたってわけ」
自信満々なクワガタはハサミを両手で持って構えた。そして羽を羽ばたかせると、VIPERに向けて真っ直ぐと飛んできた。
ハサミを大き振り、VIPERの戦闘員達を蹴散らす。
「くぁぁっ!?」
「撃て!! 撃て!!」
エリソンの指示を待たずにVIPERの隊員達は、マシンガンでクワガタを撃つ。しかし、放った弾丸は、クワガタの身体に弾かれた。
「その程度で弾丸。私の身体を貫通できると!!」
弾丸が効かず、次々とやられていくVIPER達。その様子を見てエリソンは歯を食いしばると、
「そこまでよ!!」
クワガタの前にエリソンが立ち塞がった。
「あらあら、あなた。私とやる気なのかしら?」
巨大なハサミを持つクワガタとは違い、エリソンは武器を捨てると、拳を握り締め素手で構えた。
「私の仲間を傷つけるとは許さない」
「犯罪者が!!」
クワガタがハサミを振り下ろす。しかし、エリソンは身体の向きを横にして、ギリギリのところでハサミを躱す。
そして避けたエリソンはクワガタの装甲の薄い腹に蹴りを入れた。
「ぐっ!?」
だが、クワガタもこれでやられるわけじゃない。痛みに耐えながらクワガタは堪えると、ハサミを振り上げるようにしてエリソンを攻撃する。
しかし、エリソンはクワガタの懐に潜り込むと、クワガタの攻撃が来るよりも早く。クワガタの腕を掴み、背負い投げをした。
地面に叩きつけられたクワガタは意識を失い倒れる。
「これで邪魔者はいなくなったね。……さてと」
クワガタを倒し、エリソンはヘイエイのいる檻に向かう。残ったVIPER隊員は負傷した仲間を支えながら、エリソンの後を追う。
「ヘイエイ、あなたの持つクロックストーリーを渡しなさい」