第129話 『襲撃者を追え』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第129話
『襲撃者を追え』
波が音を鳴らし、船は波に乗って左右に揺れる。夕陽を背にイタッチとダッチは小型の船で釣りをしていた。
「まだなのか? イタッチ……」
釣りに飽きたダッチが釣り竿を船に立てかけて、寝っ転がる。
「もうすぐだ。ゆっくり待とうぜ」
イタッチ達が待っていると、海の向こうからヘリコプターが飛んできた。
「やっと来たか……」
ヘリコプターを近くの島に着陸させて、武装した集団が降りてくる。
イタッチとダッチは島に残っていた兵隊に変装して、島のメンバーと共に出迎えた。
ダッチはイタッチに耳元で相談する。
「VIPERか……。VIPERのアジトといえば、ICPOも見つけられてない秘密基地じゃないか。よく見つけたな」
ダッチの言葉にイタッチはニヤリと笑う。
「ちょっとな。細工をしておいたんだ」
イタッチはそう言い、ひっそりとある機械を見せる。それはアンが開発した発信機。
「コイツらにお宝を渡す時、コイツをつけといたんだ。だから場所が分かったんだ」
「それはお手柄だな」
ヒソヒソと話している二人の兵隊に、ハリネズミは首を傾げる。
「あなた達、何を話しているの?」
「な、なんでもないであります!!」
「ふふ、変な人たちね」
飛行船を襲撃してきた時と違い、可愛い笑顔を見せる。そんな姿にダッチは思わず顔を赤くした。
「エリソン、少し良いか」
ヘリから降りてきたオラウータンがハリネズミを呼ぶ。エリソンと呼ばれたハリネズミはオラウータンの方を向くと、キリッと表情を変えた。
「何かしら?」
「クロックロックなんだが……」
エリソンとオラウータンが話している間に、変装しているイタッチ達は、兵士たちの仕事をこなす。ヘリコプターから荷物を下ろしてアジトの中に運んでいく。
「ダッチ、お前さっき顔赤くなった……」
「言うな!!」
二人で協力して木箱を下ろしている中、イタッチがさっきのことをいじると、ダッチは怒り出す。
「暴れるな暴れるな!!」
ダッチが暴れたことで木箱を落としそうになるが、どうにか落とさずに済んだ。
他にもいくつかの荷物をアジトに運んでいき、その中でダッチはあるものを発見した。
「おい、ダッチ。これって……」
それはクロックロック。今回のお宝だ。
「コイツを盗めば今回の仕事は終わりなんじゃ?」
「そう簡単なことじゃないさ」
イタッチはクロックロックを持つと、ダッチに手渡す。
「どうせだったら、お前が渡してこいよ」
「は?」
「エリソンにだよ」
「…………」