第102話 『警部登場』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第102話
『警部登場』
汽笛が鳴り、海を背景に船から港に降りる男。
「ここがハウラですか、警部」
「ああ、俺も久しぶりに来た」
フクロウ警部とネコ刑事が港に着くと、一台のパトカーが二人の前に停まった。
そして運転席からコート姿のトンボが降りてきた。
「お久しぶりです。フクロウ警部!!」
そして二人に向かって敬礼をする。
「おう、久しぶりだな。トンボ巡査」
「フクロウ警部、知り合いですか?」
「ああ、俺の高校時代の後輩でマグロ巡査と同期のトンボ君だ」
紹介されたトンボ巡査は照れるように頭を撫でて、顔を赤くした。
「いや〜、同期っていっても彼は警視庁で俺は地方ですけどね」
「んで、イタッチの件だが、準備はどうなってる?」
照れ照れしていたトンボ巡査だが、話が変わるとスッと表情を引き締めて本題に戻る。
「詳しい話はパトカーの中で。まずは交番までお連れします」
トンボ巡査がパトカーの扉を開けて二人を中に入れる。フクロウ警部は助手席で、ネコ刑事は後ろの席に座った。
トンボ巡査の運転で島にある交番を目指す。
「フクロウ警部、準備ってなんですか? 聞いてないんですけど」
後ろの席から身を乗り出して、先ほどの話についてネコ刑事が尋ねた。
「ああ、イタッチの予告状が来たという話があってから、トンボ巡査にある仕掛けの準備をしてもらっていたんだ」
「仕掛け……ですか?」
「ああ……」
交番に着いたフクロウ警部達は交番で今回の作戦について話し合うため、交番の中に入る。
「おう、帰ってきたのか。トンボ……。そちらがフクロウ警部さんとネコ刑事さんかな」
中ではお茶を飲んでまったりしている豚の姿があった。
「紹介します。ブタ部長。この島の警察組織の責任者です」
「ブタです〜。よろしくお願いします。まぁ、今回の件はね、トンボとフクロウ警部さん達に一任してるんでね……私はまったりしてるんで、お任せします」
ダラけきった様子のブタ部長。その横を通り、三人は奥の部屋へ行く。
「いつもあんな感じの人なので気にしないでください」
「そう、なんですか……」
奥の部屋に三つの椅子を用意して三人はテーブルを囲うように座る。
「それで今回、イタッチが狙っているお宝……それは…………」
トンボ巡査はテーブルに一枚の紙を置く。
そこにはミカンの書かれた絵画がデカデカと写されていた。
「この『オレンジの香り』。それが狙われているお宝です。この絵画は近づくとミカンの匂いを放ち、そこにいるだけでミカンを食べているような錯覚を起こさせることができる絵画。そのオレンジをイタッチは狙っているのです」