~第三十四話~草原の住人
し~ろ~白カ~カ~オ~。ども、白カカオです。昨日は書いている途中に完全に落ちる予感がしたので、意識がある内にに中断しました。おぉ白カカオよ。睡魔に負けるとは情け無い。…情け無い。大丈夫!今日は精神的疲労だけだから。マジ、今日はメンタルが最終防衛線を明後日の方向に突破されました。私にとってどっちが耐えれるのか…。
キュートスを出て丸三日。僕達は西の平原を縦断している。敵地までのルートは、迷いの森を更に西へ。ガラリオン山脈の切れ目から大回りで山脈の裏側へ向かう。理由は二つ。一つは山脈に住まう古代竜とのエンカウントを防ぐ為。もう一つは敵本拠地が大陸のやや西側に位置する為。そもそも山脈を突っ切るルートはバリアスが制圧されているから無理なのではないか?っとお思いかもしれないが、僕も知らないうちにバリアスの奪還は終わっていた。何故僕が知らないかと言うと、その時僕はこっちと僕の元の世界の外交の真似事をしている内に他の方々で済ましてしまったからだ。一説によると、このゴブリンオーク大量掃討作戦こそが、シーリカやグレン達の大量昇格の契機になったらしい。まぁ力をつけたあいつらにとっては、物量攻撃なんてものは防いで当然のような気もするが。ちなみに、半数近くのドワーフはキュートスに残っている。その多くは年老いたドワーフだが、その技術は現役さながらでキュートスの新たな産業を築いている。
「あぁぁぁ…疲れた…」
「なぁに寝ぼけたこと言ってんのよ。アンタは馬に乗ってるでしょうが」
騎乗でだれてる僕にシーリカが呆れ顔でツッコミを入れた。確かに一番辛いのは徒歩の一般兵のみんなだけどさ。だってこの風景、飽きたもん。最初の時は眼前に広がる地平線と美しいガラリオンの山並に感激したけどさ、やっぱり絶景ってのは、たまに見るからいいもんだ。
「だって暇なんだってばよ。だってばよ」
「なんで二回言うのよ…」
シーリカの言葉を無視し、首元に光るネックレスのヘッドをいじる。キュートス王家の家紋を象ったそれは、北極星らしい。無意識に星の角をぐりんぐりんいじっているらしいが、どうやら装飾品をいじるのは僕の癖のようだ。慣れてないし。ネックレスなんて、気合が入った外出の時くらいしかしないもん。たまに角をダービーに刺してみたりするが、愉快な悲鳴が聞こえるだけで別に何も面白いことはない。ダービー、うっさい。
「そんな首輪ばっかりいじって、リーナス王女が恋しくなったか?」
ちょっと先を行くグレンが、馬の上から首だけこちらに向ける。
「いや、別にそんなことはな」
「うんうん、やっぱ可愛いもんなぁ、リーナス王女。俺もグーたんとか言われてぇぇぇ!!」
「いや、別にアキラ呼びだし。つうかグーたんって何だ。飯でも食って雑談すんのか?」
「こら、馬鹿隊長ども。もうすぐ中継地点じゃ」
セラトリウス団長の声につられ遠方を見ると、住居らしき影がちらほら見える。イメージ的に、遊牧民の簡易住宅。その集落につくと、ぞろぞろと住人達が総出で出迎えた。
「長旅ご苦労だったな、セラトリウス」
「なんのこれしき。ワシはまだまだ現役じゃわい」
「ハッハッハ!!相変わらずだな」
そう言って団長と握手するのは…獣人だった。ここはガラリオン西の端、両端にある獣人族の集落の一つだ。
ーーー主。
珍しくダービーが頭の中に話しかける。どうした?今度はケモナー属性か?
ーーー違う!我をグレンと一緒にするな。
グレン?あぁ、そういやあいつ狼耳の女性に話しかけられて、だらしなく鼻の下伸ばしてるな。さっきから。エリーエリー言ってたのに、気の多いやつだ。アイツのことは愛の多方通行と呼んでやろう。
ーーーあの今セラトリウスと話している、恐らくこの種族の長の虎の男。たぶん、我は以前会ったことがある。
マジか!?
ーーーあぁ。あの者に、前世の記憶があるならな。依然緑竜と話した時に出てきた、グーラスと言う名を覚えておるか?
うーん…忘れたっ!
ーーー…まぁよい。我の歴代の主の一人だ。そやつが緑竜に挑む前、一度獣人族と戦ったことがあったのだが、恐らくあやつはその時の部族長だ。
ほぉ…お前、色んなとこで因縁があるんだな。寧ろ、世間が狭いのか?
