王様の名案
■アルカディア王国
「本当なのですか、国王様ッ!?」
国王から告げられたその事実に、家臣は驚きを隠せないでいた。
「ああ、魔王が復活した。恐らく、間違いなかろう。これから次第に、魔物が世界各地へと広がりを始めるだろう。そうなる前に各町村へと赴き、聖水で周囲を清めるよう伝令兵へ伝えて参れ。これは、一刻を争う事態である」
「はっ、分かりました」
兵団長は、国王の言葉を伝えるため、走って王の間を飛び出して行った。
「しかし、一体どうなさるおつもりですか? 勇者の血筋はもう疾うの昔に途絶えてしまったはずでしたが……」
その家臣の声に、国王は深く頷く。
「うむ、分かっておる。いつか来る日が来たと言うだけのことだ。私とて、伊達にこの王座に居る訳では無い。なに、心配するな。既に手は打っている」
「流石は、国王様。差支えなければ、お聞きしても宜しいでしょうか?」
国王はニヤリと不敵な笑みを溢しながら、一冊の書物を取り出し、それを家臣へと手渡した。
「……これは?」
その書物を受け取った家臣は、動揺を隠せないでいた。
「決まっておろう。求人誌じゃ」
「ま、まさかっ……!」
家臣とは対照的に、国王は自らの手腕に酔いしれるが如く、満面の笑みになる。
「勇者を募集しておいた」
「は?」
家臣の心の底から声が漏れた瞬間だった。