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クリエーター  作者: 如月灰色
《第二章 役者達の覚醒》
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~第四十七話~鎮魂歌

ども!集中力のムラっ気に定評のある白カカオです。そしていつも尻上りです。…さて、たまには前置きなしでスッと入っちゃいましょうか!やだなんかひわい


 中空からそれぞれの配置に散ると、僕は先ず西に降り立った。僕自身が攻めるのは中央として、召喚神を出さにゃならん。手早くやっちまおう!


「…と思ったらこれだよ」


 着地して分足らずで次々と地面から湧き出て、または這い寄ってくる食屍鬼や幽霊悪霊の皆さん。なんか既に、あの時位包囲されてる気がするんですけど…。


「ギャー!ギャー!ニンゲン!ニンゲン!ニンゲンハ食エ!ホネマデ食エ!」


 頭の上を、一匹の夜鷹が旋回している。指示を出してる?こいつが、食屍鬼のロード…?


「ゲギャ!ギュエーー!!」


 …あ。五月蝿いとばかりに振り上げられた食屍鬼の一匹の一撃に、羽を散らしてすっ飛んでいった。ですよねー。アレがロードなわけないですよねー。ただの冷やかしか。確かに少し不気味だったけど。顔、人型だったし。


ーーーフゥオン!


「おっと」


 戦場にシュールな笑いを届けてくれた夜鷹に苦笑いをしてやってた矢先に、背後から風切り音。忘れてた。今包囲されてんだった。これも作戦か…恐るべし。


「いや、違うと思うぞ?」


 ダービー、ツッコミ禁止。


「ハッ!!」


 堅牢な土の壁で結界を張ると、一気にコンセントレーションのギアをマックスに。深呼吸して、一言。


「さぁ…我が声に応えよ!黄道十二宮の神々よ!!」


 周囲の土の壁が爆散し、並び立つ十二人の神たち。こう見ると、壮観な絵だなぁ…。つうか、皆軒並みでけぇ…。任意で大きさは変えられるそうだけど、本来の姿で来たのだろう。大体人並みの大きさは、バルゴーとジェマイニくらいか。アクアリウスも、実は相当な大きさだ。


「アキラ…」


 列の中央に立つ、レオが真面目な顔で呼びかける。


「あぁ…」


「マイ・マスター…。御武運を…」


「あぁ…すまん。ここは頼む。なるだけ派手に…でも地形は変えないように暴れてくれ。それと、戦闘苦手なやつは無理すんな。バルゴーとか」


「ムッ。わらわも役に立つのだぞ?」


 頬を膨らませ、バルゴーが無い胸を張る。子供かお前は。


「そっか…頑張れ。無理、すんなよ?きつかったら、タウルスとかに護ってもらえ」


「委細承知!!」


 牛が鼻息を荒げ、斧を構える。寧ろこいつから護るべきなんじゃないか?っと思ったり。


「じゃ、こっちは俺らの任せて早く行ってこいや!主野郎!」


 白羊宮のアリエスが食屍鬼をグーパンで殴り飛ばしながら背中で笑う。お前、初対面の、しかも主に向かってそれかよ…。モフモフの羊の癖に。まぁ、人型だけど。


「おう!サンキュ!ラムちゃん!」


「お前っ!殺す!!」

  

 青筋がかったアリエスの声を聞き、懐から球を出す。さぁ、ようやくお前を使う機会が来たな。


「ダービー!!」


「応っ!!」


 輝くトラペゾヘドロンを地面に突き刺し、柄の宝玉が収まる部位にヨグ=ソトースを押し当てる。そのまま剣ごと握り、魔力を供給する。


「盲目白痴な弟よ!汝が兄、ナイアルラトホテップの名において命ず!」


 球が身震いするように振動を上げ、鈍く光る。


「汝が兄の主、そして我を導け!!虚空の門よ!!」


ーーーパリィィ!!


 ダービーの祝詞(のりと)が終わる刹那、球体が弾け次元跳躍が起きた。ちょ、これ、少し酔う…。


「あだっ!」


 いきなり地面に這いつくばるはめになったが、どうやらここは城内の廊下のようだ。乱暴者過ぎるだろ、お前の弟…。


「しかし、これで難なく本丸に辿り着いたわけだ。…待ってろ、ウラヴェリア…」




「焼き尽くせ!!レーヴァテイン!!」


 グレンの声と共に、南の空に何本もの巨大な火柱が上がる。


「五火七禽扇!!皆吹き飛ばすわよ!!」


 東から巨木を幾本も巻き込んだ巨大な竜巻が現れる。


「全く…二人とも、熱血ヒーロー物じゃないんだから…。アキラもあんな怪獣大戦争召喚してるし。でも、こうなったら俺も張り切らなきゃね。ココちゃん、盛大に送ってあげるよ。溢れろ、マナの壷」


 カイムの呟きと共に、北の森に限定的な津波が起き、木々をなぎ倒し渦を巻いている。

 北に津波、南に火柱、東に竜巻と西に神性の軍勢。派手過ぎる奇襲に、城の者も慌てて窓に張り付いて見ている。


「何事だ!!」


「なんだこれは…世界の終焉か…?」


「早くっ!お館様にお伝えしない…ハッ!?」


 部屋から飛び出した人狼に人虎に、人蛇ナーガ。 ウラヴェリアの側近と思わしき三人が、廊下の気配に振り向く。


ーーーニタァ…


 その笑顔は、果たしてアキラのものだったのだろうか。恐怖に硬直する三人へ、歩みを進める。


「夜叉…モード憑依」


「ッヒィ!!」


 アキラが呟くと、小さな悲鳴もままならなく人狼と人虎の半身が泣き分かれする。一瞬で間合いを詰められ、味方二人がやられた人蛇の女は、呆然と立ちすくみただ歯をガチガチと音立てることしか出来ない。


「おっ、お願い…誰だかわからないけど、命だけは…何でもしますから。ほら、こうして人型になれば望むまでご奉仕も出来ますから…どうか、命だけは…」


「お前らは、逆の立場でそうやって命乞いをする敵を助けるのか…?」


「…えっ?」


 半ば開かれた足の間に輝くトラペゾヘドロンを差込み、一気に振り上げ人蛇を縦に分断する。


「…醜悪な…」


ーーーコツ、コツ…


「クソッ。命乞いをする相手を斬るのは、辛いな…」


ーーーコツ、コツ…


「クックック…アーッハッハッハッハ!!!」


 アキラの意識とインド神話が八部衆、『鬼神』の夜叉の意識が入り乱れ、涙を流しながら高笑いを上げ、闇夜の廊下を歩く。目指すは正面、ウラヴェリア伯爵の寝室。仮死状態の吸血鬼は、生半可な騒ぎじゃ起きない。暗殺者、虐殺者…復讐者は、ただ悠然と刈りに向かう。


まだ終わらない…。ホント、まとめる力がなくて歯痒いです。登場人物に持たせる武具は、すっげぇ悩みました。本当はシーリカに弓を持たせたかったのですが、目ぼしいものが無くて…。なんとなく、与一の弓な感じじゃないですし。迷った結果、封神演義でもマイナーな部類ですが、藤竜版の妲己の五火七禽扇を持たせました。ほぼ活躍の場のなかった宝貝ですが。カイムも、本当は杖とか持たせたかったんですけどねぇ…。


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