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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
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~第二十九話~Xデーその5

こんにちわ、白カカオです。なんとか回復したと思います。たぶん。昨日は十時前に寝たにも関らず今朝寝坊するというこの感じ。寝てたい…一週間くらい…。そういや休んでいる間にちゃんとこの先のプロットを考えていました。いやぁ…探せばこの作品に使える設定いっぱいありました。それは…楽しみにしててください。割と暗熱い展開かと。今回のお話じゃないけど。二章分くらい先の設定です。

 バルゴーのおかげで歩けるようにまで回復した僕は、その足で各国首脳の方々の下へ向かう。僕が一歩進むに連れ、怯えに似た動揺が走っている。軽くへこむ…。デモンストレーション、効果ありすぎたか?


ーーーそりゃ主、無理もないであろう。さっきの諸々の出来事は、主の世界の人智を超えておる。今まで科学を絶対的に崇拝していた者たちにとって、受け入れがたい事であろうな。


 まぁハリウッド映画よりも迫力あったろうからなぁ…生の魔法戦闘は。でもさ、非科学的とはいえ目の前の出来事すらありえないと否定してしまうのは、ナンセンスを通り越して憤りすら感じるぞ?それも、国のトップの人たちなら尚更。


ーーーそれを理解出来る者は意外と少ないぞ、主。


 全く、何のために想像力があると思ってるんだ。自身の理解力や状況判断力を補填するためにそれを活用せずにどうする!


ーーーそれは主、オナ


 ダービー、後で覚えてろよ?


「長谷川総理、いかがでしたか?これが、こちらの世界の…そして、僕達の世界をも覆いかぶさるリアルです」


「晶君…これは…本当に、君が…」


 長谷川総理が渋い顔でずっと唸っている。うーん…この人にも少し多くを望みすぎたかな?まぁ、人としてわからんでもないけど。


「そうですが、安心してください。僕らの世界では、基本的に魔法は行使できないようになっていますから」


「そっ…そうなのか?」


「はい。技術の行使は、世界の集団意識によるらしいんです。僕らの世界の科学では当たり前のことが、こちらの世界では認識がないから実装できない。逆に、僕らの世界では魔法を使えるという共通意識がないから、魔法を使うことが出来ない。集団意識というのが、その世界の法則やルールみたいなものらしいですから」


「しかし、私達は実際見てしまっているぞ?晶君が使う魔法を。これでは、魔法が使えるということは、否定しようのない事実だ」


「大丈夫です。大多数の人間は魔法なんて馬鹿げた空想の産物としか思っていません。世界の法則がそうである限り、僕らの世界で使えないことに変わりはありません。まぁ…いずれ変わってしまうかもしれませんが」


 僕だって、伊達に毎日のようなダービー講座を受けているわけではない。魔法や世界に関する基礎知識は、かなり高難度でも理解できるくらいにはなった。僕が落ち着いた笑みを見せると、総理はぬぅと押し黙った。総理の後ろでは、他の首脳達がひそひそ話している。通訳さんを通して。


 なぁ、ダービー。お前、ヨグ=ソトースに介入して、知識の言語プールから、英語と中国語と、ドイツ語とフランス語を僕にインストール出来ない?最悪ストリーミング程度でもいいから。


 ダービーも、僕と生活していくにつれ、現代用語とそれの意味もかなり精通するようになってきた。


ーーー一時的なものなら出来なくもないが…。ずっとは無理だぞ?主の記憶容量が追いつかん。


 だからそれでいいよ。


ーーーしかし何故?


 僕のいるところで知らない言語でひそひそ話されているのはなんか、不愉快。


ーーー…まぁいいが…。


 一拍置いて、脳内に膨大な情報量が流れてくる。いつぞやと同じような眩暈が感じられる。失敗した、英語だけにしておけばよかった…英語なら、基礎知識はあるからこんなに入れなくて済んだのに。


