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クリエーター  作者: 如月灰色
《第五章 終焉の時》
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~第八十五話~ドタバタ珍道中

皆さんお久しぶりです。白カカオです。長らくお待たせいたしました。続きです。前みたいなペースには戻れませんが、少しずつまた書けるときに書きたいと思います。

「おいどうなってんだよマジで!」


「俺が知るかよ!」


「アンタたち!そんな暇があるなら一匹でも殺りなさいよ!」


 ここはギラン領のこないだの第一次ウラヴェリア討伐戦、獣人族達がハッスルした湿原のやや北(?)。沿岸沿いを進軍…もといマイペースに進んでいた。過去形なのは会話で察してください


 つうか…。


「カトブレバスとコカトリス同時にエンカウントするとかどういうことだゴルァァァ!」


「主、主がやってたロープレだってそんなもんだったろう」


「リアルとゲームを一緒にすんな!ゲーム脳かお前は!」


「晶っ!ブレスきてるぞ!」


「わかってる!ガラム!そこのカトブレ野郎気をつけろよ!」


「貴様なんぞに言われなくても…グバァッ!」


「ガラムっ!アキラっ!」


「へーへーわかってる!よっ!」


 こちら先からご存知の通り七人パーティー。いや、ヘラと白夜で一人分だから六人か。キュートスをたつ時に「七英雄」だのなんだの言われたが、人型が七人であることに変わりはない。対してあちらさんは大型の鶏…もとい鳥類代表、石化ブレスで有名なコカトリスさん数体。そして直死の魔眼を漏れなくお持ちでらっしゃる頭がでかすぎて首が支えきれず、つうか体長の三分の一が首と頭でアンバランスなカトブレバスさん数体。

 いや、カトさんはいいんだ。鈍重と思いきやそこそこ長い尾がやっかいだけど、まだなんとかなるんだ。問題は同じようなサイズのクせに、砂浜でも軽快なステップを刻む鳥野郎まで絡んでることだ。軽いのは脳みそだけにして欲しい。カトブレバスの魔眼をかわしつつ尾に注意を払うと、その巨体の合間からコカトリスが平然とひっかく攻撃!かといってミドルレンジはカトさんの尾が一番活きる間合いだし、今度は石化ブレスが待っている。そして遠距離はカトブレバスの魔眼の有効範囲をいたずらに増やす上に、更に石化ブレスもまだ届く。そして闇雲に攻撃を仕掛けたところで…さっきのガラムを見ての通り。半端な距離で戦おうとした結果、やつは魔眼の効果ににうっかり触れ、体をガクガクさせながら血泡を吹いている。たぶん少し放置したら死ぬな、アレ。


「ちなみに魔眼の効果に触れるとは、合わずともカトブレバスの眼球を視界に入れてしまうことな。良い子のみんな!くれぐれも、カトブレバス見たら逃げるんだぞ!エッチなお兄さんとの約束だぞっ!」


「やっとる場合か。ガラム、HP赤いどころじゃないぞ」


「はいはい」


 重傷のガラムを蹴り飛ばし、物理攻撃の間合いから離れる。そして横たわったガラムに、幾度か魔力を集中させた掌底を叩き込む、まぁ叩き込む箇所はツボとか点穴とか、いわゆる効きやすいところなわけだけど…。


「あっ、やべ」


 少し戦況から目を離した隙に、コカトリスの石化ブレスがこっちまで来とる。こちらは風下。位置関係までそういや考えてなかったと暢気に考えてみたり。こりゃ直撃コースだな。こいつのブレスは魔力じゃなく現象攻撃だから、気配を感じる間もなく気が付けば手遅れだったとさ。


その一。ここで起死回生の一手を思いつく俺。

 うん、そんなものは思いつかん。


その二。ガラムが回復してなんやかんやで助かる。

 こいつまだ意識不明瞭な上に、氷属性のこいつが起きたところで何一つ好転せん。


その三。誰か助けてくれる。

 すごい雑な他力本願寺だな。誰かに期待するのは愚者かドリーマーの仕事だ。俺にゃ無理だ。ということでわりと簡単に逝くかなこりゃ。うん、第三部完っ!

