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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
9/121

~第八話~ども、新入りのアキラです

こんばんわ、白カカオです。今日は会社+バイトの久々のフル出勤でこんな時間になりました。お客さんが入って来た瞬間ガン見されたと思ったら高校の時の同級生でした。十年近くぶりなのによく私の顔がわかったもんです。読者の皆様は全話ガン見していただけると光栄です。

ーーーかくして、後の大魔導王となる運命の星の下に生まれた天才魔術師、アキラの初陣は苦い敗戦となった…だが、彼の冒険は始まったばかりだ!頑張れアキラ!負けるなアキラ!



「すいません、恥ずかしいフレーズを枕元で熱弁するの止めてもらえますか?全然休めないッス。あと、途中の打ち切りエンドっぽいくだりもどうかと。クリエーターはちゃんと完結させますから」


「ぬっ?すまん」


 最初のアレは国王の発言でした。僕の中で株が上がったり下がったり、やっぱり下がったり忙しいお人だ。疲れて寝ている横でこんな様子じゃ、そりゃメタっぽいことも言いたくなるさ。

 現在、僕がキュートスに来て三日目、冥の刻夕暮れ。つまり自らめちゃくちゃにした演習場を直して、僕が今回の滞在で使わせて貰っている部屋で横になってすぐのあたり。夕食前に暇を持て余した国王が正しい意味で邪魔しに来ている。


「しかし、天才魔術師というのは本当だぞ?魔法にとって一番重要にして一番難しいコンセントレーションをよく身につけておる。訓練を受けた者でも、並みの術者じゃマドラを前にしたら実力を出せんというの、ぶっつけ本番であれだからのう」


「まぁ…ノリで」


 これで途中から楽しんでましたとか正直に言えば何言われるかわからん。変態紳士とかに。


ーーー聞こえてるというに。


「うをっ!?」


 油断してた。虚脱状態でダービーにまで意識を向けられなかった。


「どうした?」


「えっ、いや…指輪のやつが急に話しかけてきたもんスから」


「ほぅ、指輪の聖霊か…私も一度話してみたいもんだ」


「あー…しない方いいっスよ?こいつ王女様方のこと邪な


「ば、馬鹿者っ!!」


「「うをっ!?」」


「…あっ」


 …声だけ外に出やがった。


「お前…出れんのか?」


「いや…ノリで。なんか知らんが、緊急事態だと思い慌てたら…出ちゃった☆」


 己の恥部を誤魔化す為に本気になりやがった。つうか「出ちゃった☆」じゃねぇよ気色悪ぃ。お前はもう口髭とタキシードが似合う紳士で決定事項なんだ。僕の中で。


「主、気色悪いとは失敬な。私だってたまには背の小さい可愛いおしゃまな女の子役とかやってみたいのだ」


「色情魔に女装趣味か…お前、ますます持って変態っぷりに磨きが


「なぁアキラ君。今話してるその声の主が本当に…」


「えぇ、誠に残念ながらキュートス王家秘宝の変た


「左様、我こそがダビデの六星環に宿りし聖霊。名はダービーと申す」


 …今更偉そうにしたっておせぇぞ。お前なんか聖霊じゃなくて淫魔だろうが。

 そして残念ながら、程なく馬鹿と変態の間には駄目友好関係が築かれた。今は指輪の宝玉の一部をプロジェクター代わりに、白い壁をスクリーン代わりにダービーがウチの姉と妹がいかに麗しいかプレゼンし始めている。どんだけ器用だお前。僕が疲労で動く気力もないことをいいことに。


「ほぅ、これは…」


「湯上りで髪が濡れている主の姉君もまた格別だろう?」


「しかも弟の前であるにも関らず布切れ一枚というこのシチュエーションもなかなか…アキラ君は果報者だな」


 …黙れ馬鹿二匹。果報者の意味違うし、人の身内を勝手に値踏みすんな。死んでもお前らのような輩にはやらん。


「つうか国王、てめぇ妻子持ちだろーがぁぁぁ!!!」


「ア、アキラ君、ほら、大声を出すと体に障るぞ?」


「出させてんのはどこの誰だああぁぁぁ!」


「あらあら騒がしいわね。ほら貴方もアキラ様も夕食の…」


 …いらっしゃいませ、麗しい王妃様。この馬鹿国王をなんとかしてください…つうか休ませて。お願いだから。



「アキラ、大丈夫?痛そう…」


「試合の後なのですから、無理はお控えください、アキラ様」


 エリーが腫れた僕の顔を痛そうに覗き込み、セリーヌ王女の見当違いな心配に心まで痛める。真実を知っているたまたま通りがかったディーン王女はダンマリ、事情を知らない王子は所在なさげに視線を動かす。王妃と、僕の数倍顔面が腫れあがった国王は沈黙…なんだこの空気の重い夕食は。つうかなんで僕までボコボコにされてるんだ。悪いのは僕じゃなくて変態指輪なのに。