「しかし、彼の言っていることはブラフかもしれん」


「うむ、我々が知識がないことをいいことに、戦略的に我らの世界に攻めてこんとも限らん」


「なぁに、いざとなれば我々には核がある。こちらの世界一つ潰す位わけなかろう」


「そうだな。見たところ、こちらの世界は我らの中世程度で文明が止まっておる。いくら魔法が使えようとも、手も足も出まい」


「むしろ、不安分子は今ここで消すか?」


 …大方そんなとこだと思った。これだから今でも戦争なんかしてるお馬鹿さん達は困る。その人の国の内情を考えると、妥当な疑念ではあるけど。


「はぁ…なんでそんなに懐疑的に受け取るかなぁ?」


 彼らの国の言葉で、溜息をついてやる。まさか僕が外国語を習得しているとは思わない首脳の方々は、一様に驚いている。ざまぁ。あと、僕の中ではアンタらに使う敬語なんて持ち合わせてない。そもそも、言語的に敬語という概念すらあまりないけど。


「言っとくけど、僕らの世界で魔法が使えないように、こっちでも他人に影響を及ぼす文明の利器は使えないんだよ?それに、僕らの世界だって神サマの影響受けてるんだから、下手にパイプラインであるこっち潰してみな?一気に死ぬよ?僕らの世界。知ってる?神サマを否定する側の数学者や科学者達が、突き詰めれば突き詰めるほど、神サマを肯定しないとありえないことがあるって。神の見えざる手ってやつかな?更に言えば、僕が本気で僕らの世界を魔法で征服すること考えてたら、今この場でアンタら殺してるから。世界のトップを潰せば、あとで幾らでもやりようがあるからね。それがお望みなら、今ここでやってやろうか?」


 脅しの視線を込めて、軽く手を下方に振る。振った地面から、何本もの得物が生える。それを見た首脳陣は顔を蒼白にしている。あぁ、気分いい。


ーーー主、完全に暗黒面に堕ちた笑みだぞ?それは。それにアダム・スミスもマラドーナもそういう意図で言ったんじゃないぞ?


 五月蝿い。マラドーナのあれは見えてる左手だ。それに、ムカつくんだもん、こいつら。前々からニュース見るたびかなりの頻度で腹立ててたしさ。不敬罪?天皇様じゃあるまいし。こいつらのそんなもんは、客側が掲げるお客様は神サマ精神と変わらん。馬鹿馬鹿しい。そんなこと言うオタンコナスがいたら、この場で叩き切ってやる。


「晶君…武器を引きなさい…」


 総理が顔を青くしながら僕に注意する。ちなみに時の魔法を無駄遣いして、この場にいる方々の国の言葉に合わせ一人同時通訳してたから、さっきの言葉も総理には筒抜けだ。まぁ総理の方には、きちんと敬語で流してたけど。


「安心してください。今回の目的は、平和的な文化交流です。僕らの世界でも、必ずプラスになるでしょう。それに、争いごとは嫌いなんです」


 ニコッと笑い、武装を解除すると、一先ず安心したような空気が流れた。エルフの国王陛下は、ただ成り行きを見守っていた。


「では、こちらの世界の魔術師、僕らの世界の少しこちらの世界に精通している一般人は、ベイン国王陛下の評価相応の力を持っていることをお見せしたので、家に帰ります。後の確約に関しては、そちらでお決めください。僕は後で馬鹿国王に伺いますので」


「ちょっアキラ君、このタイミングで馬鹿って」


「ほら、みんな帰ろう?」


 家族の方を向きなおすと、たぶん信じがたい出来事ばかりでショートしている。これが本当の放心演技。…演技じゃないか。ただ、意外なことに親父だけは真正面から僕を見据えていた。


