第101話 『魔女の教え子』
怪盗イタッチ大作戦!!
著者:ピラフドリア
第101話
『魔女の教え子』
山を登ったイタッチ達は、魔女の住むという家を超えて、山の頂上に辿り着く。
そして山の頂上から島全体を見下ろした。
「見晴らしいいですね〜」
「ここがハウラ一の絶景ポイントだ」
山からは島にある小さな町を見下ろすことができ、そのさらに奥にはずっと先まで続く青い海が広がっていた。
「確かに絶景だな」
ダッチは近くにあった多いわに飛び乗ると、胡座で座った。
イタッチは岩のそばに立って、ダッチに並ぶ。
「俺はこの景色を見て、世界に憧れた。それをお前達にも見てほしくてな」
山からの景色を見終わると、イタッチ達は山を降りて島の観光を始めた。
漁場では取り立ての魚を貰い、商店街ではくじ引きをやった。いつもの街でも出来るようなこと、だが、場所が変わっただけで、懐かしさと新鮮さを感じていた。
「わぁ、見覚えのある人達がいるじゃないか!」
「イタッチさんじゃない、久しぶりに見たわ」
観光を終えて、宿を目指して歩いていると、小学校の前で小学生のワニとヒヨコが話しかけてきた。
「なんだ、この子供は? イタッチ、知り合いか?」
「まぁな。久しぶりだな、ワニワニくん、トットリちゃん」
イタッチはしゃがみ込んで、小学生の二人に目線を合わせる。
「魔女に襲われた時依頼じゃないか!!」
「そういえば、そんなこともあったな」
イタッチが小学生と話していると、ふとワニの頭に乗ったヒヨコとアンの目が合う。
「あら、私達とそんなに歳変わらない仲間もいるよね」
「初めまして、アンと申します……。えっと、ニワトリの子供?」
「失礼ね、私は麗しい白鳥の娘よ!!」
「いや、どこからどう見てもニワトリなんですけど…………」
イタッチと子供達が談笑し、話が終わるとイタッチ達は彼らと別れて宿に戻った。
宿に戻り、イタッチ達は畳の上で一息つく。
「決行は明日の夜ですね。下見も済ませたし、問題はなさそうですね」
「だな。それよりも……」
刀の手入れをしながらダッチはイタッチの方に目線を向ける。
「魔女と戦ったことがあるのか?」
「魔女っていうか、この島に住んでる魔女の教え子、そいつと軽くやり合ったことはある。あの子達を守るためにな」
「魔女の教え子か……。どんなやつなんだ?」
「変わり者だよ、物好きで収集癖のある。そういえば、アイツの使ってた技、最近も見たような…………」
イタッチは会話の途中であることが気になり、過去のことを振り返る。
魔女の教え子の使った技、その中に岩の人形を動かす技があった。手の長いゴーレム……。