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第6話、ゴブリンに服を剥ぎ取られそうになりました

 ベッドで目を覚ました。


 なんか、変。妙に、暖かい。

 なんで、下半身こんな暖かいんだっけ。


 えっと……


 寝起きの頭でボーと考えてると、

 お腹のあたりでモゾと何か動いた。


「へ? まさか!」


 慌てて布団をはぐと、そこに!


「ファイ? な、なにやってるの!」


 ファイが腰の辺りに抱きついて寝ていた。


「ん? んー……まだ寝る……」


 ファイは目も開けずに、

 私のお腹にスリスリと顔をすりつける。


「いやいや!

 なんで私の下半身抱き枕にしてんの!

 起きて! 寝ないで!」


「えー、まだ眠いんだけどー」


「ファイのベッドあっちでしょ」


 と、ギルドルームの端を指す。


 そうだ、昨日。

 神殿にギルド申請通って、

 ギルドルームを得る事が出来た。


 ファイがギルドメンバーに

 なってくれたおかげだ。


 ギルドルームは、

 狭いが、居間と寝室の二部屋で、

 寝室には2つの簡易ベッドがあった。


 これで、宿の心配しなくてすむ!


 と、昨日は喜んで寝たんだけど……


「なんで、私のベッドにいるのよ」


「だって、朝冷え込むし、寒いじゃん」


「人を暖房にしないで」


「あと柔らかくて気持ちいいじゃん」


「クッション代わりにするのもやめて!

 もう起きて! ほら!」


「ふわぁーい」


 寝ぼけてフラフラと起きるファイは

 見るからに子供って感じだ。


 なんか、結婚もしてないのに、

 子供が出来た気分……


「ねぇ、ギルドマスター。

 今日、神殿依頼の仕事だったよね」


「うん。ギルドルームの為に」


 ルームはタダで貰えるわけでは無い。

 維持するためには、神殿から与えられる

 軽微な依頼をこなす必要がある。


 大抵、駆け出し冒険者でも出来る雑用で

 少しだが報酬も出る。


「報酬出たら分け前、頂戴ね」


「いいよいいよ。だから存分に働いて」


「仕事の内容は?」


「ゴブリン退治」



  □□□□



 城下町アリアンの外には、

 森が広がっていて。

 森ゴブリンが住み着いていた。


 増えると、街道を歩く人々を襲う為、

 定期的に絶対数を減らす必要がある。


「森ゴブリン20体を倒し、証拠として、

 そのドロップ品をもち帰る事」

 それが依頼。


「子供でも出来るじゃん」

 と、子供の身なりのファイがいう。

 ナイフを構えて。


「心強いね。期待してる」

 私も剣を構える。


 私たちの殺気を受けて、

 森の中がざわつきだす。


 これは戦いだ。

 向こうも命がけだし、

 こっちも生きる為だ。


「心して、戦う!」


「承知!」


 茂みから襲いかかってくるゴブリンに、

 剣を振り下ろした。



 ファイは、速かった。

 身のこなしも軽くて、

 素早く正確に、ナイフを突き立てた。


 さすが、盗みで培った手癖だ。


「すごいねぇ、頼りになるぅ」


「マスターも、予想より全然強い」


 どんな予想だったんですか。


 茂みから飛び出したゴブリンに、

 振り向きざまに、剣を振り抜く。


 悲鳴をあげて、足下にゴブリンが転がった。


「今、何体?」


「7体だよ、マスター」


 順調だ。

 これなら日が暮れる前に片付く。


 8体めに、ナイフを刺した時だった。


 バキンと音を立てて、ナイフが折れた。


「あー!」


 ファイが折れた柄を持って叫ぶ。


 私はゴブリンにトドメを刺してから、

「年期が入ったナイフだったからねぇ」

 と声をかける。


「一本しか持ってないのに!」


「じゃあ、これ使って」


 そう言って

 腰に挿していた短剣を鞘ごと差し出す。


「これ……って、アリアンソード?」


「あげるから、使って」


「え? いいの?」


「いいよ! きっとファイなら使える!」

 どうせ貰い物だし、私には短いし。


 ファイがアリアンソードを構える。

 その素早さで、ゴブリンに切り込む。


「いいね! すごい! 段違いだ!」

 武器がよくなっただけで、格段に強い。

 もとが力を持つからだ。


 これなら……もしかしたら。


「ねぇ、ファイ。

 ちょっと試したい事あるの」


「え? なに」


 今のうちに、試してみよう。

 ここなら、誰もいないし。


 私はその場で、

 着ていた勇者の男装を脱ぎ捨てた。


 そして、準備していた、

 踊り子衣装で、剣を構えた。


 ざわ、と森の中が一瞬静かになった。


「え? なにそれ下着?」


「違う! 踊り子衣装!」


「マスター、踊り子特性あるの?」


 やっかいな事にね。


「や、やっぱり。無理があるかな、

 この格好で戦闘って」


「……僕は良い思うよ、お姉さん!

 どんどんやって!」


「なんでショタ声で猫かぶってんのよ」


「太ももとか丸見えだし。

 胸が揺れてすごいよ!」


「わざわざ言わないでよ、

 恥ずかしいのに!」


 そう、恥ずかしい。

 なんか視線を感じる……

 森中から、注目されてる気が──


 ガザと茂みの中から、

 三体のゴブリンが飛び出した。


「三体? なんで全部私に?」

 よりにもよって!


「そりぁ、そんな格好したら、

 みんな注目するしー」


「しみじみ分析しないでよ!」


 防御力ゼロなのに、

 目立って集中攻撃されるって、

 なにそれ!


 剣で攻撃を受けるだけでやっと。

 グイっと体が引っ張られた。


「へ?」


 ゴブリンが引っ張っているのだ。

 踊り子衣装の、少ない服を。


へ? な!


「ふ、服を剥ぎ取ろうとしてる?」


 胸あてを後ろから引っ張られて、

 胸がズレ落ちそうで、慌てて押さえる。


 持っていた剣が、音を立てて落ちた。


「ちょ! やめて!

 パンツ引っ張らないで!

 脱がそうとしないで」


 なにこれ、デメリットしかないじゃん!

 なにができるの踊り子って、

 そうだ仲間を『再行動』できる……


 ファイ! 再行ど──


「って、なんで立ち止まってるのファイ!

 なんで見てるの!」


「いや、冷静に考えたら。

 服が脱がされるを待ってる方が、

 得かなーって」


「何が得なの! 何が!

 お願い! ファイ!

 報酬上乗せするから!」


「仕方ないなぁ。

 今度ギルドルームでも、

 その格好してね、僕だけに」


「なんでもいいから早く助けて!」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『次回予告』


「僕がマスターを奪ったら、

 魔王は悔しがるよね」


「あなたは、僕が奪う。魔王から」


「魔王なんかより、

 ずっとイイコトできるよ。マスター……」


次回も、お楽しみに!

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