「アキラ…もう帰っちゃうの?」


 エリーが寂しそうに上目遣いで裾を引っ張る。


「あぁ。今日はな。またすぐ来るから。なっ?」


 頭をガシガシと撫でてやると、いつものように気持ち良さそうに目を細める。


「絶対すぐだよ?明日だよ!?」


「いや、それは無理だろ。ちゃんといい子にして待ってろよ?」


 そう言って、フリーズしている家族達を引っ張ってゲートへ向かった。




「晶…お前、今月いっぱいで会社に来なくていいぞ」


 その日の晩飯の時、珍しく同席してる親父がいきなり言いやがった。


「ちょ…はっ?なに、僕クビ?なんかした?」


 いきなりの展開に、動揺して箸を落としてしまった。三秒ルール!セーフ…。


「会社の都合での退職にしてやるから、退職金も用意してやる。職業安定局に行けば、失業保険もたぶんくれるだろうから、当座のこっちでの生活には困ることはないだろう」


「だから、話が見えないって!」


「晶、お前は向こうの世界に行け」


 親父が静かにそういうと、重苦しい晩飯の空気がさらに重くなった。


「いや、なんでだし。今まで通り、向こうもこっちも両方上手くやるし」


「順子が、エリーさんから聞いた話を、私も聞いた」


「…順子?エリーとなんの話をしたんだ?」


 別に怒っているわけでは勿論ないが、僕の視線に順子が黙って俯く。


「お前、あっちの世界で何度も死に掛けているらしいな?」


「いや、そこまでいってないけど…エリー、あの馬鹿そう話したんだ」


「それに、軍部に所属して一度は軍を率いているそうだな」


「あの馬鹿…あとで説教してやる」


「これはあの会見でも言っていたし、あちらの国王様にも聞いたことだ。エリーさんではない。なんでもかんでもあの女の子に押し付けるな」


 うっ…。


「お前はもう大人だろう?私の会社とあちらの軍隊、両方とも片肺で上手くいくと思ってはあるまいな?はっきり言って、そんな者うちの会社にはいらん。迷惑だ」


 そこまで言われると、ちょっと涙目になる。そんな言い方しなくてもいいだろ、馬鹿親父…。


「あなた、何もそんな言い方しなくても…」


「里美は黙っていなさい。晶…聞け」


 半ばいじけて魚をほぐしている僕に親父は口調を変えて話し続ける。


「私も何百人の上に立つ人間として、受け入れるべきところは受け入れる度量はあるつもりだ。晶、お前はあちらの世界に必要とされている。お前と話す、国王様やエリーさんを見ていればわかる。あのとき戦っていた若者も、軍部のお前の友人ではないのか?晶、認めろ。お前の居場所は、あちらだ」


「でもさ、こっちだって家族とかいる世界だし、僕の世界だし…」


「なに、あちらに行ったって、別に今生の別れではないだろう?世界が違うだけで、お前が学生時代に一人暮らししていた時と変わらん」


「そうね…」


「お袋…」


「それに、こうでもしなきゃお前は動こうとしないだろう?」


 親父はそう言うと、それっきり食事に集中してしまった。


「晶、エリーちゃんと結婚式するときは呼ぶんだよ?」


「なんでそうなるんだよ、姉貴」


 溜息をつくと、順子が驚いて姉貴に訊ねる。


「えっ!?お姉ちゃんわかるの!?」


「あんたみたいにエリーちゃんと話してはないけど、まぁね。見てればわかるわよ。あんな可愛い子がどうしてこんな馬鹿晶に惚れてるかわからないけど」


「ブフゥッ!!」


 …味噌汁を思いっきり噴いて、そしてむせた。何を馬鹿なことを言ってるんだ。


「ちょっと、お兄ちゃんに失礼だよ?お兄ちゃんいいとこいっぱいあるんだから」


「ガハッ」


 立て続けに二度も噴かせんな。喉が…痛い…。


「主、着実に外堀が埋まっておるな…。エリーは実はもの凄く頭が切れる子なのではないか?ここまで計算に入れてるとは…」


「…んなわけあるか。つうかなんの計算だ…」


「主…本当は気づいていて、あえて目を逸らして気づかない振りをしているんではあるまいな?少しでも長くチヤホヤしてもらおうと」


 …無言で醤油差しを手に取り、ポタポタとダービーに一滴ずつかける。


「塩分はらめぇぇぇ!!!中に!(装飾の溝から)中にキちゃうのぉぉぉぉ!!」


 うっさい。家族の前でらめぇとか言うな。ほらみろ、順子が赤くなって俯いてるじゃないか。家族と映画見て、濡れ場にさしかかった時の気まずい空気を味あわせるな。あと、醤油で痒い。洗うからお前取れろ。指を洗う邪魔だ。

 ダービーごとグリグリ指を洗い、部屋に戻った。ベッドから見上げるあまり高くない天井に、やけに圧迫感を感じる。そのくせ体は浮遊しているようで落ち着かない。


「エリーが僕を?…マジか?」

なんかタイプする感覚が久しぶりに感じます。それと先日友人に、「マテリアルの反対ってアストラルじゃね?」っと言われました。…序盤の設定からしてやらかしたぁぁぁぁぁ!!!別にさして使ってない設定だし、ゴリ押ししてやろうかなとも思いましたが、今後の展開にまた出てくる予定があるので訂正します。すみません。生まれてきてすみません。リアルに、くぁwsdrftgyふじこlp状態になるとは思わなかった…。

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