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クリエーター  作者: 如月灰色
《第三章 楽園》
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~第五十四話~人手不足

白カカオです。今回で、マテリアルの世界はしばしおさらばです。この間お気に入りしてくれた方、切らないでください(笑)若干プライベートとかでネガってる白カカオです。

 しばしドライブを楽しんだ僕らは、昼前に家に帰って来た。雨は相変わらずで、一向に弱まる気配はない。途中お子様禁止のホテルに行ったが、これは決してやましい気持ちで行ったわけではない。単に休みたかったのと、エリーが喜びそうだったからだ。資金には余裕というのもおこがましいくらい余裕があるし。案の定エリーは楽しんでくれたのだが、小一時間運転して体が凝った僕は、マッサージチェアでまったりしていた。


「ただいまー」


「あら、早かったのね」


「おかえり、晶ちゃん」


「おあーいー。まうー」


 車から家までの短時間で濡れてしまった僕らを、お袋と千尋さんと翔太が迎える。


「キャー!可愛い!!何これ!?」


「何っておま…赤ちゃんに決まってるだろ」


 こらこら。濡れたままで翔太を抱くな。翔太が風邪引いたらどうすんだよ。


「ふふふ。はいこれ。赤ちゃんがそんなに珍しい?」


「うんっ!私、人間の赤ちゃんは初めて!」


 そうか。エリーは家族で一番下だもんな。赤ん坊を見ることもなかなかなかっただろう。まして、エルフじゃなく人間の赤ん坊なんか初めてで当たり前だ。


「ふーん…やっぱり耳、小さいね」


「当たり前だ。引っ張るな」


「であー!あー!」


 耳を引っ張るエリーに、翔太が必死に抗議する。うん、なんか微笑ましいな。


「あむっ!」


 翔太がエリーの胸元に顔を突っ込む。腹でも減ってんのか?


「ねぇ千尋さん、この子どうしたの?」


 エリーが翔太の行動に首を傾げている。


「あらあら。おっぱいでも欲しいのかな?さっきあげたばかりなのに」


「おっぱい…?」


「ちょっ!!出すな!しまえしまえ!!お前はまだ出ないだろ!!」


 いや、出たところでどうなんだって話だけど。


「赤ちゃんって、おっぱい好きなんだぁ…ふふ、アキラと一緒だね」


 ドレスに胸をしまいながらエリーが笑う。いや、意味が違うしこの場で言うな。…ほら、なんか居たたまれない感じになっちゃったじゃん。


「あっ…僕、体冷えたから風呂入るわ」


 こういうときは逃げるのが一番だ。戦略的撤退とも言う。


「じゃあ私も…」


「来んな!!後から入れ!」


 …ったく。これ以上実家で僕をアウェーにしてどうする。まぁ、風呂に入れば少しは落ち着くだろう。箪笥から着替えを持ってリビングに戻る。忌々しいことに、家の風呂場はリビングを経由しないと行けないのだ。


「あっ晶!今は…」


 お袋の声を無視して脱衣所のドアを開ける。


「…晶、何してんの?」


「隠せぇぇぇーーー!!!」


 急いでドアを閉める。…間の悪いことに、僕が部屋に行ってるうちに姉貴が入っていたようだ。しかも服を脱ぐタイミングにカチ合ったのか、半裸っつうか…下着の下以外全部脱いでいた。


「だから言ったのに…」


 頼むからもっと断固止めてくれ。別に嬉しくねぇぞ、こんなハプニング…。


「心折れた…部屋戻る」


「じゃあ私も」


「悪い、エリーはここにいてくれ。一人になりたい」


「私とエリーちゃんでナニを…」


「何もしねぇよ!!さっさと入れ馬鹿姉貴!!!」


 …教訓。人の話は最後まで聞こう。


「…ふぅ」


 自分の部屋に戻り、ベッドに倒れこんで一息つく。…なんで自分ちでこんな疲れにゃならんのだ。


ーーー…ふぅ。


 いや待て。お前は違うだろエロ指環。…もうどうでもいい。とにかく疲れた。寝る。おやすみ。


ーーー待て主、こんな時間に寝ても後で後悔するぞ?


 いや、別にいいし。どうせ明日になれば向こうに戻らねばならんのだ。最後の休暇くらいゆっくり休ませてくれ。


ーーーいや、主の義姉上の…。


 んっ?馬鹿姉貴の?


ーーーいや、義理の。


 あぁ。わかりづらい。サウンドオンリー状態なんだから音だけでわかるようにしろ。…で、なんだ?


