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終わりを告げる
この国は、間違っていた。
上層部が私腹を肥やし、それ以外は飢えに苦しんでいた。
私は、それを間近で見ていた。
でも、何かを出来るわけではなかった。
私は、弱かった。力がなかった。
華が咲き誇る庭園で、力なく佇むことしかできなかった。
『誰か──助けて』
この国を
民を
助けて
───────
「これは、」
「手紙ですよ。オーカス様。」
「手紙……」
「そう。それはそれは、熱い想いの綴られた、ラブレターですよ。」
カレンデュラ・リーン・エルランの最後を請け負った男は、少女の婚約者であった男にそう言って何冊にも及ぶ、手紙を押し付けた。
「……………カレンデュラ・リーン・エルランは、最後に何を考えていたと思う?」
「さぁ?俺には、なんとも。でも───恐らく、感謝してたんじゃないか?」
「感謝──」
男は、静かにノートに触れた。
───────────
かつてこの国は悪逆非道のエルラン一族に支配されていた。
悪を討ち果たすために、英雄は立ちあがり、討ち果たした。
この国の民は、口々に言うだろう。
「英雄のお陰で、今の幸せがある」と
一応、最終話です。