1-1何故、今、日本に空母が必要なのか?
今の日本に空母が必要な理由
それは、結論から言えば対中防衛ラインが日本海迄後退するからだ
しかも、今後それが常態化する事になる
なぜその様なことが起こるのか?
それは中国の拡大路線、一帯一路構想の東の終着点が太平洋 だからである
そもそも中国はその地政学的に太平洋とは接していない
地球儀を見れば判り易いが、その海岸線は日本、台湾、フィリピン、マレーシア、インドネシアによる諸島国家によって囲まれているのだ
特に南シナ海はフィリピン、マレーシア、インドネシア、に加えてベトナムの領海が接しており、かなり複雑な情勢となっている
一方で東シナ海側は、日本列島がその大半に蓋をする様に伸びており、事実上中国の海岸線の半分以上を日本一国で塞いでいる
台湾は少し特殊で、そこ一国だけでは大した影響は無いが、丁度東シナ海と南シナ海の間に位置する関係で日本列島とフィリピンを繋ぐ中継地の様な位置に有る為、中国の太平洋進出を阻止する要石的な役割を担っている
この様にユーラシア大陸の東に位置する諸島国家群が大陸の東側を蓋をする様に広がっている為、中国は太平洋への進出が出来ずにいるのだ
では何故中国の太平洋進出が問題なのか?
それは、中国が太平洋進出する事で太平洋側海洋物流網の脅威になり得るからだ
例えば日本の場合、南シナ海のシーレーンは中東諸国との重要な動線となっており、此処を抑えられると中東諸国だけでなくインドを始めとするアジア各国との貿易に多大な影響が出る事になる
実際、中国が南シナ海に人工島を建設したのは、領土的野心という以上に日本への牽制を目的として、此のシーレーンを抑えようとした様に見える
ただし、この行為は同時にその航路を使用する中東、アジア各国、延いては欧米各国に対する脅威となっている
さらに中国は各国の港湾施設を租借という形で支配権入手しており、これらの港湾施設を中心に海軍を展開し、各国のシーレーンに圧力を加える事がその目的であると考えられる
これは日本のみならず、世界各国の経済と物流に対する重大な脅威となり、世界的な対中包囲網を形成する要因にもなっている
中には別の航路を使用すれば良いんじゃね?と簡単に言う者もいるかもしれないが、事はそう単純なものでは無い
そもそも現在使用されているシーレーンの殆どが過去の経験によってリスクとコストが収束し、今まで使われ続けて来たという"実績"によって担保されている"安全な"航路なのだ
だから、この航路から外れるという事は通常よりリスクが高く、コストの掛かる航路を使用すると言う事になる
リスクに関して言えば、現在はGPS等の普及でさほど高くならないかもしれ無いが、それでも港湾施設等のインフラはシーレーンに沿っている事が多い為、いざと言う時の対応力に問題が残る
更にコストに関しては確実に高沸する
これは、距離が伸びる事や海流、気象等の影響による時間や燃料の増加も有るが
おそらく一番大きいのは保険料の増加だろう
先にも書いたがシーレーンは"安全な航路"なのだ
言い方を変えればシーレーンから外れた航路を使用すると言うのは"安全でない航路"を使用すると言う事であり、当然その船舶に掛けられる保険料はその分高くなる
私も専門家では無いのでどの位上がるかは判らないが、南シナ海の中東とのシーレーンを使えなくなった場合、日本のGDPに影響が出るレベルで経済的損失を被るだろう
そしてそれは日本だけの問題ではなく、同じ航路を使用する全ての国にも言える事でもある
中国の一帯一路の東端が日本では無く太平洋であるのはこの為で、太平洋側の航路を掌握する事でそれを利用している国々に圧力を掛ける事が狙いなのだ
そしてもし中国がアメリカに言い放った様に太平洋の半分を支配したなら、島国である日本はライフラインを中国に握られる事になる
又、東南アジアの各国も同様にライフラインの多くを中国に握られる事になるだろう
こういった事態を回避すべく、遅ればせながらではあるが世界はゆっくりと動き出した
これが太平洋側に於ける昨今の対中国動向の概要であると私は見ている