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クリエーター  作者: 如月灰色
《第四章 人の業》
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~第七十話~天使の梯子

初カキコ…ども…。ということで、なんだかんだ連日投稿です。色々ありまして、まぁ…。別にニートじゃないですよ?働いてますよ?心境の変化です(笑)いつまで続くかわからないけど。

 ベルフェゴールの手が、ローブの襟から滑り下り、僕の体をまさぐる。僕は抵抗出来ず、ただただその悦楽に身を任せていた。ダービーの声も、今は聞こえない。失ってばかりの戦いを、ただ忘れたかった。


「っ!はぁ…」


 その手が僕の弱点を次々と攻略していき、耳元で僕の喘ぎに反応した、ベルフェゴールの愉悦が聞こえる。


「いいわ…もっと、もっと…感じて…」


 ベルフェゴールはいつの間にか服を脱いでいて、僕もローブを脱がされる。背中に、ベルフェゴールの体温を感じる。耳を舐める、水っぽい淫靡な音が直接脳を刺激する。僕はなすがままだった。


「キーちゃん…代わって…」


 ベルフェゴールが正面に来て、その両足を開く。何も考えられず、ただ生殖本能に突き動かされ、行為に及ぶ。


「あっ!いきなり…すごっ…上手い…」


 舌を突き出し、無心にベルフェゴールを舐める。自分の口から発する音に、舌先に感じる感触に、鼻腔を支配する媚薬のような女の匂いに、艶やかな声に、僕の頭は更に白に染まる。


 


 ただ、しばらく五感を全て使い、『女』を貪る。どれくらい時間が経ったかわからない。完全にトランス状態になっていた。


ーーー主、最低だな…。


 ダービーの、ような声が聞こえる。


ーーー失望したよ。


ーーー堕ちるところまで堕ちたな。


ーーーアンタなんか、顔も見たくない。


 聞き覚えのある声が、ぼんやり聞こえた。


ーーー晶、お前は何をしている。


ーーー私は、そんな子に育てた覚えは…。


ーーーお前は神谷家の恥だ。二度と帰ってくるな。


ーーーアンタみたいな屑が弟なんて、悪夢ね。


ーーーお兄ちゃん…不潔…。


 これは…誰だっけ。あぁ家族か。随分遠くに来てしまったんだな…。


ーーーマスター…マスターのそんな姿、見たくない…。


ーーー今のアキラには、付き従えんな…。


ーーーうらやま…けしからんな。


ーーーお主、そんなに醜い男だったのか。


 アクアリウス、レオ、タウルスにバルゴー…十二宮のお前らか。なんだよ。人間は色々あるんだよ、お前ら神サマと違って。


ーーーあきちゃん…もう、やめて…。


 ………香奈子の声が、ことさら大きく響いた。香奈子…僕が一度、愛した人…。そんな目で、僕を見ないでくれよ…。


ーーー…ラ君…。アキラ君…!


「ココッ!!」


 突然体が飛び起きた。自分の意思じゃなく、夢を見て飛び起きるような、そんな感覚。駄目だ…頭が痛い…。


「…どうしたの?さぁ…早く続きをして…?それとも、もう挿入()れたくなった?それでもいいわ…さぁ、早く…」


 相変わらず、僕の下でベルフェゴールの官能的な声が聞こえる。この状況はなんだ…。美女が、裸で僕を求めている。頭が働かない…この頭痛も、このまま欲求にしたがったら収まるのだろうか…。


ーーーアキラ!お願い、戻ってきて…


「っ!!エリー!」


 性欲の重力に負ける一歩、いや半歩手前。ようやく、心が戻ってきた。僕が…帰って来た!


ーーー魔術師様…。


「「魔術師様…」」


 頭上に、天啓のように護るべきだった、護らなければいけなかった子供達の姿が浮かぶ。その姿は、天使のようだった。


「アキラ君…」


「ココっ!」


 似た境遇で僕の手からその命を散らした、ココが導いている。


「魔術師様…」


「あっ…ああぁ…」


 涙が止まらない。自分がしてしまったことが、光景がよぎる。僕は…なんてことを…。


「ボクたちは、魔術師様を恨んでなんかいないよっ!」


「なんなの…なんなのよこれぇ!!?」


 ベルフェゴールが吼える。快楽のクライマックスを迎える直前におあずけをくらったのだ。色欲の権化の怒りは怒髪天どころではないだろう。


「泣いてくれた…私達の為に悲しんでくれた」


「名も知らない僕たちの為に、涙を流してくれた」


「それだけで、充分嬉しかったよ」


「魔術師様が来てくれなかったら、きっともっと酷い殺され方してた」


「だから…もう泣かないで…」


 子供達の声が、天から降ってくる。そんなはずないだろ!殺されて、命を失って、そんなこと思えるはずがないだろう!!


「思えるよ…私がそうだったから…」


 ココが、優しく微笑んでいる。


「前世でもそうだったんだね。トロい私を助けようとしてくれたんだね…」


「お前っ!記憶が…」


「同じ過ちを繰り返さないで…。護れなかった人の為に、アキラ君の命まで無駄にしないで…。アキラ君が護れなかった命は、私が導くから…」


 薄くなっていく、ココの姿。待て!待ってくれ!


「ありがとう…今でも、そう思ってくれるんだね…。大丈夫!この子たちはもう大丈夫だから…アキラ君は、自分の為に戦って…そんなアキラ君が、大好きだから…」


 ガラガラと僕が作った防壁が崩れ落ちる。外の空気が、戦場の臭いが僕を迎える。


「天使の…梯子…生命の樹…」


 その階段から、何人の天使が下りてくる。一人が、ココを見て頷く。ココもそれに応え、子供達の手を引く。


「待て…行くな…」


「大丈夫。私がお願いしたから。大天使様に、アキラ君を護ってくれるように、お願いしたから…」


「ココ…」


「さぁ!アキラ君!立って!」


 ココが叫んだ直後、足元が揺らいだ。

今回は、二部制でいきます。では、数時間後に(笑)…ベッタベタだなぁ。

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