~第六十三話~八時でもないのに全員集合
白オです。前話修正しようと確認したら、後書きまで誤字ってました。流石にそこまでは面倒見きれないぞ…。全部確認するのは大変めんど…時間がかかるので、このまま続けようと思います(笑)
「…」
「……」
「………」
「…どうする?ダービー」
「主のことは主が決めよ」
ただいま、鳥(で出来た)籠に軟禁状態です。神谷晶です。どうしてこうなった…。
「そうやってナレーションして現実逃避するのは、初めてこっちの世界に来た時以来だな」
「現実逃避もしたくもなるさ」
何をするわけでもなく、ただ黙って見下ろしているのが逆に怖い。ただでさえ苦手な鳥の顔が頭上いっぱいに広がる…上位ランクの戦闘力を持つ化け物どもと相対してるよりまだ怖い。もう古代竜最強と名高い赤竜とサシで戦うから勘弁してくれ…。
「なんでこんな怪鳥いっぱいいるんだよ…不死鳥だってグレンとこのレーヴァテインになってんじゃないのかよ…」
「いつから私が一体だと錯覚していた?」
「しゃべった!?そしてそのセリフはオサレ大先生のとこのヨ○様…もとい○染!なるほど…つまりこれは斬○刀鏡花水月の能力か…。良かった、鳥なんていなかったんだ。よーし、パパも天鎖○月で頑張っちゃうぞー!」
「…悔いはないよう全力でボケきったか?」
「いや、お前が目の前にいるってことはまだ完全ではない」
「主…もう諦めよ」
ダービーの心の溜息が聞こえるが、全力で無視する。
「まだ挨拶が済んでなかったな。はじめまして、人間よ」
「いや、グレンの剣で一回会ってる」
「だから主…」
「やだ!全力で拒否する!」
「あれは私の旦那だ。私は不死鳥♀。生と死、永劫の営みを司る神鳥の片割れだ。旦那がそちらでお世話になっているようだな」
意外に礼儀正しい鳥に思わず面食らう。
「私の旦那の主は一緒ではないのか?」
「えー…と。今回は僕ともう一人だけです。こんな事態になるならボコしてでも連れてきたかったんですが…」
「そうか…かれこれもう四百年も会っておらんからな。流石の私も寂しくて毎晩一人で慰めて…」
「聞きたくない!そして初対面の人間に、そんなことカミングアウトするような鳥を僕は断固として火の鳥だと認めない!手○先生に謝れ!!」
「まぁそう熱くなるな。お主が熱くならなくても私のそこはもう充分熱く…」
「五月蝿い淫乱鳥!お前はダービーと同レベルか!」
「どれ、不死鳥の。少し尻をこう…」
「お前は何を言ってるんだダービー!」
ハァ、ハァ…疲れた。意味も無く色々疲れた。つうか反動で張り詰めてた色んなものが断裂した。こら、見下ろしてる鳥ども。なに若干赤くなってんだ。なに不死鳥の後ろに乗ろうとしてるんだ。
「お前らいい加減にしないと焼き鳥に…」
…出来なかった。僕土属性だった。思わずツッコミ用に出した輝くトラペゾヘドロンが所在無く彷徨う。…どうすっぺ、これ。
「「「ゲギャーーー!!」」」
「おお!?こえー!何なんだよ一体…」
数羽のロック鳥とサンダーバードが飛翔する。
「拙いぞ人間!そなたが出したその剣の魔素に当てられ、我を見失い興奮しておる!」
「えぇーーー………酷い」
「元々知性も理性も持ち合わせてない連中。そなただけさらって来たのも、単にエサとして上等な質がありそうなそなたを本能で選んだだけであろう。謝罪する」
「エサとか言うなああああ!!謝罪するなら何とかしてくれこの状況」
「一羽ならまだしもこうも多勢だと…つうかいつの間にか全羽飛んでおるな」
なんかもう生気が抜けた目で上空を見てやると、エ○ァシリーズみたいに円を描いて飛んでいる。うわぁー…大丈夫だよね?あの赤い汎用人型決戦兵器みたいに串刺しにされたりとかしないよね?ロンギヌスの槍とか持ってないよね?…とか考えてると、ふと一羽が姿を消した。
ーーー………ボアアアアア!!!!
