第105話 『通せんぼロボ』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第105話
『通せんぼロボ』
地下から潜入したイタッチとダッチだったが、一階に登ろうとする二人の行く手を、通せんぼロボが塞ぐ。
「どうする? あのロボットを無視して通るわけにもいかないぞ」
「そうだな。だが、壊せばネコ刑事にも気づかれる……地下からの侵入がバレれば、グライダーで時間を稼いだ意味がなくなるからな」
フクロウ警部とネコ刑事は外で見張っている。中にいるのはトンボ巡査のみ。こんなチャンスを逃すわけにはいかない。
しかし、どうやってこの通せんぼロボを突破するか。
「おい、ダッチ。ライターを貸してくれ」
イタッチはダッチのコートにライターが入っていることを思い出し、ライターを借りる。
「ああ」
ダッチからライターを受け取ったイタッチは、火をつけると火のついた状態のライターを通せんぼロボの近くに投げた。
すると、
「ロボットが動いた……」
「温度で感知してるみたいだな」
ライターに反応して通せんぼロボが動いたのを確認する。だが、それが分かったところで、
「温度で感知してるのは分かったが、どうするんだ?」
「任せておけ」
イタッチは折り紙であるものを作り出す。それは、
「なんだこれ? 冷たい布?」
「ひんやりしているだろ。一時的だが、これで体温を誤魔化す。ロボットの前にいる時だけ、これを身につければ良い」
「ゴリ押しだな」
「これくらいでちょうど良いんだよ」
イタッチとダッチは布を被って、ロボットの前を通過する。布の効果でロボットは反応することなく、ロボットの横を通り抜けることに成功した。
「うまくいったな」
二人が布を脱ぐと、布は元の折り紙に戻る。
「このまま二階まで上がってお宝を手に入れるぞ」
「ああ」
イタッチとダッチはさらに階段を登り、二階に潜入する。そして、
「着いたな。ここだ」
二階で目当てのお宝のある部屋の前に辿り着いた。だが、その部屋の扉の前にある人物が立っていた。
「来ましたね。イタッチ……」
そこにいたのは刀を持ったトンボ巡査。トンボ巡査は刀を抜くと、
「っ!?」
イタッチとダッチにも見えない速さで移動して、気づいた時には二人の背後に移動していた。
「いつの間に……」
トンボ巡査が刀を鞘にしまうと、ダッチの持っていた先ほど使ったライターが、切断されて真っ二つになる。
「見えなかった……」
イタッチとダッチが武器を取り、戦える体制になるが、トンボ巡査は無線を取り出して外にいるネコ刑事に報告する。
「イタッチが現れました。これより指示通りに対処をします」