田中と教祖
書き始めって本当に迷います。まよいマイマイです。
「先輩、七不思議って信じますか?」
この話は、この一言から始まる。
「ほら、私ホラーな事記事にまとめてサイト運営してるじゃないですか?それで一つ面白い話聞いたんです!」
「は?お前教祖じゃなかったのか?」
この女、佐久間 喜羽は教祖である。教えとかは興味がなく覚えてはいないが、数千人程度の信者がいるとか。
「もーそれは副業ですって!本業はサイト営業です!」
「儲かんのか?それ。」
「大体の儲けは副業の方ですけど・・・そんなことはどうでもいいんです!」
一気に話をぶった切った。
「えーこほん。こんなこじゃれたカフェに呼び出した本題を話しましょう。」
「おう、手短に頼むぞ。この後見舞いに行くんでな。」
「えぇ、そんな長い話でもありませんし、すぐ終わります。」
そう言うと喜羽は話し始めた。
「今度行く取材の場所、それがこの辺りの廃校になった中学校なんですけど、たまに二階から生徒がこちらを見ている。だとか廃校になったはずなのに生徒の話声が聞こえる。というまさにホラーの定番な内容の話を聞いたのです!」
「そうかそうかー行ってらっしゃい。」
そんなもんに俺は興味もない。
「あー!無駄な話聞いた。みたいな顔しましたね!」
「実際そうだしな。じゃあ俺はこれで。」
立ち上がろうとすると、引き留められた。
「ちょちょちょ、ちょっと待ってくださいって。まだ話は終わってないんです!もはやこれからが本題!」
長くなりそうだな。と思い俺はコーヒーのおかわりをもらった。
「それで、ここまで来たら最後まで聞いてやるよ。」
目をキラキラさせながら喜羽は話をつづけた。
「それでですね!私は今なお続く七不思議の呪いだと思うんです!いろいろなところにもアポとりまして、明後日その中学校に入れることになりました!」
「ふーん それでどうしたんだ?」
「一緒に行きましょう!」
「いやだ。」
「速いっ!間をおかずに断られたっ!」
「なーんで自ら好きこのんでそんなところに行かにゃらなんのだ。」
「うーん・・・探求心!」
「そんなもんで憑りつかれでもしたら嫌だろ。」
「ほら、霊媒師にでも頼めば解決ー みたいな。」
「そんな甘くねえよ。」
俺の時も、そうだった。
「うー でもこんな可愛い女の子一人で廃校に行かせていいんですか?」
身長は150ちょっと。黒髪ミディアムの顔はまあ、結構かわいいに入るだろう。ファッションセンスもいいしな。
「・・・・・・・」
「しょうがねえ。俺も行くか。」
「本当ですか!!?」
立ち上がって本当に喜んだような顔をしていた。
「ただし、依頼としてで頼む。そうすりゃ楽だ。」
「わかりました!」
こうして、俺はどこぞの教祖と一緒に中学校に行くことになったのだった。
「へー、田中君その喜羽ちゃんって子と学校デートするんだー。」
「デートじゃねえ、依頼だっつってんだろ。」
こいつはいつもと同じように笑っている。
「まー僕の事は気にしないできちんと依頼をこなすんだよー。」
「何様だお前。」
「えへへー、でも気を付けたほうがいいよー田中君も多少は霊との関係を持った。それだけで霊に遭いやすくなるって守護霊さんが言ってたからねー。」
「あぁ、気を付けるわ。お前はゆっくり体休めろよ。」
「うん。仕事頑張ってー。」
そんな会話をして、俺は見舞いから家に帰った。
「先輩遅いですよー。全く5分遅れなんて男としてサイテーです!」
「うるせ 来ただけいいと思え。」
時刻は午後9時、喜羽いわくその感じも味わいたいそうだ。
「さっさと終わらせるぞ。」
そう言って俺は校舎の門を開いた。入った瞬間今までとは違う空気を感じた。
重い、空気が。そして、寒い。体感3度は下がったと思う。
「さー行きますよー!」
こいつ、感じてないみたいだ。
「お、おい―――」
「あっれれー?ビビっちゃいました?さき行きますよー。」
そう言うと玄関の扉を開け、中に入っていった。つべこべ言ってられないようだった。
俺は走ってあいつを追いかける。
「もー先輩遅いです。」
「お前、ここやばいぞ。入った瞬間から寒気が止まらない。」
花火中学校。ある日入ってきた不審者による大量殺人。そして謎の病が大量に出て学校として誰も入学させたくないということで廃校になった。
取り壊ししようとしては事故やらが多発。壊すのも中止された。
「私そういうの全然ないですよ?先輩の思いからくる奴なんじゃないですか?」
「絶対違う。とにかくこれ以上進むべきじゃないって体が言ってるんだよ。」
「そんなこと言っても私は進みます!そこまで言われるんだったら絶対怖いもの見られるじゃないですか!」
「どうなっても知らんぞ。まじで。」
「大丈夫!責任は私がとりましょう!」
こんなテンションのアホと一緒に探索することになった訳だが、俺は無事に帰ることができるのだろうか?