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バイト探し
アオイは、求人誌を読んでいた。
四月から華の高校一年生になったアオイは、憧れだったアルバイトをすべく、家でゴロゴロとしながら、求人誌を眺めていた。コンビニエンスストアやスーパーマーケットと言った小売店。ファミリーレストランや居酒屋と言った飲食店――どれにしようかと悩んでいると、ある項目で目が留まった。
「ん、勇者?」
ロールプレイングゲームの好きなアオイにとって、勇者と言われて真っ先に出て来るのは王道ファンタジーの勇者だ。手に剣と盾を持ち、魔物を次々と倒していく。そして、仲間と共に魔王を倒して、世界に平和が訪れ、めでたしめでたし――の勇者だ。
「でも、何で勇者の募集? 勇者業界も不況なのかな?」
アオイは首を傾げ、その理由について少しだけ考えてみると、巡り巡って極端な答えへと辿り着いた。
「まさかこれは、私が選ばれし勇者だからじゃっ!?」
ゴロゴロしながらアオイは、また一つ馬鹿なことを考えていた。