第112話 『フェイト』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第112話
『フェイト』
イタッチとアンは買い出しのため、スーパーにやってきていた。
「今日の夜はダッチさんも来るんですよね!! じゃあ、私が作りたいです!!」
「良いけど、何を作るんだ?」
「ん〜? ダッチさん何が好きかなー?」
アンは当たり前のようにノートパソコンを取り出して、操作を始めようとする。
そんな情報があるものなのだろうか。
「おい、やめとけ。調べて作ったものでダッチが喜ぶかよ。自分で考えろよ」
買い物を終え、イタッチは買ったものを車に詰め込むと、アンを助手席に座らせた。イタッチも車に乗り込むとエンジンをかける。
「忘れ物はないな。行くぞ」
イタッチが車を発進させようとした時。
「イタッチさん、前!!」
「なっ!?」
前方の空に渦のようなものが現れて、そこから一匹の動物が降ってきた。その動物はイタッチ達の乗る車のフロントに落下する。
「大丈夫か、君!!」
イタッチは車から降りて落ちてきた動物の元へ向かう。その動物はトキであり、怯えている様子だった。
「た、助けてください!! 彼らが、彼らが来ます!!」
トキは怯えた様子でイタッチにしがみつく。
「彼ら?」
イタッチとアンが頭にハテナを浮かべる中、再び空に渦が現れて、そこから宙に浮くバイクに乗った動物達が飛び出してきた。
「いた!! クレスだ!!」
動物達はバイクを止めて、懐にあった拳銃を取り出した。その拳銃は見慣れない形をしており、銃口が尖っていて弾丸が出るような構造ではない。
「そこのイタチ。クレスをこちらに引き渡せ、そうすれば手は出さない」
「なんだお前達は……」
クレスと呼ばれたトキは怯えてイタッチから離れようとしない。
「迎えに来たってわけではなさそうだ」
「なんでも良いんだ、さっさとしろ!!」
拳銃を持った動物が引き金を引くと、銃口から光線が放たれる。稲妻のようなビームがイタッチに向かう。
「イタッチさん!!」
アンが心配して声を叫ぶが、
「この程度、どうってことないよ」
イタッチは折り紙の盾を作り出し、ビームを防いでいた。
「なにっ!? なんで俺たちのビームガンが効かないんだ!!」
驚く動物達。イタッチは盾を捨てると、アンにクレスを託す。
「先に手を出したのはそっちだ。やられても文句言うなよ……」
折り紙で剣を作り出すと、剣を持ってアンおクレスを守るように立ち塞がった。
「この、イタチ!!」
「やれ!! やってしまえ!!」
動物達は一斉にビームを放つ。しかし、ビームよりも早くイタッチは移動すると、次々と動物達を切り倒していく。
「このイタチ、強いぞ!!」
イタッチに近づかれた動物達の中には、ビームを放つ剣を取り出すものもいたが、イタッチはその剣すら簡単に避けてしまう。
そしてあっという間に動物達を制圧した。