~第三十話~親善大使、カミヤアキラ
こんにちわ、会話の九割が下ネタの白カカオです。いやぁ、ぐっすり寝ました。睡眠はいいねぇ。リリンが産んだ文化の極みアッー!!ということで頭の中が残念に絶好調です。仕事中は今後の展開を構築して内容で泣きかけてたりしてました。マジメに仕事しれ。…では、おかげさまで三十話の大台、スタートです。
「おい、ダービー。…お前も気づいてたのか?」
先ほどの姉貴と順子の会話を頭の中で反芻する。今まで超展開は何度も経験してきたが、この話はまた畑違いだ。ジャンルが違いすぎる。…今まで恋愛経験が皆無ではなかったが、不慣れな事には変わりない。故に、どういった対応をしたらいいかわからない。
「我は大分初期の段階から気づいておったぞ。というより、今の今まで気づかなかったのは主だけだ」
はぁ…。これじゃいつぞやにダービーが言っていた、『鈍感なハーレム系の主人公』そのまんまではないか。いい加減、自分で全くコントロール出来ない運命に憤りすら感じる。こんな問題、まだギラン側と戦闘してた方が気が楽だ。
「滅多な事考えるでないぞ、主。恋愛問題、良い事ではないか。実に平和だ。主も、もっとこんな幸せな、一般的な悩みを楽しんではどうだ?ちなみにまだまだいるぞ?主に想いを寄せるオナゴは。例えば…」
「…言わんでいい。本気で頭痛くなってきた」
というより、姉貴といい順子といいコイツといい…そういう類の好意を第三者が本人にバラすのはどうかと思うぞ?エリーの気持ちも勿論だが、僕の気持ちを考えてくれ…。エリーと会った時、どう接していいかわからん。
「そこで相手の気持ちをきちんと気遣いの範囲内に入れるあたり、流石モテモテの主であるな」
…黙れ。こういうポジションは、イケメンどもにやらせておけばいいんだよ。グレンなんかきっと大喜びだから。こっちとキュートスの外交のことも(何故か)考えないといけないのに、余計なことを持ち込むんじゃない。運命の女神、出て来い。第一話で出来なかった分の説教を今ここでしてやる!
「…出てきやしねぇ。十二宮の連中なんか呼んでもないのにホイホイ出てくるのに」
「当たり前だ主。あの女神は上位の神性だからな。いくら女誑しの主の呼びかけとはいえ簡単には」
「誰が女誑しだ誰が!」
「痛い痛い主!水晶部をグリグリするのはやめてくれ!」
最近気づいたことだが、装飾の中央部に気持ちついている水晶はこいつの弱点らしい。さっきも醤油を垂らしたとき、ここにかけた時はことのほかダメージがデカかったようだ。
「はぁ…外交のことは明日、キュートスに行ってみないとわからんか」
溜息をついて目を瞑る。そろそろ頭が消化不良を起こしそうだ。何も考えたくない。つうか、件の二件だけでお腹いっぱいだ。これ以上問題が増えない事を祈る。
「しかし、なんでお前についてる宝玉は水晶なんだ?もっと何か、得体の知れない鉱物でも良かったろうに」
「ふっふっふ。主、これにはちゃんと訳があるのだ」
「言え」
「水晶とはな、魔術において最もポピュラーで汎用性が高い鉱物なのだ。さらにもっと重要な理由があるのだが…」
「…もったいぶらずに言え」
「続きはウェブでだ」
「何処に開示してるんだ何処に!」
「まぁ、時期が来たら主も知ることになるだろう」
「あああ!モヤモヤすんなぁもう!でもどうせなら、水晶は水晶でも紫水晶が良かったなぁ」
「…何故だ?」
「僕の誕生石だから」
「…主は馬鹿なのかロマンチストなんだか」
「なんか言ったか?」
「いや?」
「お前いい加減にしないとダービーじゃなくてDBにすんぞ」
「あまり変わらんのではないか?ブンさんよりはよほどいいが。むしろダーク・○ュナイダーみたいでかっこいいではないか」
「…いいか?これは略称は略称だが、ダービーでもドラ○ンボールでもないぞ?DEBUの略だ」
「やめろ主!我の姿は主の思念で決まってしまうから本当にそうなってしまう!本当に、後生だからやめてくれ!!」
…そうなのか。クソッ。それが本当なら、美少女の設定にしておけば良かった。全部ダービーが渋い声だからいけないんだ。今更美少女の真似事されても気持ち悪いだけだ。なんてこった…。なんか、口髭が似合う紳士が女装して『ご主人タマ(ハァト)』とか言ってんの想像しちまった…死ねる…。
「主、我はそれでもよ」
「却下だクソ変態が」
………。
脳内の疲労とは意外と侮れないようで、早めに寝たにも関らず僕は昼過ぎにノコノコ起床した。
「おあよー…」
ワシャワシャと歯を磨くと、遅めのブランチに舌鼓を打つ。そう、僕の大好物、オムライスだ!