 …とはならなかったり。


「馬鹿アキラっ!何遊んでんのよ!」


 シーリカがブレスを横薙に突風で払う。そういやこいつ風属性だったね。忘れてた。


「ほう。じゃあ誰がこの空条○太郎の代わりを…」


「アイギスの鏡!」


 煙のようなブレスが晴れた瞬間、ヘラと融合…もとい装備した白夜が四次元○ケットよろしく無属性アイテムを取り出す。アイギスの鏡はあらゆる…ある程度の魔力効果を反射するカウンター神器アーティファクトだ。勿論跳ね返せないものは跳ね返せないけど、一般モンスターレベルならそこそこ効果が期待出来るアイテムだ。そしてブレスは魔力攻撃ではないと言ったとおり、じゃあ何に使ったかというと…カトブレバスの瞳だ。そこそこの魔力耐性を持ったガラムですら、たった刹那でほぼイきかけた程の威力だ。相手がコカトリスさんでも例外ではない。魔力の反射を受けた大きい鶏が、泡を吹いてドタバタと倒れる。カトブレさんは耐性があるのかピクリともしないが…つうか耐性なきゃ仲間同士で昏倒するか。ギャグだな。

 それよりも大切な事が一つ。


「ボケ損ねた…」


 ガラムがなんとか起き上がれるようになったが、そっちの残念さに若干テンションが下がる俺。向こうではまだやんややんややってる。


「喰らえデカブツっ!神剣っ!レーヴァテイン!!」


「あっ!馬鹿お前…」


 若干戦線を離脱した俺の声が届く事もなく…馬鹿(グレン)の剣がカトブレバスの群れを上下に両断した。




「馬鹿グレン!こいつ(カトブレバス)の眼は加工すれば万能薬生成出来るのに、半数以上焼きやがって!」


「だってんなもん打ち合わせてねーじゃん…」


「軍の講習で習ったろ!」


「別にいーじゃん。お前の回復魔法あるんだし」


「無駄な魔力だっつってんの!お前、ゴミ処分すんのに毎回お前の火ぃ使われたら迷惑だろ!?そーいうこった!」


 後先考えずに貴重なドロップ品を焼き払ったグレンに説教する中、出番がなかったカイムが嬉々としてカトブレバスの無惨な焼死体から無事な眼をえぐり出す。そしてシーリカと白夜には大鶏の肉をブロック切りにして食料の確保を、ヘラにはその鶏から血を少々抜いてもらっている。血はこの先石化モンスターが現れた時ように血清を作る為だ。ガラムはというと…。


「いてっ!」


「サボんな」


 木の下で優雅に眠ってやがった。手頃な石を見つけて放ると、見事に頭頂部に当たったようだ。


「俺はさっきの戦いで大ダメージ負ってるんだぞ」


「もう回復しただろうが。それにそのダメージは油断したお前の自業自得な上に俺が回復してやったんだぞ」


「この俺が血に汚れるなんぞ下々と同じことを…いてっ!」


「いいから手伝いなさい!」


 シーリカがナイスコントロールでコカトリスの嘴をガラムにぶつける。つまらないことに刺さらなかったが。しぶしぶ向こうを手伝おうとするガラムに一言。


「肉がバラけたら冷凍して保存するから、お前頼んだぞ」


「クッ…貴様…」


「おいアキラ。それはいいのか?」


「だって食料の確保は重要事項だろ?」


「まさか、俺に調理用に火出せって言うんじゃないだろうな?」


「ご名答。鳥肉は火通さなきゃ食えないだろ?」


「じゃあ疲れた時は体力回復してくれんだろうな?」


「いや?んなもん気合でなんとかなるだろ」


「主、鬼畜…」


 口で俺に勝てないと落胆するガラムに、ポンポンと肩を叩いてやった。いいだろ?カイムとヘラなんか括弧すらなかったんだから。






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