第107話 『スピード』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第107話
『スピード』
「ダッチ!!」
「ここは任せろ!!」
超スピードで向かってくるトンボ巡査。その前に立ち塞がり、イタッチのことをダッチは守る。
肉眼で追えないスピードで繰り出される斬撃。ダッチは刀で防ごうとするが、全て防ぎ切ることはできず、ダッチは押され始める。
「ダッチ、大丈夫か!!」
折り紙を折っているイタッチは、ダッチの名前を叫ぶ。
「お前は折り紙を折ることに集中しろ!!」
一本の刀が九百九十九の刀身に見える。それほどの斬撃が一斉にダッチが襲いかかる。
このまま攻撃を受け続けていれば、折り紙が完成する前に倒れてしまう。
どうなってでもイタッチに繋げる。
「うぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ダッチは叫び声を上げると、目を瞑り、耳をピンと立てた。
「なっ!? なんだと!!」
高速の剣技を繰り出していたトンボ巡査は驚きの声を上げる。一秒にも満たない時間。たったそれだけの時間だが、一瞬だけダッチが刀を全て防ぎ切ったのだ。
だが、ダッチはそれに気づいた様子はない。その一瞬攻撃を防いだ後、力尽きたのか。
ダッチは地に膝をついた。
ダッチがやられ、トンボ巡査は攻撃を止める。そしてダッチの横を通り、今度はイタッチを狙うため近づこうとする。しかし、そんなトンボ巡査の足を何かが掴む。
「行かせるか……」
トンボ巡査の足をダッチは掴み、行かせまいとする。
「…………もうやめてください。これ以上は」
トンボ巡査はこれ以上ダッチに攻撃はしたくないようで、宥めようとする。
「あなた方がしたことは行けないことです。でも、まだ更生できますよ」
説得しようと試みるトンボ巡査。だが、ダッチは話を聞く気はなく。絶対に話そうとはしない。
トンボ巡査がどうしようかと困っていると、
「良い時間稼ぎだったぜ。ダッチ」
イタッチがダッチに告げた。
「完成だ!! 追跡ガンのな!!」
イタッチの手には折り紙で作られた銃弾が握られていた。
「イタッチさん。あなたも諦めてください!! これ以上の抵抗はやめて、捕まりましょうよ!!」
「俺にはやることがあるからな。すまんがそれは無理だ!!」
イタッチは銃口をトンボ巡査に向けると発砲する。トンボ巡査はダッチの手を振り払い、弾丸を躱そうとする。弾丸は躱したが、
「俺の作った追跡弾はどこまでも追いかけるぜ」
避けたはずの弾丸は軌道を変えて、再びトンボ巡査を狙う。トンボ巡査は走って追ってくる弾丸から逃げる。
スピードではトンボ巡査の方が早い。しかし、折り紙の弾丸は最速のルートを計算して徐々にトンボ巡査を追い詰める。
そして!!
「がっ!? これは網!!」
追いつかれて弾丸に当たったトンボ巡査。弾丸はトンボ巡査に触れると弾けて変形し、トンボ巡査を覆う網へと変化した。
トンボ巡査は捕まり、身動きが取れなくなる。
「なんてことだ。僕の方が捕まってしまうなんて!!」