ーーー授乳シーンを見逃し…。


 うるせぇぇぇぇぇ!!!お前いつぞやの棚上げになった、男風呂でウホッいい男わっしょい祭決定な。


ーーー後生だ!!後生だ主ぃぃぃぃーーー!!!


 却下。寝る。




「………のゎっ!!」


 はぁはぁ…嫌な夢を見た。何故か戦場で上半身裸の筋骨隆々の漢達が、更に何故か僕のところまで押し寄せてきてその波に飲まれた僕は…!!…目が覚めなかったらどうなってたんだろう。考えるだけで寒気が…いや、考えたくない。シャツが寝汗でぐっしょりだ。


ーーーぷーくすくす。


 …お前かダービー。お前、魔力の供給止めるぞ?いやガチで。


ーーー正直すまんかった。


 あーあ。全く疲れがとれた気がしない。風呂入ろ…。


「風呂…」


 脱力した体を引きずり、リビングに下りる。翔太とエリーがじゃれあってて、お袋と千尋さんと姉貴が談笑している。テレビに目を向けると、夕方の情報番組がやっている。もうそんな時間か…。昼飯…食いそびれた…。


「誰も…入ってないよな…?」


「入ってないわよ?」


「サンキュ」


 お袋の言葉を今度は最後まで聞き、安心して風呂に入る。シャワーが汗を流していく感覚が心地いい。ものの十数分で風呂から出た僕は、とりあえず風呂上りの一杯を喉に下そうとしたが…。


「駄目。アンタまだ飲酒禁止」


「…なんでだよ」


「アンタ明日から向こうに戻るんでしょ?今日はみんなで外食に行こうかって話になってるから。昭彦兄さんとお父さんにも連絡済」


 それはわかったけど、なんで労わらなきゃならん僕に運転させようとするんだ…。


「納得いかないようね。そりゃ、アンタが男だからよ」


 くたばれ男女不平等社会。




 一家団欒の夕食が終わり、一同我が家へ。どうせまた来るし、適当に挨拶を済ませ、自分の部屋に戻る。素っ気無くしてるけど、やっぱ家族っていいもんだな。


「…で、なんでお前がここにいる?」


「恋人と一緒に寝るのは普通じゃない?」


 流れでエリーは僕の部屋で一緒に寝ることになった。布団をもう一枚お願いしようとしたが、のらりくらりかわされ結局寝具は一つ。しかし僕もこのベッドは譲る気はない。…結果、背に腹は代えられず一緒の布団に寝ることに。


「はぁ…わかった。さっさと入れ」


 色々諦めてエリーをベッドにエスコートする。文句をいいつつ壁際を譲るあたり、僕はどこに出ても恥ずかしくない紳士なのだ。部屋の電気を消して布団にもぐる。


「アキラ…んっ…」


 いきなり唇を重ねようとしてくるエリー。人んちで発情すんな。


「だってあまり構ってくれなかったじゃん…」


「それはともかく、実家でするわけにはいかん」


「いつもウチでしてるくせに…」


「いつもって言うほどしてないだろ!それにお前んちは城で、防音ばっちりだろうが!」


 声を潜めながらツッコミは忘れない。


「でも…」


「…ん?待てエリー」


 おもむろに枕元の電気のリモコンをオンにする。


「「「…あっ」」」


「…何やってんだお前ら」


 ドアから覗く双眸が三つ。上からお袋、姉貴、順子だ。


「いやね、ウチの息子がエリーさんに粗相がないように見張っておかないとって…」


「上に同じ」


「私は!…お兄ちゃんとエリーちゃん、どうなのかなって…」


 ………。


「ただの出歯亀だろうがああああああ!!!!」


「だって…ね?」


「だってじゃねぇお袋ぉぉぉ!寝ろ!今すぐ寝ろ!!」


「晶、そんな大声出すと千尋さんとショウちゃんが起きるでしょ」


「元凶が何抜かしてんだ馬鹿姉貴!!!」


「だって香奈子さんが来てた時は普通に私の部屋に響くくらい…」


「エリーの前で元カノのこと話すな順子ぉ!!!つうか聞いてたのかお前っ!!」


「アキラ…私なら、みんなに見られても…」


「いいわけないだろがあああ!!!お前はドコでナニに目覚めたんだ!!!」


 現クリエーター…お願いだから、もう一人ツッコミ役増やしてくれ…身がもたん…。




 そして変なこと言った罰として、エリーに本当に何もせず休暇最後の夜は更けていった。

なんか書いてて素直に、リア充爆発しろって思いました。いや、私も爆発しなければいけないか(笑)つうか、姉が欲しい…。

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