第106話 『トンボ巡査の実力』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第106話
『トンボ巡査の実力』
トンボ巡査は無線で報告を終えると、両手で刀を握りしめてイタッチ達と向かい合う。
「では勝負といきましょうか。お二人さん」
トンボ巡査は素早く移動して、一瞬で二人に距離を詰める。いち早くトンボ巡査の接近に気づいたダッチは、刀を抜いてトンボ巡査に斬りかかるが、ダッチの攻撃はあっさりと避けられてしまった。
「早い!!」
「その程度の攻撃当たりませんよ」
避けたトンボ巡査は刀を振り上げると、ダッチに向けて振り下ろした。
刀はダッチの耳を掠り、頭に当たりそうになる。だが、
「止めましたか」
トンボ巡査の刀を止めたのは、ダッチの後ろにいたイタッチ。イタッチは刀を刀とダッチの頭の隙間に入れて、刀が当たるのを防いだ。
「やらせるかよ……」
ダッチとトンボ巡査の攻防に、1秒ほど遅れて、イタッチが参戦する。
「ダッチ!! 俺が刀を止めてるうちにお前がやれ!!」
「おう、相棒!!」
イタッチがトンボ巡査の刀を止めている間に、ダッチは刀を横に降りトンボ巡査を切り付けようとする。しかし、
「やられません!!」
トンボ巡査はイタッチに止められているというのに、素早く刀を動かし、ダッチの刀を弾いた。
そのスピードは刀が二本あるかのように感じさせる速さであり、そのスピードがパワーとなり、イタッチとダッチは部屋の端まで弾かれた。
「イタッチ、こいつ強いぞ」
「だな」
二人は目を合わせて視線でタイミングを合わせると、トンボ巡査に向かって走り出す。
左右からの同時攻撃。二人の完璧なコンビネーションも、トンボ巡査のスピードに敵わず。
「全く攻撃が当たらない!!」
全ての攻撃が攻撃を弾き返されてしまう。
「刀が何本もあるみたいだ!!」
「ダッチ一旦退くぞ」
このまま攻撃しても体力を消耗するだけと判断したイタッチは、ダッチに指示を出してタイミングを合わせてトンボ巡査から距離を取った。
「イタッチ。なんか方法はないのか!!」
「折り紙が使えれば可能性があるが…………」
折り紙を折っている間に、トンボ巡査が邪魔をしてくる。どれだけ簡単に作れるものだとしてもトンボ巡査のスピードなら、簡単に防ぐことができるだろう。
他に何か手段がないかイタッチが思考を巡らせていると、ダッチが刀を強く握りしめてイタッチの前に立った。
「分かった。じゃあ任せろ」
「ダッチ、まさか!?」
「あのスピードだ。どこまで時間稼ぎができるかわからないが、折り紙を折る時間を作れば良いんだろ。やってやるよ!!」
ダッチはイタッチを守るように、刀を構えた。