第126話 『最終兵器』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第126話
『最終兵器』
ガラスケースを割り、中から飛び出してきたのは、キメラ。あらゆる動物の特徴を持った生物だ。
「どうする、イタッチ。こいつも俺がやるか?」
ダッチが訊ねる中、イタッチは折り紙の剣を作って前に出る。
「いいや、今回は俺がやる」
イタッチは折り紙の剣を手に、キメラと向かい合った。そんなイタッチの様子を見て、クレスが口に手を当てて笑い出す。
「一人でいいのか? コイツはお前よりも強いぞ」
「それはどうかな」
「強がりを……。やれ!!」
キメラはクレスの命令に従って、イタッチに飛び掛かる。鋭い牙で噛みつこうとするが、イタッチはキメラの攻撃をあっさりと躱すと、キメラの背後に回り込んだ。
そしてキメラの背中を剣で切りつける。
「グァァァッ!?」
キメラは悲鳴を上げて暴れるが、イタッチは暴れるキメラの攻撃を全て避ける。
「確かに攻撃力、スピード、耐久性。全てにおいて一級品だ。だが、その程度だ!!」
イタッチはキメラの攻撃を全て避けて、キメラの懐に潜り込むとキメラを切り倒した。
切られたキメラは力を失ったように倒れる。
「なっ!? この子がやられるなんて……」
「確かにこのキメラなら、そこそこの強さのやつには勝てたかもな。だが、クレス、少し情報収集が甘かったようだな。この程度じゃ、お前が調べた奴らの誰にも勝てないぜ」
キメラがやられたことで、クレスは対抗手段がなくなり、怯えるように後ろに下がる。気がつけば、もう背中は壁に触れてもう下がることはできない。
「クレス。大人しく帰ることを進める」
「私を、見逃すんですか……」
「元の時代に返せって言われたからな。お前達を警察に突き出すわけにもいかないしな」
「…………わかりました」
クレスは抵抗をやめて、従うことを決断する。
イタッチとダッチはプロペラ機で要塞から脱出する。イタッチ達が脱出すると、要塞の上部にホールが現れて、要塞はその中に入っていった。
恐らくはそのホールを通り抜けることで、時代を越えることができるのだろう。
「本当に見逃して良かったのか?」
「ああ、構わないさ。それにもうこの時代には来ないだろうよ」
「そうだな。こっ酷くやられたからな」
ホールに要塞の全てが入り切ると、ホールは消えて完全に消滅した。
空は元の何もない青い青空に戻る。
「さぁ、アンも待ってる。俺達も帰ろう」
「そうだな」
イタッチとダッチはプロペラ機でアンの待つ場所に向けて、飛んでいくのであった。
「クレス様。本当に宜しかったのですか……」
「レオーネが戻ってきていたんですね」
「はい。……クレス様の力があれば、未来を……」
「いや、私の力は必要ないです。そう確信しました」
「そうと仰りますと……」
「あのイタッチも未来を変える力を持つ。彼が目的を達成した時、私たちの未来は変わるのです」