地味な霊感はないのと同じだと思ってたよ
頻度は非常に遅いと思われます。
ふわっとした感じで書いているので
ある日、僕は一度死にました。
そしてそれ以来少しだけ霊が見えるようになったのでした。
どうしてそうなったのか、という僕の人生の一つのターニングポイントの話を今回はしていこうと思います。
その日、僕は小学校からの友人の田中君と一緒に自宅で遊んでいました。すると田中君はいきなり
「絵描きで勝負しよう」
と言ってきたのでした。
僕は絵に少しばかり自信があったので快くその勝負を受け入れました。
ペンを受け取り、上の部分を押すと、その時電流が走ったのです。そうビリビリペンだったのです!
驚きのあまり僕はひっくり返りました。そこで頭を強く打って僕は死んじゃったのでした。
え? なんで死んだってわかるのかだって?それはその話の続きで分かることでしょう。
次に目が覚めるとそこは真っ暗な空間でした。
目を慣らそうとしていると、肩を叩かれます。誰だろうと思い振り返ると、そこには草取り用の鎌を持った骸骨がいました。
骸骨さんはしゃべります。
「あのー、大変申しにくいんですけどもーあなたは死んじゃったんです。」と軽い感じで言われました。
「あーそうなんですかー」僕も軽く返します。
「なんか冷静ですねー普通の人だと膝から崩れ落ちる人が大半なんですけどねー」
「えへへーこれでも状況飲み込むのに時間かかるんですよねー僕」
この時僕は理解していません。今日の夕飯考えてました。
そのタイミングで骸骨さんの頭が落ちます。
「冷静なんじゃなくてただバカなんですね・・・」
びっくりして落ちちゃったみたいです。 かわいそうですね。
この辺りで僕は状況を理解してきます。
自分が死んだことを理解します。
「僕死んじゃったんですか!?」
「だからそういってるじゃないですか・・・」
そしていきなり顔が真剣になって、
「でもですねー実は生き返ることができることになりました。」
そういいました。
「なんでなんですかー?抽選か何かで決まったんですかね?」
別に生き返れるんだから適当に戯言を振ります。
「いやー死後の世界も厳しいんですよ。いくらなんでもビリビリペンでびっくりして頭打って死んじゃった!なんて言ったら、秒でいじめの対象ですよ。死んでなお死にたくなりますよ。」
経験者みたいな言い方ですが、受け入れましょう。 いじめられるの嫌です。
「そんなこと言っても、普通に元の世界に返すのも、癪に障るというお偉いさんの言葉がありまして。」
骸骨さんはトランプを3枚取り出します。
「この中の一枚を引いてください。一枚一枚に厄が書いてありますので、それを背負って生きてください」
はーい 別に迷っても面倒くさいだけなので適当に選んじゃいます。 えい。
引いたカードには 「なんか微妙に霊感が憑く」と書かれていました。憑く?なんかおかしいけれどまあいいでしょう。
ちなみにほかの二枚は、「死ぬまで幸運が訪れなくなる」 「どこかに行くと絶対忘れものをする」
というものでした。
「それじゃあお元気で―。」
骸骨さんが手を振っています。そして僕の体はどんどん空高く上がっていきます。
次に目が覚めると、そこは病院のベッドの上でした。
「おおっ、起きたか」ベッドの隣に座っている知らない人がそういいます。
よくみると右足が犬に強めに噛まれたみたいになっていました。
「その足どうしたんですか?」
「これは地獄の番犬と戦った時の傷で・・・ってまず聞くのはそこじゃないだろう!」
見事な乗りつっこみです。座布団一枚あげましょう。
座っていた人はため息をついて自己紹介を始めます。
「私はお前の・・・・・・そ、そう守護霊だ!見えるようになったのはいいことだな!うん!」
言葉が詰まったのは不思議でしたが、守護霊さんなら大丈夫でしょう。
「微妙な霊感ってこういう事なんですね」ぼそっと呟きます。
「私は感謝しなきゃいけないんだけどね。」
見えたほうが都合の良いことあるんでしょうか。まあいいです。
お腹が減りました。何かを買おうと思い、ベッドに立てかけてあったマイバッグを持って病室をでます。
