水曜日
水曜日は雨が降る、それはそれでびったりですが、太陽はまた空に浮かべ微笑んでいた。こんな気象は滅多にあるものではなかった。
戸倉ゆきみが傘を支え歩きながら、少し濡れていた靴で大学の正門を出た。
水曜の午前に講義がなかったので、戸倉ゆきみは街に出て買い物をするつもりだった。この様子からみると、大雨になれないはず、すぐ止むと見込んだ戸倉ゆきみはよく通うコーヒー屋でひとときの休みを取った。
窓の位置を取った戸倉ゆきみは雨粒が水窪に落ちて、漣を広げるのをじっと見つめた。催眠されたように目が離せなかったが、脳の回転は止まらなかった。
自分は裕福な家に生まれ、欲しいものが大概手に入れる。成績も優秀、スポーツ万能と言えないが、普通より大分上だった。結構いい大学に受けて、まさに明るい未来が約束されたと両親や周りの人に期待されていた。
こういう人生には不満がない、ないけど、何かが足りない。それは何百回も自分に問いかけたが、未だに答えの影さえ見えないのだ。
注文したコーヒーが来たことで、戸倉ゆきみの思考を中断した。
雨は止んで、戸倉ゆきみは買い物の旅を再開した。本屋で必要の参考書を探し、受付で壁に掛かった時計は十二時をさしていたを見て、戸倉ゆきみは昼ごはんをどこで食べるのかについて少し困った。
すぐ気分に任せと決めた彼女は本屋を出て、そのあたりで物色はじめた。
その時、前に赤いボールを持ってる女の子は戸倉ゆきみの目を引きついた。単純で悩みのない子供時代の自分を思い出そうで、複雑な気分になった。頭を強く左右に揺らいで、それを振りほどくつもりが、前の女の子は一瞬で戸倉ゆきみの視界から消えた。鋼鉄を地面に衝突する音を耳に響いた、まだ乾いていない路面に赤い色に染めゆっくり濃くになった。
「誰か、子供が…」
周りに女の悲鳴が聞こえた。その声に、戸倉ゆきみはやっと目の前起こったことを把握した。どこから手すりが落下し、前の女の子は運が悪くそれに当たれられた。その様子から見れば、おそらくすくえがないだろう。
午後の講義はちっとも耳に入らなかった。戸倉ゆきみはその事故を目撃してから、ずっと女の子のことを哀れと思っていた。
自分の人生ついても改めて考え始めた。もしいつか自分もそんな不慮なことにあったら、今までの悩みはバカのように見えるじゃないか。
その晴れない気分は彼女が寝る時まで続いた。