ーーー罰を受けようにも我には実体がなきゆえ、許されよ。


 嘘つけ。本当は出れるんだろ?声どころかあんな便利機能まで発揮しやがって。もっとまともに僕を驚かせろ。


ーーーアレは…火事場の馬鹿力というか…。


 んなわけあるかっ!火事場でもねぇし。お前、共同浴場でムサイ男の裸祭強制鑑賞会の刑な。


ーーーご勘弁をーーーー!!どうか、平に!平にぃぃぃ!!…というより、それは主も辛いのでは? 


 僕は全く平気だ。なんでもかんでも邪なフィルターを通してしか見ないお前らとは生きる次元が違う。


ーーーここが異次元だけに『次元』が違うっと。誰か、主に座布団を


「いらんっ!黙れっ!………あっ」


 僕の空の皿に野菜をよそおうとしたエリーが身を竦め、しだいに涙目に…。


「ごめんなさい…アキラ。さっきから眉間に皺寄せてるから、辛いのかと思って…余計なことしちゃって、ごめんなさい…」


「ごっ、ごめん、違うんだ。これは…」


 結果、ダービーの事は卓を囲んだ皆に知れ渡りましたとさ。ざまぁ。最後の僕の「」が、浮気現場を目撃された彼氏みたいになってるのはこの際置いておこう。瑣末なことさ。

 つうか…こっち来て、城でまともに飯食った記憶ねぇぞ?



 次の日、奇跡的に、実はほんのちょっぴり回復魔法を使って僕はやっと軍に顔出しすることが出来た。ちなみに回復魔法の際にダービーにちょっと力の補助をして貰ったので、昨日の罪は許してやることにした。なんという心の広い主。

 で、今全軍の皆様の目の前。マドラ団長とセラトリウス団長に挟まれ、捕獲されたエイリアンの境地に至る僕。なんでエルフはこんなに身長高いんだ。ぐれるぞ。ちなみに騎士団約三千人、魔術師団約二千人、総勢五千人の前に僕は立っている。正直、怖い。


「静粛に!知っている者も多かろうが、本日より魔術師団に正式に加入することになった、マテリアルの同志を紹介する!」


 セラトリウス団長が高らかに宣言する。正直、数少ないキュートスの良心だと思う、このお方。やっぱり威厳が違うわ。見た目によらないよく通る声で、ざわつく群集を一発で黙らせた。


「手加減していたとはいえ、俺に傷を負わせた若造だ。ただもんじゃねぇぞ?しめてかかれ」


 いや、おっさん。なんかそれ、違う。


「…ゴホン。それではアキラ殿。前へ」


 セラトリウスが背中を押し、壇上…のような全員が見渡せる小高い台に立つ。僕の身長に合わせ、気持ち高く作らせたらしい。悔しいが、比べると小さいのは事実なので反論できない。


 …どうしよっか、ダービー。挨拶なんて全然考えてなかった。


ーーーここは陽気に、「おっす、おらアキラ。いっちょやってみっか」とか…。


 却下。色々怒られそうだし。


ーーーじゃあ、「西高のアキラっちゅーんは俺のことや。よろしく頼まぁ」みたいな。


 却下。僕西高じゃねーし口調ちげぇし。いつのどこのヤンキーだよ。つうかもういいや、ありがとう。お前の知識は色々と間違えてる。普通でいいや。


「えー…神谷晶です。後衛魔術師団で今日からお世話になります。皆さんよろし


ーーーパァァァ!!


 っと突然強烈な光が差した。方向的に僕のすぐ後ろから、後光が差す感じで。こんなとこでブロッケン現象なんかあるわけないし、何だ!?


「…ふぅ、人前で姿を見せるなど久しいな。アクアリウスよ」


「そうね。思ったより悪い気分ではないわ、レオ」


 振り返ると、僕の二倍はありそうな等身の、ライオンの獣人っぽい人と綺麗に輝く布一枚を纏い水瓶を持っている美女がそこに立っていた。開いた口が塞がらない。


ーーー…普通の挨拶などつまらないのでな。我の力で力で十二宮より二人呼び出した。昨日主が『もっとまともに僕を驚かせろ』とおっしゃっておったろう?我こそがダビデの六星環。神々を屈服させるアーティファ


「タイミングっつうもんがあんだろぉがぁぁぁーーーーーー!!!!」

…ということで、今日は短めに。今回も残念ながら不真面目全開な回でした。物語は生き物だと実感する今日この頃です。なかなか思うようにいきません。どうすれ手綱を握ることが出来るのでしょうか。誰か教えてくださいorz

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