出て早々、ナースさんに会いました。挨拶をします。「こんにちは」
ナースさんは悲鳴を上げました。驚いてまた死んじゃうのでやめてほしいです正直。
悲鳴を聞いたほかの看護師の人たちが数名寄ってきました。
「君?体の調子は大丈夫なのかい?」
一人の先生に聞かれます。
「元気いっぱいですよ本当に」
できる限りの作り笑顔をして答えました。
「昨日君は心肺停止になっていたんだよ」
わーお驚き やっぱり死んでたっていうのは本当だったんですね。
「大丈夫です。」
先生をかわして一階へ降ります。いた階は二階でした。
軽くコッペパンを買って食べます。
満足したので病棟に戻ると、退院というお話がされました。
お金は田中君が払ってくれたそうです。罪悪感すごかったんでしょうね。
退院手続きが終わって、家に帰るとそこには田中君がいました。
「ごめんな、まさかビリビリペンでびっくりして入院するまでになるとは思わなかったんだ。」
それがふつうだから気にしなくていいよ とすかさずフォローを入れます 僕の精一杯のやさしさです。
「あぁ、そういってくれるとありがたいよ。あの件以来肩が重かったりいろいろでさ。」
ん?なんか田中君の肩に憑りついてます。
「ねぇ田中君 背中になんかいるよ。」
「えっマジ?」
すごい速度で振り返りました。
「嘘つくなよー何もいないじゃんか。」
びっくりさせやがってーと笑っています。
でもやっぱりいます。
「ちょっと動かないでね。」
そう言って田中君の後ろに回ってみると、そこには肩に寄りかかっている30代くらいの女の人がいました。
「すいませーん」
話しかけてみると、一度こっちをみました。でもシカトしました。
触れることもできないようなのでこれは守護霊さんに手伝ってもらいましょう。
守護霊さんは振り返ると大体います。
「ちょっとこの人と話せる状況作ってくださいよ。」
無茶ぶりします。
するとその女の人の頭を握って肩から持ち上げて目が合う位置に置きました。
シカトしとけば大丈夫と高をくくっていたと思われる女の人はパニック起こしてましたが。
「田中君から離れてくれないですか?」憑りつくのをやめてください という意味です。
「へっ、いやだね。こいつの肩は居心地がいいんでね。離れるもんか。」
反抗的です。 反抗的犯行です。
チッ 守護霊さんが舌打ちをしました。
「そういうこと言ってると頭握りつぶすぞお前。」
呼吸をするかのようにとても怖い脅迫をしました。
女の人は歯がガタガタいってるくらいおびえています。
「早くこいつから離れて成仏しろよ。」
守護霊さんの追い打ちです。
「で、でもまだ私は成仏するわけにはいかないんだ。こいつから離れても・・・だ。」
ここまで来たら何かの縁です。 話だけでも聞いてあげることにしましょう。
女の人は生きていた時の話をし始めました。
「私は、旦那と息子が一人いてね・・・8回目の結婚記念日の直後の事だ。旦那の浮気が発覚した。そこからの家庭の崩壊が早かったね。毎日のように私と旦那は罵り合い子供は泣いた。
そこで私はもう離婚しよう。って思ったわけさ。そして離婚届を叩きつけた。すると旦那は逆上して私の首を力いっぱい絞めた。それでこのありさまさ。その時息子は学校に行ってて気づかれなかった。」
でも、親とかが気づくんじゃないんですか?
「私の母は早くして病気で倒れちまってね。父親はショックでボケが進んで老人ホーム暮らしさ。それに私は専業主婦だったし、そこまで近所との交流もなかったからね。」
それでばれないように山のほうに埋められたのさ私は。
「それは酷い話ですね・・・」
守護霊さんは言う。 さっきまで脅してた人とは思えない変わりっぷりです。
「挙句には、息子に逃げたことにされたからね。最低な母親だと思われているだろうね。」
涙をこぼしながらその人は言いました。
「それで、僕たちは何をすればあなたを成仏させることができるのですか?」
旦那を殺せ とか以外ならやりますよ。
「息子にもう一度だけ会いたい ただそれだけなんだよ私の望みは。」
難しい望みですね。 でもまあ一肌脱ぐことにしましょうか。