ーーーいや、今時代は大きく動こうとしている。そういう時は、因縁を持つ者達が惹かれあうものよ。
ふーん。そんなもんか。僕に何の因縁があるかわからんけど。
ーーーなるほど、そうかあやつか…。…主、面白いことを考えたぞ。暫く口を挟まず見ててくれ。
そう言うと、ダービーは虎耳おっさんに話しかけた。
「セラトリウス、すまぬ。少しこやつと話させて貰ってよいか?」
「ほう、しゃべる指環とはまた滑稽な」
虎耳さんが愉快そうに笑う。笑うっつっても。虎の笑い声は豪快なんてもんじゃない。正直、幼少時代サファリパークの虎を見てちびった経験がある僕は肝を潰しそうだ。こえぇ。
「お主、前世の記憶はあるか?数世代前の前世だが、我はお主と戦ったことがある。グーラスという名前に、聞き覚えはないか?」
「うーむ。知らねぇなぁ」
お前、外したか?
「そうか…しかし獣人の長よ。こいつはあるはずだ。お主の魂が覚えているだろう?」
言うや否やダービーは僕の許可も得ずに、勝手にレオを召喚する。腹減ってんだから、やめろや。矢継ぎ早に、タウルスも。だから同時召喚は疲れんだって…。
「おぉぉ…!!獅子神様!獅子神様だ!!それに…牛頭様もっ!!」
族長の声を合図に、周りの民もざわつき始める。ダービー、どういうことだ?
「一口に獣人と言っても、主の世界にも伝わっているように数多の種族が存在する。百獣の王と呼ばれるライオンと、日本の牛頭信仰。この二つは、獣人の信仰の代表格だ。この二人はこの獣人族の信仰対象。恐らく…グーラスを見限っていたこやつらが、戦っている相手が獣人とわかるや離反したその戦いが発端であろう」
へぇ…レオはともかく、あのロリベコンがねぇ…。まぁ一時期ネットでもかなり広まったから、そういうもんなのか。つうかシシガミ様って響き、ジ○リのアレ思い出すから止めて欲しい。レオ、お前デエダラに変身
「出来んぞ、アキラ」
こいつ、読心術を会得して
「おらん。アキラの考えることはわかり易過ぎる」
クッ…今まで姉貴とかに考えてることを読まれてたのはそういうことか…。そうか!僕は単純だったんだ!
「主、う○ぎのシャ○アみたいに笑っても見開きではないぞ?そんなしょうもないこと」
「五月蝿い。獣人族の集落なんてまんま動物園だろうが。お前の名前なんて麻雀の役なんだし」
「…それを言うなそれを。嶺上開花のバーゲンセールよりマシであろう」
「獣神様の召喚…しゃべる指環……アキラ!?お前、あの」
今まで呆気に取られていた虎耳さんが捲くし立てる。
「そうです。私が変なアキラです」
後ろ!後ろ!な人の物真似をしてみたが、通じるはずもなく…くそう。こんな屈辱昼の放送のアレ以来だ。わかってはいたけど。
「そうか…緑竜を倒したというあのアキラか。ということは、あの獣神を召喚した麻雀の役の名前の指環とは、ヘブンズ・ゲートだな?緑竜、ヘブンズ・ゲート。思い出したよ。グーラス、あのいけ好かないガキか」
「思い出してくれたか…」
「つうか虎耳さん、麻雀知ってるんだ」
「知ってるとも!昔、そこのセラトリウスにいくらぼられたことか…」
…セラトリウス団長?貴方いたいけなアニマル相手に何やったんスか?口笛を吹いて顔をそらさないでください。チラッと横目で十二宮の二人を見ると、なんだか崇め奉られていた。おい、まんざらでもない顔してんな、馬鹿。
「しかしあのアキラを従軍させてきたとは…本当に、ギランに一泡吹かせられるかもしれんな」
「ふんっ。かもしれんじゃなく、吹かせるのじゃ。その為に、我らは行くのじゃからな」
麻雀で詐欺られたのに水に流したかのような虎耳さんの態度。若干評価が下がった団長の爺さんよかよほど器広いのかもしれん。
「…決めたぞ。皆の者!聞け!!」
虎耳さんが民の方に振り返ると、声高らかに呼びかけた。しかし、虎の大声はホント…腹に来るな。こりゃこえぇわ。
「キュートスの同胞は今!巨大な力を味方につけあの忌まわしいギランに向かおうとしている!我らも今、立ち上がろうではないか!獣人族の誇り、今一度世界に見せ付ける時ではないか!!戦いに命を懸けられる者、予に続け!戦場こそが、我が獣人族の聖地だ!!!」
一瞬の間の後、獣達の雄たけびが幾重にも重なって地鳴りを起こす。鼓膜破れかねないぞ、これ。シーリカあたりは聴力いいから、きついんではないか?
「さぁ…あの女狐…九尾を出し抜いてやろうか」
「女狐…?九尾!?」
「そうだ、東の獣人族の長は九尾の狐。あの姦計ばかり企む、いけ好かない女性よ」
なんとまぁ…。こうして、なんと獣人族の軍勢が新たにパーティーに加わった。
以前の回の反省。別にヨグ=ソトース使わなくても、ダービーはアカシックレコードにアクセス出来るからそんな手間必要ありませんでした。すみません、大事な設定くらい把握します。それと、麻雀漫画の兎とかはたしてどれくらいの読者の方が知っているのでしょうか…掲載誌、近代麻雀だし。ちなみに咲は、アニメ第一話しか知りません。あしからず。