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クリエーター  作者: 如月灰色
《第三章 楽園》
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~第六十四話~本当の敵

「お主…キュートスのアキラだな?」


「えっ?あ、あぁ…」


 いきなり現れた猛禽にいきなり名を呼ばれて。思わずあいまいな返事をしてしまう。なんで名乗る前に僕の名前知ってんだ?


「…久しいな、大鵬」


「よせ、指環の。その名は伏義と女媧が消えた時に捨てたよ。今は鳳凰と呼んでくれ」


「待てダービー。なんでこいつを知ってる?」


 さも当然のように旧知の知人と会話するようなこの空気。つうか間違いなくこいつら知り合いだ。僕はその経緯を勿論知らないから、当然のように聞き出す。


「主、大鵬…鳳凰は瑞獣だぞ?神を束ねる我が知らないはずがないであろう」


「そもそも瑞獣から説明して欲しい」


「それは我輩が答えよう」


 ちょ!閣下!!まさかの自称が閣下!?


「十万飛んでなどと生温い寿命ではないぞ?我輩は」


「オゥフ!読まれてる!」


「瑞獣とは、全て生き物の長。そして吉兆をもたらす神。その代の人間の統率者が生誕する時、我輩らの同胞が天を翔ければその朝廷は栄えるという。…もっとも霊亀は飛べんがな」


「あーあー、そういやちょっと勉強したな、鳳凰と麒麟と応竜と霊亀だろ?今思い出したわ」


「左様。そしてこの…お主らがアララギ島と呼んでおるこの島は、霊亀の背中だ。こやつは元来のんびりしとるからな…休憩している間に土が積もり、生物が棲みついたのだ。ちょうどいいので、我輩らもここを宿り木代わりに使っておるのだ」


「休憩で島になるって。スケールでかすぎだろ…。でもさ、ここ火口じゃん?火口ってことは火山じゃん?霊亀って水のはずだろ?」


 不死鳥が隣でうんうんと頷いているが、こいつたぶん何もわかってないな。


「主。アレは主とグレンが起こした物と同じ魔道爆発フレアだ。極々小規模に限定した、な」


「そう。それこそが霊亀が未だに健在だという何よりの証拠。そういや煉獄育ち…あやつもあの時そのアキラと一緒に起こしたのであったな」


「待て。尚のことおかしい。それだと水系の瑞獣の霊亀の魔素というのがますます説明つかなくなる」


 なにやらまだ繋がりがありそうな話を全力で僕に引き寄せる。これ以上余計な情報は今はいらん。


「主。魔素とはそもそもは魔法の純粋な構成要素でしかないのだ。あの時主が起こしたフレアは、ただの主の資質が周囲の魔素を瞬間的に吸収、爆散させたに過ぎん。燃焼を伴わないただの衝撃波だ。しかしグレンの属性は火であろう?主と同じく…いや、あやつは己自身のみの魔素を爆散させたため、グレンの魔力=火属性=燃焼を伴った爆発と周囲が認識してしまった。よってあのような事態になったのだ。魔法とは意識、イメージ。世界の共通意識がなしたものだ。主もあちらの世界の堅物どもにそう説明したであろう?」


 まぁなんとなくはわかった。外的要因で、白にも黒にもなるのね。でもそうなると、


「なんで僕のは土なり時なり顕現しなかったんだ?」


「土の爆発なぞ、軍で一番頭が柔軟な主が頑張ってイメージできなければ、起こりうるわけなかろう。その主が無意識にやらかしたことだ。それに時属性のフレアなぞ起こしてみろ。時間流入や流出、跳躍に退行などいっぺんに起きて世界そのものが無に帰すわ。ちなみに緑竜の最期のアレ。アレもあやつの命をかけたフレアだ」


 周囲に融解毒を撒き散らしたアレか。なるほど納得。つうか時のフレアで世界崩壊とか洒落なんねぇな…。たぶん意識的にやるもんじゃないから、なるべく時より土を優先させるように思考回路を構築する必要があるな。


「…で、アキラ。あれが霊亀の魔素というのはわかったな?」


「うん。ここが『亀』じゃなくて『島』っていう共通概念で、霊亀の魔素の吐き出し口が火山みたいになったってことだろ?」


「正解だ、主。相変わらず、一度概念を頭に入れれば理解が早いな。ちなみにランゲルハンス島は島ではないが、皆の認識が島という物に染まってしまうと…」


「別に体組織はかわらねぇだろ!つうかランゲルハンス島とか高校の生物の授業だわ!どーでもいいし!!」


「…して、そなたは何故ここに来たのだ?珍しい」


 不死鳥が話しについてこれないのか、鳳凰に話を振る。たしかに…。


「なに、古巣に帰るのに理由がいるのか?…ということではなく、我が領域内に最近感じた特異な魔力を感じたのでな」


「最近感じた…?あぁ。お前」


「おったよ、大陸に。そして、お主らが何をしたかも知っておる。お主、あの吸血鬼を倒した時に四神の陣を敷いておったろう?」


「あ?あぁ…」


 いきなり鋭くなった鳳凰の眼光に、思わず気圧される。こえぇよ…鋭い目を鷹の目とかよく言うけど、実際向けられるとこんなに迫力あんのな。しかも鷹どころか鳳凰だし。


「たしかにお主、金色の守人、隠者、煉獄育ちの四大元素持ちの四人で繰り出すあの陣は強力無比だが、なるべく控えた方がよい」


「ふぇ?」


「強力な技とは、すなわちそのまま周囲に与える影響も大きい。そしてお主らは世界の歴史…全ての次元、時空…遥か彼方創世より変わらぬ重要人物。それを知り、お主らに気づいて利用、排除しようとする輩も鬼のようにおる。…まぁあの大陸の、ギランと言ったか?その者どもとお主らが敵対しているのもそのような所からなのだが…。今までは覚醒者もほとんどおらず、ギランの連中も本能から来るただの縄張り争いくらいにしか考えてなかったのだが、今はもう気づいておる。お主ら初まりの者たち(スターターズ)の存在に。そして指環の。ギランにてお主の主らのことを、理性で認知しうる者…心当たりあるな?」


「………七つの大罪(セヴンス・デッドリー)ども…」


 急にダービーから、歯軋りのような気配と共に強い殺気を感じる。七つの大罪…暴食、色欲、強欲、憤怒、怠惰、傲慢の七つのヒトに科せられし罪…。


「勿論アレんも健在だ」


「アレ?アレってなんだよ」


「原初の世界…ココルが死せる遠因を作り、主…ノア=キーランスを死に至らしめた、許されざる我の最大の敵!ベヒモス…マモン…!」


 不意に、ダービーの心中と共に僕の胸もざわついた。

寄り道しながら書いたら、結構な時間がかかってしまった…。いや、必要資料読んだりですよ?その結果片付けの最中に懐かしい本を見つけた時のような脱線が始まり…。もっと投下時間早くできたはずでした。すみません。トイレ行くの我慢しながら書いたんで勘弁してください。

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