第110話 『ジャングルの主』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第110話
『ジャングルの主』
イタッチとダッチは、アンに無線で指示を受けながらジャングルの中を進んでいた。
「この先にお宝。キングハーブがあるんだな」
「そのはずだ。アン、道は合ってるな?」
イタッチは無線に耳を当ててアンに確認を取る。
「はい!! 合ってます。そのまま進んでください!!」
「おう」
イタッチとダッチが進んでいくと、二人の正面に巨大な木が現れた。
都会にあるビルのように大きな木だ。
「顔がある……」
そんな木の木目は顔のように見えて、恐怖を感じるデザインになっている。
「これは……!!」
木は身体を揺らすと顔の模様が動き出し、口が上下させる。しかし、声は出ておらず、口が動いているだけだ。
「イタッチ、あれを見ろ!!」
木が動き出した中、ダッチは木の上にあるものがあることに気づいた。
木の葉っぱについた黄金の葉っぱ。
「あれはキングハーブ!! あの木にあったのか!!」
イタッチは木に近づき、お宝を取ろうとする。しかし、木が揺れてイタッチを登らせまいと邪魔をする。
「なんだ、この木邪魔するのか!!」
「みたいだな」
木の顔は目元を鋭くさせて二人を睨みつける。
そして枝を動かしてイタッチ達を襲ってきた。
枝を刃のように尖らせて、突き刺そうとしてくる。イタッチとダッチは剣や刀で防いで、攻撃を避けていく。
「このままだと近づけないぞ!!」
「そうだな。時間をかければかけるほど厄介そうだ!」
戦闘が始まってから木は成長が早くなり、攻撃に使う枝が増えていく。このまま時間をかければ、攻撃手段が増えていき、不利になるだけだ。
「さっさと決着をつけるぞ」
「そうしたいが、どうするんだ!! 向こうはこのリーチだぞ!!」
木はいくらでも枝を伸ばすことができる。イタッチ達の剣が届く距離ではない。
「戦う必要はない。お宝を手に入れるだけで良いんだぜ」
イタッチはそう言うと、折り紙を折り始める。
そして作り上げたのは、折り紙で作った釣竿。
「こいつでお宝を引っ掛ける」
イタッチは釣竿を振って、お宝を引っ掛ける。そして引っ張り、お宝を手元に引き寄せた。
「手に入れたぜ!!」
イタッチは釣竿を使い、お宝を手に入れることに成功した。
「あとは……」
「ああ、そうだな」
イタッチとダッチは木に背を向けると、
「逃げるだけだ!!」
全力で走り出した。精一杯のスピードで木から離れて、枝の成長するスピードよりも早くジャングルから脱出した。
途中まで枝は追ってきていたが、途中で諦めたようで姿を消していた。
「逃げ切れたみたいだな」
「ああ、キングハーブ。ゲットだ!!」