第113話 『謎の渦』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第113話
『謎の渦』
イタッチは突如渦から現れた動物達を倒し、その一部隊を制圧していた。
「く、このイタチ。何者なんだ……」
やられた動物達はバイクに乗り込むと、
「今回は撤退する。だが、次は必ずクレスを取り戻すぞ」
渦の中へと消えていった。動物達がいなくなると、渦が消える。
「なんだったんでしょう。今の……」
クレスと一緒にいたアンは、姿を消した動物達に疑問を感じながらも、深追いはしない。渦が消えてしまった追いたくても追えないのだが……。
「怪我はないか?」
クレスの元に駆け寄り、怪我がないかの確認を取る。
「はい、怪我はない……です」
怪我はないと答えたクレスだが、崩れ落ちるように気を失う。イタッチは咄嗟に手を出して倒れないように支えた。
「大丈夫か!!」
「気を失ってますね……」
一応目視でも怪我がないか確認を取る。しかし、あの高さから落ちたというのに、怪我は一つも見つかることはなかった。
「どうやら安心して気を失ったみたいだな。アン、車に乗せるぞ」
「そうですね。放置するわけにもいきませんし。連れて行きますか」
アンに手伝ってもらい、車に寝かせると、イタッチは車を運転してアパートに向かった。
日が落ちて、星空が浮かぶ時間。クレスが目を覚ました。目を覚ましたクレスが周囲を見回すと、そこは見覚えのないアパートの一室。
「目を覚ましましたか」
クレスの近くではパソコンを操作している子猫が座っていた。
「イタッチさん!! 目を覚ましましたよ!!」
アンが隣にいるイタッチを呼ぶために、大きな声を出す。それを聞きつけて、イタッチは扉を開けてやってきた。
「無事で良かった。半日近く寝てたから、よっぽど疲れてたんだな」
起き上がったクレスは、二人を顔を見て何があったのかを思い出す。そして二人が助けてくれたことに感謝を伝えた。
「ありがとう……。君達には感謝しかありません」
「まぁ、あの状況じゃ助けるしかなかったよ。んで、お前は何者なんだ、アンに調べてもらったが、お前もあの襲ってきた連中も情報が全くない」
クレスが寝ている間に、アンに頼んで彼らについて調べさせていた。しかし、彼らについての情報は全く手に入れることができなかったのである。
「……私は、いえ、私と彼らは。未来から来たんです」
「未来から?」
イタッチとアンは顔を見合う。しかし、二人ともそんな技術は今のところ、見たことはない。
二人が疑念を抱く中、クレスは話を進める。
「あの時空間ホールを通って、私とあのメビウスはこの時間にやってきたんです」