第108話 『お宝は手に入れた!!』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第108話
『お宝は手に入れた!!』
トンボ巡査の動きを封じ、イタッチはダッチと共にお宝の元へ向かっていた。
「すまんな。肩を貸してもらって」
「お前のおかげでトンボに勝てたんだ。当然だろ」
二人はお宝の前に立つ。そしてお宝からほのかなミカンの香りが漂ってきた。
「これがオレンジの香りだな」
イタッチはお宝を手に取ると、折り紙で作った風呂敷の中に入れる。折り紙に入れて包み込むと不思議なことに風呂敷な小さくなってポケットの中に入るほどの大きさになった。
「よし、これを持って逃げるぞ」
目的を果たし、イタッチとダッチは脱出を試みる。入り口はフクロウ警部達が包囲しているだろう。なら、脱出手段は……。
イタッチは無線でアンに連絡を取る。
「ヘリの用意はできてるか?」
「はい!! すでに美術館の周囲に来ています」
「よし、二分後に美術館の上空に来てくれ」
「了解です!!」
アンに指示を出して、イタッチは屋上を目指す。
屋上の扉を開けて外に出ると、空を星空が覆っていた。
「アンはまだなのか……」
イタッチの肩を借りて一緒に屋上へ来たダッチは、空を見上げて言う。
「後一分で到着する。だが、その前に……」
星空が天井を覆う屋上に、一台のロボットがいた。ロボットはイタッチ達に反応して動き出す。
「……ギギギギギ〜!!!!」
四足歩行の猫型ロボット。大きさは乗用車ほどで、猫の頭部には見覚えのあるマークが書いてあった。
「あれはネコ刑事の作ったロボだな」
「そうなのか!? イタッチ……」
「あの頭部のマーク。フクロウ警部がよく持ってる装備と同じマークだ。ネコ刑事はよくフクロウ警部のために、サポートアイテムを作ってるからな」
「そのロボットを屋上の見張りにしたってわけか」
「さて、アンが来るまでまだ一分あるしな。その間遊んでやるか」
イタッチはダッチを安全なところに座らせて、折り紙で剣を作る。そしてロボットの前に立った。
「ネコ刑事の機械作りがどこまで成長したか、試してやるよ!!」
猫型のロボットはイタッチに猫パンチを放つ。しかし、イタッチはジャンプすると簡単にパンチを避ける。さらにロボットの腕を足場にして上空に飛び上がる。
「良い威力とスピードだ。改良したな!! だが!!」
イタッチは落下と同時にロボットを真っ二つに切断した。
「装甲がまだまだ薄い!!」
切られたロボットは動かなくなる。イタッチは折り紙にロボットの問題点を書き出すと、ロボットに貼り付けておいた。
「一撃かよ……。お前一人でもトンボ巡査に勝てたんじゃないか?」
「良いや。二人だから良いんだよ」
ロボットを倒し、イタッチはダッチに手を伸ばす。
「そろそろアンが来る。行くぞ」
ヘリが美術館の上に現れて、美術館へロープを下ろす。すると、ロープを辿ってイタッチがヘリに乗り移っていくのが見えた。
「フクロウ警部!! イタッチが逃げます!!」
「なんだと!! トンボ巡査達がやられたのか!! 急いでヘリを追うぞ!!」