「米はいいねぇ…リリンが産んだ文化の極みだ」
「晶、私のカヲ○君像を汚さないでくれる?」
「いや、汚すもなにも立派な変態キャラだろ、○ヲルんは」
「ちょっと、お兄ちゃんもお姉ちゃんもご飯中に変な事言わないでよ」
順子、知ってるぞ?お前の部屋に、一冊シ○ジ×カ○ルの同人誌があることを。もうやだこのライトなんだかコアなんだかわからない姉妹。兄貴?堅物の割にパソコンには色んなフォルダ隠してるよ?奥さんには内緒だけど。…どうやら神谷家には残念な血が流れているらしい。どっから来た。
「まぁいいじゃない。私も昭彦と晶の名前、本当は○ッチの達○と和○にしようと思ってお父さんに止められた位なんだから、可愛いものよ」
…元凶はお前か、お袋。というかその由来でその名前つけられなくて良かった。事故で死ぬぞ?僕。そして伏字が多すぎる。作者がそろそろ疲れるからやめてあげて。
「そうそう、晶。貴方今日どうするの?」
オムライスのおかわりを頼もうとした時、お袋が珍しく僕に予定を聞いてきた。
「あぁ、飯食ったら、とりあえずキュートスに行って来る」
「そう…気をつけて行くのよ?」
「あぁ」
「お兄ちゃん、エリーちゃんにヨロシク伝えてね!」
「おぅ…」
一晩経っていい感じに現実逃避気味に忘れていたが、順子と姉貴のせいでエリーと会うの気まずいじゃねぇか。はぁ…どうすんべ。
「アキラ君、待っておったぞ」
久しぶりに来る謁見の間…をまさかのスルーして、国王の私室で例の件について話をする。別に誰に聞かれても困らんだろうに。まぁあそこよりは肩凝らないからいいけどさ。
「…で、どうなったの?例の件」
「それでは端的に説明しようか。アキラ君に関しては、キュートスと日本国を結ぶ大使となってもらう」
「それ、とりあえず本人の意思確認必要だよね?もうなし崩し的になっちゃったからいいけどさ」
「済まなかったな。勿論褒美は弾むから引き受けてくれないか」
「まぁ褒美は別にいいけど…」
「ありがとう!では次にだが、アキラ君にはそちらの世界で農業を学ぶ場を提供してほしい」
「僕が言い出したことでこうなったんだから、一応アテはつけておいた」
まだ確認はとってないけど。
「流石アキラ君!仕事が速い」
「流石の意味がわからないけど、他には?」
「うむ、これで最後だ。そちらの世界に向かう研修生はこちらで用意した。入っていいぞ」
国王が声をかけると、数人の男女が入ってきた。見た目、僕より幾分か若い。それでも僕より年齢上なんだろうけど。
「彼らはアカデミーで募集し。さらに選考した結果選ばれた四人だ。農業の適正を考え、属性を土と水に絞ってある」
ほう…国王(馬鹿)にしてはなかなか考えたものだ。そこまで準備してくれたのなら、あとは僕がやるべき仕事は少ない。
「ありがとう、国王。そこまで準備してくれたらあとは僕がやるよ。…で、文化交流という名目上こちらから向こうへの動きもあるんだろ?」
「うむ…鋭いな、アキラ君」
「科学や魔術の情報交換は出来ないとして…残るは工芸か」
「正解だ、アキラ君。向こうから農作業の技術と幾分かの種子を分けてもらう代わりに、こちらからはドワーフの工芸技術とミスリル、アダマンタイトの多少の輸出を考えておる。幸い今キュートスには、バリアスから避難してきたドワーフの難民の工房があるからな」
なるほど。ドワーフの鉱物加工技術はお墨付きだし、少量とはいえ、ミスリルやアダマンタイトなら向こうには無い鉱物だ。レアメタル以上の画期的な技術革新があるかもしれない。ちなみに、稀少な順に、オリハルコン、ミスリル、アダマンタイト。オリハルコンは伝説クラスの武具の、ミスリルは上位魔法補助装備、アダマンタイトは上等な一般装備の材料に使われている。ちなみにダービーと団長二人の装備はオリハルコン、グレンのフレイム・タンはミスリルだ。たしかアレン王子の装備はアダマンタイトだった気がする。
ちなみにこちらの世界に農耕技術が発達すれば、食生活の改善が大幅に進み生活水準は一気に上がるだろう。僕の世界で米やその他作物の種子は稀少ではないが、重要度を比べるとトントンだろう。
「ま、ちょうどいいんじゃないか?」
「ではアキラ君、後は頼む。さっき言った褒美の件だが」
「別にいらないって」
「先払いとして既に用意してある。大臣」
「ハッ」
大臣が黒い布に包まれた何やら長い…つうか結構でかい得物を両手に持っている。
「ダービー様と一緒に蔵にしまって置いた物ですじゃ。グレン君のフレイム・タンを見てようやく思い出しました」
国王が布を取ると、無骨な大剣が現れた。両刃の、柄拵えもない、ぱっと見ただの古い鉄の大剣だ。
「これは…」
ダービーが絶句する。
「やはりダービー君はわかるようだな。機械神が神器にして最上位種のオリハルコン製の武器、『無銘の大剣』だ」
………この国、なんでそんなチート品がほいほい出てくんだ。
機械神に関しては、本来の意味とは違いますが近い意味のモノを考えています。あと、大剣の名前は魔導書「無銘祭祀書」と、デモンベインのネームレス・ワンをもじりました。あの最強っぷりが好きだったりします。リベル・レギスも好きなんですが。マスターテリオンかっこいいです。