第117話 『包囲網を超えろ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第117話
『包囲網を超えろ』
「イタッチさん、どこから脱出するんですか?」
美術館からの脱出に向けて入るイタッチの後ろから、クレスが訊ねてくる。
「正面突破だ」
「正面突破!? 無茶ですよ!! 美術館の周りには多くの警備隊が配置されてるんですよ、突破できるわけないじゃないですか!!」
「侵入する時に使った変装はもう通用しない。だが、空にはヘリ、他に出口はないしな」
イタッチは勢いよく、美術館の正面玄関の扉を開けた。すると、一斉に美術館を囲っていたライトがイタッチを照らす。
「あわわわわ〜、見つかっちゃいましたよ〜!?」
「こっちだ!!」
イタッチはクレスの手を引っ張り、美術館に並行に走り出す。
美術館を囲む警官の中から、ネコの警官がマイクで隊に命令を出す。
「イタッチだ!! 捕まえろ!!」
ネコ刑事の指示が全隊に伝わると、イタッチ達を囲むように警官達が動き出す。当然のように逃げ場はすでに塞がれている。
「イタッチさん!!」
「俺に捕まってろ!」
イタッチはクレスをマントに捕まらせると、折り紙で煙幕を作る。煙で自身の姿を消した後、煙の四方から同時にイタッチが現れた。
「ネコ刑事!! イタッチが四人も出て来ました!!」
「そのうちの三つは折り紙で作った偽物だ。本物を探せ!!」
ネコ刑事は本物を探すように指示を出すが、どれが本物なのか、見分けることはできず。
隊はバラバラに分散してしまう。
「ネコ刑事、捕まえました!!」
「こっちも捕まえました!!」
それでも警官達の頑張りにより、全てのイタッチを捕らえることに成功した。だが、
「全て偽物だと!? イタッチはどこ「!!」
出て来た四体のイタッチは、全て偽物であり、警官達は混乱する。そんな中、残っていた煙幕の中から、バイクの音が響いた。
「まさか!!」
そして煙幕からバイクが飛び出して、折り紙で作ったバイクに乗ったイタッチとクレスが現れた。
偽物により分散された警官達の包囲網を、イタッチはバイクで突破して逃げていく。
「まだ煙幕の中に隠れていたのか……」
「ネコ刑事、どうしますか!!」
「パトカーを出せ、追うぞ!!」
ネコ刑事は部下と共にパトカーに乗り込む。ネコ刑事がアクセルを踏み、パトカーを出そうとした時。何かが降って来てパトカーにぶつかる。パトカーの天井に降り立ったそれは、フロントからネコ刑事に命令を出す。
「出せ、イタッチを逃すな!!」
「フクロウ警部!? 無事だったんですか!!」
「こんなもので俺を止められるか!! さっさとイタッチを追うぞ!!」
「はい!!」
フクロウ警部をパトカーに乗せて、イタッチの追跡が始まった。