第116話 『イタッチ、捕まる！！』
怪盗イタッチ大作戦！！
著者:ピラフドリア
第116話
『イタッチ、捕まる！！』
「イタッチ……そいつは新しい仲間か！！」
フクロウ警部は手錠を握りしめて、ジリジリと距離を詰める。
「ど、どうするんですか！？ イタッチさん！！」
フクロウ警部に怯えてクレスはイタッチに抱きつく。
「どうするもなにも、あいつに捕まらないようにお宝を盗むのが俺たちだ。手を貸せよ」
イタッチは折り紙で剣を作り、フクロウ警部と向かい合う。
「今回は逃さないぞ〜。イタッチ……」
距離を詰めたフクロウ警部はイタッチに飛び掛かる。イタッチはフクロウ警部を気絶させるため、剣の刃がない部分でフクロウ警部を殴ろうとする。
しかし、フクロウ警部は手錠をを横にすると鎖の部分で、イタッチの剣を受け止めた。
「クレス。お宝のところまで走れ！！」
「え、あ！！ はい！！」
イタッチに指示されて、クレスはイタッチとフクロウ警部が歪み合う横を通り抜ける。
「仲間を先に行かせたか。どちらにしろ、共犯も逮捕する！！」
フクロウ警部は手錠を剣に絡めて、イタッチの剣を弾き飛ばした。しかし、イタッチから剣を遠ざけるために遠くに飛ばしたため、手錠も一緒になって飛んでいってしまう。
お互いに武器がなくなり、素手の状態。だが、二人とも他に装備がないわけじゃない。
フクロウ警部の懐には拳銃がある。そしてイタッチには折り紙だ。
だが、フクロウ警部が剣を飛ばしたのには作戦があった。
フクロウ警部は拳銃を取り出して、イタッチに向ける。
「さぁ、観念しろ。イタッチ……。お前がどんな折り紙を折ろうと、俺が撃つ方が早い」
どんなに簡単なものを折り紙で作ろうとしても、数秒の時間がかかる。イタッチが何を作ろうとも、フクロウ警部が撃つ方が早い。
「はははは〜！！ 今日は俺の勝ちだ！！ 捕まえたぞ、イタッチ！！」
銃口を向けて高笑いするフクロウ警部。イタッチは抵抗することができず、その場で立ち尽くす。
「さぁ、逮捕だーーー！！！！ ……ぶっはっ！？」
イタッチを捕まえたと喜んでいたフクロウ警部だが、後ろから頭を殴られて気絶して倒れる。
「はぁはぁ、これで良かったんですか……」
フクロウ警部を殴ったのは、お宝を手に入れたクレス。お宝の入っていたガラスケースを使い、フクロウ警部の頭を殴ったのだ。
「助かったぜ。クレス」
「仕方なくです。あなたが捕まったら私も捕まっちゃうじゃないですか」
クレスはイタッチにお宝を渡し、受け取ったイタッチはお宝を折り紙の風呂敷で包む。
「後は脱出だな」
お宝を手に入れたイタッチとクレスは、美術館の出口を目指して走り出した。
