第114話 『未来からの使者』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第114話
『未来からの使者』
「未来から来たか。信じがたい話だな」
「しかし、未来から来たっていうくらいじゃないと、あの渦や光線銃についての説明になりません。未来の技術っていうのなら納得できます」
確かにそうだ。渦や光線銃は初めて見る。あれらが未来の技術であるのなら、初めて見たっておかしくない。
それにアンが調べても出てこなかったのだ。今は組織などが存在していない可能性もある。
「未来から来たのは分かった。だが、なぜ追われてるんだ? 何かやったのか?」
クレスは武装した集団に追われていた。あんな状況にはそう簡単にならないだろう。すると、クレスは言いにくそうにしながらも、ゆっくりと口を開く。
「私はパラドックスの影響を受けない唯一の存在。時間に干渉できる人間なんです」
「時間に干渉できる人間だと?」
「はい。通常では時空間ホールを使った時間遡行は、時間に干渉することが不可能です。物を動かしたり消したりしようとしても、時空の歪みによって元に戻ってしまうそれが時空間ホールによる時間移動の問題です」
「確かに時間移動できるなら、過去に戻ってやりたい放題だもんな。それができないってわけか」
「はい。だから、メビウスは私を作り出したんです。どの時代でも活動可能な人間として」
クレスは左腕の服を捲ると、腕を出す。そしてイタッチ達に見せた。そこにはNo.7と書かれた文字が彫られていた。
「私はメビウスが初めて作った時間に干渉できる人工人間。彼らは私を使い、過去を改変して世界征服を目論んでいたんです」
「それが嫌で逃げ出したのか。よく逃げ出せたな……」
「姉。No.6のおかげです。彼女が私を逃すために協力してくれたんです……」
メビウスから逃げるために、彼らの干渉できない過去に逃げてきたということらしい。
「イタチさん。お願いです。少しの時間でいいんです、私をここにいさせてください!! 仕事も手伝います、なんだってします、お願いします!!」
クレスは頼み込んでくる。
メビウスに捕まれば、そこで終わり、姉の努力も報われないだろう。そして過去を改変される。
「……分かったよ。過去を変えられるのは俺たちだって嫌だ。だが、仕事は手伝ってもらうぜ」
「ありがとうございます!!」
「あと俺はイタッチだ」
「はい!! イタッチさん!! それで仕事は何をしてるんですか?」
仕事内容を知らずにそんなことを頼み込んできたのか。まぁ、事態が事態だからしょうがないのか。
「そうだな、今日辺り予定がある。そこで覚えてもらおうか」