第130話 『ソワソワダッチ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第130話
『ソワソワダッチ』
イタッチからクロックロックを渡されたダッチは、ソワソワしながらヘリを降りる。
「おお、持ってきてくれたのか」
ダッチが変装していることに気づかず。エリソンはダッチの側に駆け寄ると、クロックロックを受け取った。
「ありがとな。もう降ろす荷物はないだろう、先にアジトに戻っていてくれ」
「あ、ああ……」
戸惑いながらもダッチは返事をすると、ヘリの中に残っているイタッチを呼び、アジトに入った。
アジトの中は散らかっており、物が散乱している。そんな中をかき分けながら、奥へと進む。
「おい、あいつら何者なんだ。なんでクロックロックを狙う?」
「さぁな。傭兵集団のあいつらがクロックロックに執着する理由。それを探って真のお宝を手に入れるのが、今回の計画さ……」
「真のお宝……」
アジトの奥では武装した兵隊達が、各々寛いでいる。武装を解除して私服になると、一般人と変わらない。
「おうおう、お前らまだ装備着てるのか? さっさと脱げよ」
顔を真っ赤にした酔っ払いの猿が、イタッチ達に絡んでくる。
「それもそうだな」
イタッチ達は装備を外す。しかし、折り紙で変装しているため、武装を解除しても怪しまれることはない。
しばらくすると、エリソンとオラウータンがアジトの中に入ってくる。そして木箱の上に乗ると、皆に見せるようにクロックロックを掲げた。
「我々はついに取り戻した!! これで故郷を取り返すぞ!!」
エリソンの言葉に兵士達は拳を突き上げる。
「「「おおおぉぉっ!!!!」」」
その声は力強く、固い意志を感じる。そんな姿を見て、ダッチはイタッチの耳元で話しかけた。
「故郷ってなんのことだ?」
「気になるか? だったらさっきからオフになってる無線をオンにしな」
「……あ、オフになってた…………」
無線を切ったままで忘れていたダッチが、無線のスイッチを入れるとアンの声が聞こえてくる。
「も〜う、ダッチさん!! 任務中は無線を切らないでって言ったじゃないですか!!」
「すまんすまん。んで、なんなのか説明してくれ」
無線の向こうでキーボードを打ち込む音がした後、アンは説明を開始する。
「VIPERは元々東ヨーロッパの先住民が集まってできた組織です。故郷を奪われて、彼らの目的は故郷の復興できた……しかし…………」
アンは少し言いにくそうに言葉を詰まらせる。
「どつした?」
「彼らは一時期姿を消していたんです。どういう理由があったのかはまだ分かっていませんが、彼らが再集結して起こした事件が、この前の飛行船の襲撃です」