第119話 『怪盗と猛獣』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第119話
『怪盗と猛獣』
「フクロウ警部!!」
大爆発が起こり、煙が上がっていく。爆発と煙により、フクロウ警部達の姿を確認できない。
「……警官さんがやられてしまいました」
「いや、アイツらなら大丈夫だ……」
爆発を見たイタッチは動揺しながらも、フクロウ警部達なら大丈夫だと言い聞かせる。
「さて、次にこれを喰らうのは、怪盗……。お前だ!!」
レオーネはビームを出した影響から、口から煙が漏れている。その状態で喋ると煙が大量に漏れてレオーネの視界を塞ぐ。
その様子を見たイタッチは、挑発するように言う。
「すぐには出せる技には見えないが」
連続して出せば熱が溜まり過ぎてしまうのではないだろうか。煙は篭った熱を外に出すための行為であり、熱が篭った状態で連続して放てばオーバーヒートする。
「……さぁな。それはわからないぞ」
レオーネは煙の漏れる口を大きく開けてイタッチに向ける。しかし、
「出せないよな……」
レオーネはビームを出すことはなかった。
「確かにそうだ。それに俺の攻撃は結局時空の歪みによりなかったことになるしな」
レオーネはビームを放つのを諦めると、爪を立ててパトカーから飛び降りる。
「だが、痛みはあるし、俺の任務はクレスを連れ帰ること。この爪で切り刻んでやる!!」
レオーネは遠吠えをした後、イタッチに向かって飛びかかってきた。鋭い爪でイタッチを引っ掻こうとする。
イタッチは右に身体を逸らして、爪の攻撃を避ける。避けられたレオーネの攻撃だが、地面を抉り、コンクリートに爪の跡がくっきりと残った。
「凄い威力だな……」
「俺の爪なら一撃であの世に行けるぜ!!」
避けたイタッチに向けて、レオーネは連続で引っ掻き攻撃を繰り出す。
だが、イタッチはレオーネの攻撃を左右に揺ら揺らと避けていく。
「こいつ、紙みたいに……」
レオーネはイタッチの動きを捉えることができず、何度も宙を切り裂く。
どれだけ攻撃しても当たらない攻撃に、レオーネは怒りを覚え、攻撃を大きく単調になっていく。
大きく振り上げ両手を振り下ろしたところで、イタッチはレオーネの懐に潜り込むと、足を引っ掛けて転ばせた。
「なぁにぃっ!?」
イタッチに転ばされ、レオーネは地べたに寝転がる。そんなレオーネに跨り、イタッチはレオーネの動きを封じ込めた。
「俺の勝ちだぜ。未来から来た兵士さん……」
「ぐっ、……だが、俺の任務は達成された!!」
レオーネがそう言うと、二人から離れたところで様子を見ていたクレスの背後に何かが現れる。
「よくやったぞォ。レオーネ。後は私に任せろ」
透明になり姿を消していたタコ。彼女がクレスの背後に現れると、触手でクレスを拘束して捕まえた。
「クレス。ついに捕まえたぞ」