第124話 『要塞内部』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第124話
『要塞内部』
「ここが操縦室か……」
イタッチが操縦室にたどり着くと、操縦室の奥に二つの人影が見えてくる。
「来たか。怪盗……」
部屋にはタコとその横に設置された椅子に座るクレスの姿。しかし、拘束されていると思っていたクレスは、堂々と椅子に座り足を組んでいる。
そしてそんなクレスは口を開いた。
「イタッチさん、今回はご協力感謝する」
「クレス……お前、まさか!?」
クレスは高級そうなコートをタコにかけてもらい、タコから紅茶のティーカップを受け取る。そして優雅に紅茶を飲むと、
「その通り……私が組織のボスです」
「なぜ、お前はこの時代に干渉できるんだろう。なら、なんであんな茶番をした!!」
「そうですね、教えておきましょうか。この時代には来る前に、この時代の実力者のリストを見ました。ニューヨークのヒーロージャスティス。ワタリドリの長官レヴィ。そしてロザントスの大島。ですが、その誰よりも危険だと判断したのが、イタッチさん、あなたです」
「俺が危険ねぇ、高く評価してくれるじゃないか」
「私たちの計画の邪魔になりうる存在。その実力を知るために、私はあなたの懐に潜り込んだんです。実に充実した良い日々でしたよ」
「なら、その楽しい日々の話をするために、お茶でも出してくれないか?」
イタッチは手で紅茶を飲むジェスチャーをする。そんなイタッチを見て、クレスはふふふと笑った。
「それは無理ですよ。イタッチさんは私たちの計画の邪魔だって。一緒に盗みに行って、イタッチさんの実力を見て確信しましたよ……」
クレスは紅茶を飲み干すと、コップから手を離して地面に落とした。落ちたコップは粉々に割れて、破片が散らばる。
「あなたは一番の脅威だ!!」
クレスのその言葉を合図に、操縦室の扉が開くと次々の武装した兵隊が入ってくる。
そしてあっという間にイタッチを囲んでしまった。
「まだこんなに兵隊が残ってたとはな」
「未来から連れて来た千人の武装隊が、この要塞で生活しています。仲間一人ももう時期、この武装隊の餌食になるでしょうね」
クレスが言っているのはダッチのことか……。
そんな勝ちを確信したクレスの発言に、イタッチはやれやれと呆れる。
「どうやら調査不足のようだな」
「なんですって?」
「俺達がこの程度でやられると思うか?」
イタッチは無線をオンにすると、アンに指示を出す。
「最後の仕上げ、手伝ってやんな」
それと同時に照明が落ちる。
「なんですか!?」
照明が落ちて動揺の様子のクレス。そんなクレスを守るように、タコがクレスの側による。
しばらくして照明が元に戻った。クレスやタコに怪我はなく、無事だった。しかし、
「兵士が……!?」
操縦室に入って来た兵士達が全員一撃で切り倒されている。そして倒された兵士の山の上に刀を持ったウサギが座っていた。
「よぉ、誰がやられたって?」
「遅いぞ。ダッチ」
「千人近い数の兵士を倒して来たんだぜ!? 早い方だろうが!!」
敵を倒し終えて、ダッチが合流する。ダッチの発言に、クレスは驚きが隠せない様子。
「兵士を全員、倒したですって……そんなこと…………」
「さて、残るは二人だな」