第115話 『クレス怪盗になる?』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第115話
『クレス怪盗になる?』
夜の美術館。その一室で
「こ、こんなこと、聞いてないです!!」
クレスは逆さになって天井に張り付いていた。
「なんなのよ!! なんであんな警備が美術館にあるのよ!!」
クレスの両手両足を折り紙で作った吸盤がついており、それで天井に張り付く。そしてクレスのすぐ下にある地面には、赤いレーザーが張り巡らされていた。
同じように天井に張り付いて進むイタッチは、下の状況を伝える。
「あのレーザーに触れると、一瞬で溶けるから気をつけろよ」
「こんな危険な仕事なんて、聞いてなかったんですけど!!」
「手伝うって言ったろ。文句言うなよ」
怯えるクレスを引っ張って、イタッチは美術館を進んでいく。
レーザー地帯を突破した二人は、吸盤を取って地面に着地した。
「今日はダッチが急用で来れないんだ。ちょうど人手が足りなかったところだしな。手伝ってもらうぜ」
「うぅ〜、私が泥棒の手伝いをやることになるなんて〜」
廊下を進んだ二人は左右に分かれている通路へとやって来た。イタッチは無線をアンに繋げる。
「アン。例の分かれ道だ。どっちに行けば良い?」
「イタッチさんは左へ。クレスさんは右へ進んでください」
「サンキュー。アン!」
無線を終えたイタッチは、クレスに指示を出す。
「クレスは右に行って先にあるレバーを下ろしてくれ。それがセキュリティ室を開ける装置になってる。俺はクレスが装置を起動させている間に、セキュリティ室に入って、展示室の扉のロックを解く」
「……分かりました〜。やるしかないんでしょ……」
渋々イタッチの指示に従うことにしたクレスは、イタッチと別れて右の道へと進む。
クレスがレバーを下げている間に、イタッチはセキュリティ室に侵入すると、アンの作ったメモリーカードを読み込ませてセキュリティシステムに侵入する。
「よし、これで展示室の扉は開いたな」
セキュリティ室を出たイタッチは、クレスと合流して展示室へと向かった。
展示室の扉を開けて中に入る。するとそこには……。
「待っていたぞ。イタッチ」
「マジかよ……」
そこにはフクロウ警部が仁王立ちで、お宝の前に立っていた。
「セキュリティ室のロックを解除するまで、ここから出ることはできないんだぜ。正気かよ……」
「お前の捕まえるためなら、今日の夜から明日の朝までここに監禁されていても問題ないわ!! それにどうせ貴様が侵入してくるしな」
手錠を取り出してイタッチと対峙するフクロウ警部。しかし、フクロウ警部はいつもと違うことに気がついた。
「なんだイタッチ。今回は変わったやつを連れているな」