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生き返った僕は微妙な霊感を手に入れた  作者: 青い筆
田中と教祖と七不思議
9/10

姉弟と恨みと殺人鬼

お久しぶりです。半年間も何をしていたんだ私は・・・

「ここか」

「はぁ、隅の部屋に行くだけで一苦労じゃないですか・・・」

 直線で見ればそんなに遠くないはずなんだが、なぜか滅茶苦茶に遠い。それに何回か同じクラスの前を通った気がする。まあ、多分気のせいだろう。

 扉を勢いよく開けようとして喜羽は手を止めた。

「先輩が開けてくださいよ」

「いや、お前が開けろよ」

「またあの覚醒したカオナシみたいなやつがいたら嫌じゃないですか!」

「俺も嫌だわ!」

「じゃあ、ここは真剣勝負と行きましょう」

「あれか」

「最初はグー・・・」

 俺たちは呼吸を整える。

「ジャンケンポン!」

 結果は俺の勝ちだった。

「はぁ、私の負けですね。負けが勝ちとかは・・・?」

「無い。開けろ」

「うぃっす」


 嫌そうにこちらを見ながら扉を開ける喜羽。

「なんかいます?」

「自分で見ればいいだろ」

「それが嫌だから聞いてるんでしょ!」

「俺の反応でなんかヤバイの居ないって察しろ!」

「あっ、それもそうですね」

「一々こんな会話をしてたら疲れるわ全く」

「憑かれる。の間違いでは?」

「やめろ」

「うぃっす」


 それはさておき、見た感じ教室の中には誰もいない。かといってあの天下の花子さんの助言だ。何かあるだろと言う適当な理由で中を捜してみることにした。



 そんなこと言っても、一瞬で「それ」は見つかったんだけどな。

 体育座りをして頭を伏せ泣いている女の子。その泣き声は今にも消えそうで儚い。だから入ってからじゃないと気づけなかった。


「どうして泣いてるんだ?君もここに閉じ込め―――」

 こちらをみた彼女には、左目がなかったのだ。俺は今までにそういう物を見てきたから平気ではあるが、喜羽にはやっぱり刺激が強かったようで、目をそらしている。


「閉じ込められている。という表現が正しいのかはわからないわ」

「と言うと?」

「私がここにいる。ってことは未練があるから。未練が無くなれば成仏できるかもしれないし、できないかもしれない。自分でもわからないわ」

 話しかけるとすぐに泣き止み、客観的に自分を見て話してくれた。


「その未練って言うのは何だい?」

「私達を殺した殺人犯に対する恨み」

 やっぱりそうか。そいつもここの七不思議の一人になっている訳だが、あったところで、か。

「さっき会った男の子も左目がなかったですけど。なんか関係あるんですかね?」

 よくわからない方向を見ながら喜羽は言った。


「晶もいるの!?」

 女の子はいきなり立ち上がった。

「晶って?」

「私の弟。私と一緒に左目を取られた」

「そんなことどうでもいいの。晶はどこにいるの!」

「わかりませんよ。そんなこと言われても」

「そう言うな。俺も悪い事しちまった。一緒に探してあげる位はしようじゃないか」

「危険が増えるだけじゃないですかぁ。そんなの」

「もしも成仏できたらそのままちょっとした穴ができて脱出できるかもしれないぞ?」

「確かに・・・」

 花子さんは理科室の例の奴を分散させないと出られないと言っていたが、元々前例はない訳だし少しでも変わる可能性を秘めてる事にすがってもいいと俺は思う。


「会えても殺人犯が消えでもしないと成仏できないけどね」

 女の子は言った。

「やっぱりメリットないじゃないですか!」

「喜羽よ、こういう言葉を知ってるか?」

「なんです?」

「一日一善 という事で行くぞ」

「この人滅茶苦茶だぁ」

 無理やり引きずり、教室をでた。



 ―――――—――――――――


「先輩」

「なんだ」

「全然見つからないじゃないですか」

「言うな」

「この子も疲れたって言ってますよ」

「私は幽霊だから疲れることはないわ」

「こう言ってるぞ。嘘つくならもっとまともな嘘を付け」



 そんな話をしている時だった。片眼鏡のレンズが黒くなった。前はなぜか見えるが、見るからに漆黒って感じだ。これが花子さんの言っていた霊圧ってやつが濃くなったってことか?


「気を付けろよ。この先なんかいる」

「何かって?」

「わからないから気を付けろって言ってるんだよ」



 俺たちは慎重に進んだ。その先には—――


 左目のない男子生徒をズタズタに引き裂いている男がいた。

「—――ッ!晶!」

 女の子は、冷静さを失い言った。

「多分聞くまでもないが、こいつが殺人鬼ってやつか?」

「えぇ、私を殺した殺人鬼で間違いないわ」


 そう言っているとこちらに気づいたようだ。

「生きている人間、ですね?」

「そうだと言おうが違うと言おうが殺す気満々じゃないか」

「まぁ、そうなんですがね」

「死者をいたぶっても面白くないんですよ。やっぱり生きた人間じゃないと」

「殺人癖は死んでも治らなかったか」

「治るわけないじゃないですか。この世で殺人以上に楽しい事なんてないんですから」

「・・・狂ってるな」

「褒めないでくださいよ。褒めてもあなたの死が早まるだけです」

「言ってくれるじゃないか」


 俺は竹刀を構えた。あっちも包丁を構える。


「少しは私を楽しませてくださいねッ!」


 戦いの火蓋が切られる—―――――


これからはまたペースを戻していくので、よろしくお願いします

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