火曜日 ループ 1
目覚まし時計に呼び覚ませ、目を開けとすぐ閉じた。
「後ワンラウンド寝る!」
上條すすむは宣言通り、3分後ちゃんと起き上がった。
「わあ、きのうの対戦相手は強かったな。って、練習なのに真剣過ぎるだろう、まったく!」
上條すすむは歯を磨きながら心の中で言った。
校門で西山が後ろからいきなり肩を抱かせた上條すすむは微かな違和感が感じた。
「よお、すすむ、今日は一緒に遊びにいくか?」
西山の行動とセリフは昨日とまったく同じじゃないかと思う上條すすむに、さらに確証を得た。
「ああ、そうか、お前、今日ボクシングか?じゃ、今度な!」
「昨日も同じこと言ったな、西山?」
「はあ!?」
上條すすむの言葉に西山の方が驚いた。
「おれ、昨日は学校来てないよ。憶えてないのか?」
西山は来なかった日はたしか月曜日じゃないか、上條すすむはさらに困惑した。
「今日ってなんにちだっけ?」
「火曜日ですよ、火曜日。大丈夫か、お前、練習で頭がやれたのか?だから、ボクシングをほどほどにすればいいっと言ったのに。……」
上條すすむはその「火曜日」の後の山西の話は全然聞いていなかった。
数学授業に眠ることをしなかった上條すすむに教師から何度も疑いの視線を感じた。その時、上條すすむの頭を占めることは昨日交差点で起こった悲劇でした。
もし、今日は昨日だとしたら、あの女の子を救えるかもしれないと彼は思った。思うことはすぐ行動にするタイプの上條すすむはチャイムを止める前に教室から駆け出した。
はやく、昨日よりもっとはやくその交差点に行かなきゃ……無駄にボクシングをやってない、上條すすむは力強く地面を蹴り上げながら、目的地へ向かって走った。
なのに、途中幾つの信号を待つ時に、時間を過ぎていた。そこに到着したのはほぼ昨日と同じ時だ。
昨日と同じ赤いボール、女の子、間に合わなかったのか?上條すすむは悔しさに埋もれそうな時、キノコの髪型の大学生風の男は風のように駆け付け、女の子を胸に抱きしめ、安全などこに退避した。
全身の緊張を解かした上條すすむは一つ深呼吸して、男と女の子のどこへ駆け寄った。
「大丈夫ですか?」
男はポカーフェイスで上條すすむを一瞥した。女の子は笑いながら答えた。
「大丈夫です。ありがとう、お兄ちゃんたち。」
「交差点が危ないから、ボールが逃げても、もう追うなよ。昨日みたいなことがあったら、もう…」
上條すすむは女の子に注意した。
「うん。」
女の子は頷きながら笑った。
本当に分かるのかな、この子?上條すすむはこころの中で溜息を吐いた。
さきの男は足元の鞄を拾い、立ち上がると、上條すすむを真っ直ぐに見つめた。
上條すすむ自身は無心かもしれないが、さき言い終えなかったのセリフはもうひとつの意味を示した。
「昨日もって、おまえ、昨日のことを憶えてるの?」
素直に答えてもいいのかな?上條すすむは少し躊躇ったが、またこの人こともが救ったから、悪い人じゃないはずと思って、頷いた。
「昨日この子はここで交通事故があって亡くなった。おれは記憶がある。」
「そうか。もしあしたも昨日と同じことがあったら、この子を救ってくれますか?」
上條すすむは目の前の男の思考回路についていけなかった。
「えっと、今日は救うつもりでした、間に合わなくて失敗した。幸い、あんたがここにいた。
こういう人もいますね。冷たく見えても、他人が危ない時救いの手を差し出してくれるんだ。それにしても、先は早かったな!普段、鍛えてるのね。上條すすむは思いながらジムへ進めた。おれの出来ることはないと思うが…」
「おれにはもう一人救いたい人がいった。この子の事故とほぼ同じ時間、でも場所はちょっと離れてる。一応注意したのですが…」
ますます変な方向へ行く会話でも、上條すすむは信じる前提で続けた。
「なら、今、そのもう一人はどうなった?」
「まだ分からない。」
男はポカーフェイスですが、声から悔しさが聞こえた。
「でも、おれが頷いても、明日はまだ火曜日になることの保障はないだろ?」
「だから、『もし』の話だ。いま、おれが見つけたループを気付いた人はおまえとあいつだけだ。今日はあいつを救えなかったら、もし明日があれば、おまえの協力がほしい。」
だから、ポカーフェイスに言うセリフじゃないだろっと心の中で突っ込みながら、上條すすむは男と約束を交わした。
多田めぐるさんか、ちょっと変な人だが、なんか信じられると思った上條すすむはジムに昨日とまったく違う戦いを回りのみんなに見せた。
上條すすむは「いい練習したな、今日は一発も食らわなかった」と思う同時に、いささか卑怯と思った。
今度、絶対あの女の子を助ける。寝る前に上條すすむはもう一度決心した。