第131話 『VIPER』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第131話
『VIPER』
お宝を手に入れたことで大盛り上がりで宴を続けるVIPER。彼らが大騒ぎする中、イタッチとダッチはこっそりと、アジトの外にある海の見える空き地へやってきていた。
「これからどうするんだ? お宝を取り戻すのか?」
「いや、クロックロックはまだ完成してない」
「どういうことだ?」
「それをVIPERが教えてくれる」
二人が夜風に当たりながら、そんな会話をしていると、
「お前達、もう休んでるのか?」
アジトの扉が開き、エリソンが現れる。会話は聞こえていなかったようで、二人のそばに近づくと、
「今回の再集結。集まってくれたこと、感謝する」
そして二人のそばによると、笑顔で感謝を告げてきた。
エリソンは海を眺めると、大切そうにクロックロックを握りしめる。
「必ず私が皆の故郷を取り戻す。そのために後もう少し、力を貸してくれ」
イタッチはクロックロックを握りしめるエリソンに向けて、疑問を投げかけた。
「最後の作戦。何をするつもりなんですか?」
「忘れたか……? クロックロックはこれだけでは力を発揮しない。クロックロックはある絵画の一部にすぎない。その絵画を手に入れる」
「絵画……」
「クロックストーリー。それがクロックロックと一つとなることで巨大な価値を持つ絵画。そして、その絵画を描いたのは……」
そこまで言いかけたところで、アジトの扉が開き、オランウータンが出てきた。
「エリソン、少し良いか? 次の計画についてなんだが……」
ファイルでまとめた紙を持ち、エリソンを呼ぶ。
「ええ、今行く」
エリソンはクルッと身体を向きを変えると、オランウータンの元へ駆け寄る。
「何が話している途中だったか?」
「なんでもないよ」
そしてエリソンとオランウータンはアジトへ戻って行った。二人がいなくなり、イタッチとダッチだけが残る。
「クロックストーリーか。俺達もそのお宝を狙うのか?」
ダッチは海を眺めながら、イタッチに訊ねる。イタッチはダッチの顔を見ることなく、海に目線を向けると、
「当然だ。そのためにここに潜入したんだ。あいつらが手に入れたところを俺達が横から奪う。それが今回の作戦さ……」
翌日、アジトに集まったVIPERに集合がかけられる。そしてアジトのすぐそばにある広場で、エリソンを中心に円を組んでいた。
「ついにクロックストーリーの在処がわかった。これから班を分けて、クロックストーリーの奪取に向かう!!」
エリソンの言葉に、一人の兵士が手を挙げる。
「どこにあるんですか!!」
「海に浮かぶ大監獄。オーシャンプリズンだ!!」