~第二十七話~Xデーその3
ども、白カカオDEATH!今日はコンビニの夜勤の日なので、親父の会社は早上がりです。この話執筆して最後に投稿ボタン押したとき、一度エラーで話のデータが飛びかけて嫌な汗をかきました。マジ心臓に悪い…。
魔剣、フレイム・タン。魔法装飾された装備品の中ではかなりの高位種に位置する。何振りか在るその大半はダンジョン等に封印されてあるが、稀に亜空間からの召喚もされる。
「なんだろ…すっげぇ楽しい」
グレンが目を輝かせると、その刀身から炎が立ち上る。
「おらぁ!!」
正眼に構えたそれを、剣の間合い外から振り下ろす。振り下ろした軌道上に、刀身から生まれた炎の奔流が押し寄せる。拙い!僕の後ろには(僕の攻撃で)動けないガラムがいる!結果、避けるという選択肢はなし。
「防ぎきれ!!」
何重もの土の壁を目の前に作り、その炎の荒波に備える。僕の手前、壁ホンの二枚でなんとかそれは止まった。
「おいおい…融解してマグマになってんじゃねぇか…どんだけ高温だよ」
「主っ!危ない!!」
背後に殺気を感じると、地面から霜を巨大な氷柱にした波が一直線に僕に向かってくる。
「チィッ!」
こちらは壁一枚でなんとか防いだ。魔剣の補助があるグレンに比べ、こちらはやはりパワー不足は否めない。
「グレン!!貴様ぁ…!」
「わり、テンション上がってお前いるの忘れてた」
生成した土の壁をキャンセルし、視界を広げる。わかっちゃいたけど、挟み撃ちだ。それも、相反する炎と氷の。これで同時攻撃されたら、どんな力場が生まれるかわからん。つうか、最悪水蒸気爆発起こすかもしれん。
「…先手必勝!!」
お返しに、こちらも土棘の波をお見舞いする。まぁ牽制程度だけど。
「しゃらくせぇ!」
「ふんっ!」
グレンの前に炎の壁が、ガラムの前には氷の壁がそそり立つ。
「なにも壁の魔法を使うのはお前だけじゃねぇぜ」
グレンの笑い声が聞こえる。壁自体は誰でも作れるに等しいが、その頑健さはその魔術師の知識、魔力、そしてイメージ力に多分に左右される。例えば炎の壁なら、分子の振動を激しく加速させるイメージ。そして氷なら逆に、あらゆる分子の動きを停滞させ、絶対零度に近ければ近いほど頑強な壁が出来る。どちらにしろ、かなりの魔力と知識が必要だ。二人のそれは、及第点を遥かに越えているだろう。
「まぁ…そうだろうよ」
「お主ら何をしておる!!!」
僕の苦笑と同時に、水の壁の向こうから球体を抱えたセラトリウス団長の怒声がかかる。更に同時に、水の壁が一瞬で消え失せる。
「えっ!?ちょっ…」
「主、団長が抱えているアレは、属性魔法のあらゆる事象を打ち消す相克の宝貝…『大極図』だ」
おい!封神演技で太上老君が持ってる、あのスーパー宝貝か!?こんな魔術師泣かせの武具を持ってたのか!?セラトリウス団長は!そりゃ団長の座にい続けれるわけだ。つうかアレも神代の話か。あるわけだ、この世界に。なんてったってあの話、最終的にみんな神サマだし。
「面白そうなことしてんじゃねーか!!俺も混ぜろや!!」
今度は反対側から、それも豆粒位の大きさに見える位の距離からマドラのおっさんの声が聞こえる。つうか、土煙上げてこちらに走ってきてる。………ん?なんか、飛んできてね?
「拙い!主、アレは雷槌|『ミョルニル』だ!!」
…オイ!!!北欧神話最強のトール・ハンマーなんてそんな危なっかしいもん味方に使うな!!それ、世界蛇ヨルムンガルド位しか防いだことねぇだろ!!即死攻撃だろ!!つうか死ぬ!死ぬ!!
先ほどの比ではない程の壁を生成する。…が、それで幾分か投擲の威力は軽減されたが、微々たるものだ。重ねた壁と壁の間に遅延の時間魔法を練っているにも関らずだ。音を立てて、次々と壁が割られていく。
「クソッ!僕のA(ありったけの).T(土の).フィールドでも!!」
「主、別に上手くもなんともない!!」
「つうかアレ、『雷』属性だろ!?なんで『土』で雷分だけでも対消滅しないんだよ!!」
「主っ!!来るぞ!避けよ!!」
最後の障壁を砕き、真直ぐこちらに向かって来る。
「…拙い!アクアリウスが!!」
僕のすぐ後ろには、水の壁がセラトリウス団長に解除され、丸腰のアクアリウスいる。雷のミョルニルに水のアクアリウスの相性は最悪だ。つうか、いくら神格とはいえ、アレを喰らえば最悪消滅する!避けるわけにはいかない。
「主!アクアリウスを戻せ!!」
いや、駄目だ。戻している時間がない。それより…。
「属性補正、全開!!」
全魔力を使ってでも、僕が受け止め護る!それしか間に合う選択肢がない!
「ああああああああ!!!!!」
全身に土属性で雷に対する耐性を強化し、さらに肉体強化をかけた両手で受け止める。それでも尚、破壊力は致死量なそれは僕を吹き飛ばそうとする。アクアリウスは神格ですら打ち砕きかねない猛威に、へたり込んでしまっている。
「駄目だ主!!主の体が持たない!!逃げよ!!」
体がミシミシと悲鳴を上げる。強化された感覚が、同じく強化されたはずの筋組織が断裂していく様を伝える。
「…堪るかっ…!こんなことでアクアリウスを失って堪るかああぁぁぁ!!!!!」
「主っ…!!?」
僕の中で、膨大な魔力が生まれるのがわかる。アクアリウスは、僕の僕だ!絶対…絶対にこんな馬鹿げたことで失っていいはずがない!アクエリアスが動けないなら、主人である僕が護る!!
「アキラ殿の我が同胞への想い、胸を打たれた。我が力を貸そう」
声が聞こえると、背後から光が溢れると同時に背中を支えられる感覚が伝わった。首だけ振り返ると、首から上が牛の、背中から戦斧が覗く腰蓑一枚の大男がいた。
「お前は…」
「我が名はタウルス。金牛宮のタウルスだ!」
タウルスが名乗りを上げると、さらに強大な力が背中から伝わった。
「「うおおおおあああああ!!!」」
ーーーズドンッッ!!
重く響く音と同時に、目の前の猛威が力を失った。無骨な槌が、僕の足元に突き刺さる。
「ハハッ…やった…ありがと、ミノさん…」
「…たしかに我の姿はミノタウロスだが、そのあだ名は色んな意味でやめてくれ。…ってアキラ殿!?」
久々に全ての体力を使い果たし、仰向けに倒れる。もう立ち上がる体力も残ってない。つうか、筋組織があちこち断裂しててすっげぇいてぇ。あーあ…空が青いなぁ…。
今回もバトル回でした。ちなみに封神演技も、史実が混ざっているとはいえ神代の話なので神話扱いにしました。藤竜版ではないです。好きですけど。このバトルがこんなに続くとは思ってませんでした。Xデー編、たぶん次話で終わります。たぶん…。それと大事なこと!5万PV4千ユニーク到達しました!本当にありがとうございます!