反射的にその場から跳躍したから助かった。消えた一羽のロック鳥が、音速を超えて僕に特攻してきたようだ。風切音が巨大な物体が僕の隣を横切った直後に聞こえる。
「ってぇ……っ!?」
ロック鳥はあまりに巨大だ。その巨体をかわせても、音速を超えたそれから生まれる衝撃波の範囲から逃れることは出来なかった。まともに喰らい、強かに岩に叩きつけられる。そして今度は更に高速…サンダーバードが強襲する。今度はかわすことすら出来ず、体当たり…つうか轢かれて体が上に跳ね上げられる。
「これがホントの疾風迅雷…サンダーバードの名は伊達じゃねぇな」
「主!関心している場合では」
「わかってる!」
ここは火口付近。それなりに標高が高く、このままではそのまま鋭角な岩肌の斜面を滑落する。それだけはマジで洒落ならん。鍛えてるとはいっても限度がある。肉体の強度は常人のままだ。
「ガルーダぁ!!」
先の予想を大きく上回り、眼下に木が生えれることが出来る位の標高が低い森林地帯が見えたところで、こちらも飛行ユニットを召喚する。ゆっくり元の火口まで戻ると、ガルーダの翼をしまう。鳥相手に空中戦を挑むほど馬鹿ではない。
「つうか、不死鳥が助けてくれれば良かったんじゃ…」
「私は二度目の死から絶賛蘇生中だ」
見てみると、さっきの衝撃波から受けたダメージか、半身を失いそれを復元している最中だった。
「つうか二回死んでたのかよ!?アホなことやってるからだ、マヌケ!!」
一通り言いたいこと言ってやった後、輝くトラペゾヘドロンを地面に突き刺し、心を落ち着かせる。
「ゲギャ!ゲギャギャ!」
うるせい。ゴブリンみたいな鳴き声出しやがって。自分らは飛行タイプのポケモンだから地面タイプの技は効かないってか?
「主、アレのどこがポケモンだ」
「ちなみに日本での正式名称はポケットモンスターだけど、欧米ではそのままポケモンになっている。何故ならポケットモンスターとはいわゆる隠語で、それが意味するものはちん…」
「いい加減集中しろ!」
「しとるわ!!こう見えて!」
仕方ない。とっておきを試すしかないか…理論上は出来なくはないんだけど、これをやると他の魔術師の立つ瀬が無い上になんでもありじゃないかと読者の皆さんからクレームの嵐が予想…
「来るぞ!」
「もうかよ!!」
二三、ロック鳥が消えたのが確認出来た。数テンポも間を開けないで、やつらは特攻してくるだろう。土属性は効果なし。召喚魔法も、あれほどの威力を持った相手だ。マドラのおっさんのミョルニルのように押さえつけるには無勢過ぎる。多角攻撃されては効果なし。嘴きっと痛いし。よって有効とは思えない。時属性も、それだけであの破壊力を抑える力を行使した場合世界に与える影響は想像出来ない。加速でも長時間、停滞や遅延も効果範囲を広げざるを得ない。どうなるかわかったもんじゃない。つまり限りなく詰みに近い状態だ。…なら、ちょっとチート能力を黙認してもらうしかない。じゃないと死ぬ。
ーーースゥ………
目を瞑り、更にコンセントレーションを高める。生死が関る状況で更にぶっつけ本番のとっておき。こんな背水の陣では、今更隙を作ろうと大して変わらん。魔力を自分から少し広げ、陣を敷くように充満させていく。
「主!力が暴走しかける!止めろ!」
「どっちにしろ…出来なきゃ死ぬ可能性大なんだ」
土属性のアビリティを駆使し、周りの空気中の分子をサーチ、ロックオン。時の魔法である空間の分子は振動を加速させ、別の空間の分子は振動を停滞させていく。空気の対流が生まれ、気流が出来る。
「荒ぶれ!空の竜…竜巻!!竜が、鳥ごときに負けるか!!」
僕を中心に現れた竜巻に、ブレーキが利かない数羽が飲み込まれ、羽を散らして吹き飛ばされる。異変に気づいた残りの鳥どもも飛び込むが、弾き飛ばされ到底僕に辿り着けない。
「主!目が…」
無理やり他の属性の領分に割り込んだ為に、体の方がやられたようだ。開けた目からは、血の涙が流れる。視力は失ってないが、若干血でぼやけている。まぁ精度はともかく、火足す氷で風を作り出すという、これだけで三つのの属性分、更に時属性をかなり強いた魔法だ。仕方ないだろう。グレンとガラムとシーリカが知ったらどうリアクションするか楽しみだ。…つうか、とりあえず成功…でいいのかな?
「肉体的負担を考えると、なるべく使わない方が良いだろうがな…」
「まぁまぁ。おー…竜巻の中で雷まで出来てら。デンゼルも唖然とするだろうなぁー」
粉塵を巻き込み視界が完全にシャットアウトされ、竜巻の外の様子が確認できない。…こりゃ改善の余地があるな。
「でもさ、ダービー…」
「なんだ?」
「竜巻にも穴はあるんだよな…ゴクリ」
「たわけ」
そう、竜巻は空気の渦。そして渦には必ず『目』がある。だから僕が無事なわけなんだけど…。それにあいつらが気づいたら、どうすっぺ。
「むぅ!?主!!」
ダービーの声と同時に、竜巻の天井が暗くなる。クッ!こんなに早く気づかれるか…。そして暗くてよく見えないそれは、僕に急降下してきて…。あっ、僕死んだかな。
ーーーズシャアアア!!!
竜巻が霧散した。っということを確認出来るということはまだ僕は生きている。頭上から降ってきたそれは僕から数十センチずれたところに降り立ち、金という言葉ではまだ足りない…金色の羽を広げそこに鎮座していた。
「ほ、鳳凰…そなたか…」
鳳凰!?また猛禽!!?状況悪化したーーーー!!!
すみません、展開に無理がある回でした。陳謝。