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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
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~第二十四話~キュートスと農業

本日二回目の白カカオです。さて、今回のお話は結構こういう異世界ものとかではベタな部類のお話です。今更ベタな展開ばかりなんだからとか思いますけど、念の為。まぁ晶にある行動をさせる為のお話なので…。

 迷いの森を攻略して早一週間。僕は未だにこの国でダラダラと過ごしている。何気にお城の生活って、いい感じにだらけれるし。軍部の方は、一日拘束される事もないし、僕の場合はダービーのことが周知の事実になっているので、魔法の事はむしろダービーに教えてもらっていることの方が多かったりする。最初の内ダービーは、何故か僕が力をつけることに難色を示していたが、なんか自己解決して教えてくれるようになった。初めから協力しれ。今は、城の一室。今日は軍部が半休日の為、カイム達と昼を済まして城でダービーに勉強をつけてもらうことにしたのだ。


「…では主。前回の復習からしようではないか」


 最近ではめっきり自分の声を隠さなくなっているダービー。しかしその場に居る女性に対して品のない事をいう時に限り頭に話しかけてくるので、なんか僕まで洗脳されかけてる気がする。率直に言うと、いい加減溜まってきてるのである。なので、こういう完全なオフの時はなるべく女性陣とは会わないようにしている。勢いでどんな事をするかわからない…程は限界ではない。別に性犯罪者の仲間入りしたいと思うほど僕は理性がすっ飛んでない。ただ、全部ダービーが変な事を言うから悪いのだ。妄想は自由。…たとえ、自分の首を絞めることになろうとも。


「おう。僕の現在黄道十二宮から呼び出せる神は二人。みずがめ座のアクアリウスと、獅子座のレオ。そして、例外的にヨグ=ソトースの一部」


「その二者が選択出来る理由とは?」


「アクアリウスは僕の生まれ、二月の守護神だから。レオは黄道十二宮の中心、太陽を挟んでちょうど反対側、つまり向こうで言うアクアリウスの位置にいるから」


「ふむ…正解だ。では、その二人の象徴とは?」


「アクアリウスは『知恵』と『探究心』、そして『美』。レオは『勇気』と『栄光』。あとは…『求心力カリスマ』?」


「…危なかったが正解だ」


「うへぇ…これ、あと十人分覚えなきゃいけないの?」


「まぁ被っているものもおるから、そこは安心するのだ、主」


「うーん…」


「では、次だ。主が現在その二人しか使えない理由は?」


「魔法を使った戦闘の、圧倒的経験値不足」


「うむ。正解だ。主の場合内包魔力量は規格外なのだが、経験が圧倒的に足りない。実績がない者には誰もついていかないからな。だが、緑竜の件とヨグ=ソトースの件で相当上がったとみて間違いない。もうそろそろ、天蠍(てんかつ)宮のスコルピオンと金牛(きんぎゅう)宮のタウルス辺りは出せるかもしれんな」


「マジか!?」


「かもをつけただろうかもを。それに主が思うておるよりこの世に神々は多く存在するのだぞ?日本神話に中国神話、インド神話、バビロニア神話、メソポタミア神話、ギリシャ神話、ローマ神話、ケルト神話、ゲルマン神話、スラヴ神話、北欧神話、エジプト神話、アステカ神話…ざっとメジャーどころを挙げたところで、これでも足りん。マイナーなところならインカ神話、ハワイ神話、あとは畑違いならクトゥルー神話とかな。国の数だけ、宗教の数だけ神は存在する。それにキリスト教やイスラム教の天使だって、この世界の創造主の配下、つまり使役対象になりえるのだぞ?まぁ創造主と天使は重複も多いがな。そして主、これだけは覚えておいてくれ。どんな宗教にも、どんな国にも、最上位の神が存在する。…稀にないものもあるが、ともかく。唯☆通信」


「おい…」


「なんだ?」


「電波挟んでないで、その『これだけ』を早く言え。さっきの神話の羅列で、頭痛い」


 …ホント、パンクする。こんなん全部記憶するのなんて、封神傍のリスト覚えるのよりきつい。クッ!あの話も中国神話モチーフか。オノレ…中国、恐るべし。それに我が日本だって八百万とかいうトチ狂った単位の神サマがいやがるじゃねぇか。僕にアカシック・レコードと同期でもしろっつうのか?この馬鹿指輪は!…助けてくださいヨグ=ソトース。今、無限の知識を持つ貴方の力が必要です。…マジでは願わないけど。一部であんなに苦戦したんだ。完璧な屈服なんて、無理。


「…そろそろよいか?主。我も悪かった。続けるぞ。唯一神や太陽神など、様々な呼び名があるが、それは全て創造主…クリエーターのことを指す名称だ。そして…創造主は、我を創りし、我の最初の主人でもある」


 ………。なんか、最後にさらっと爆弾落とさなかったか?こいつ。つまりは、この世界の原初から続いているコイツの主の末席に、僕がいると?その系譜を遡ると、この世界の創造主に辿り着くと?

 …本格的に頭痛くなってきた。おい、大魔導士どころの話じゃねぇぞ!?スケールが違いすぎるだろ常識的に考えて!!


「ダービー!!…一服」


「主…」


「とりあえず…消化して、理解する時間をくれ。お前の話、ちゃんと受け入れるから」


 そう言いながら、残り少ない煙草に手を伸ばす。窓枠に肘をかけ、部屋の外に煙を吐き出す。肺と頭に、沈静効果が染み渡っていく。


「…なんか、やけに街が騒がしくねぇか?」


 僕の部屋は窓が一つ。その窓は城外の平原を映しているのだが、ちょっと身を乗り出せば城下町の端位は見る事が出来る。当然、窓を開けていれば町の喧騒が耳に入ってくる。


「なんでも、南の海の漁業が画期的な方法で解禁されたから、その祝いだそうだぞ?」


 なんでお前は僕よりそこんとこの事情詳しいんだ。つうか、アレか。こないだの釣り大会か。なんか意外と経済効果あったのか。それに、こんなお祭りごとでも起こせば消費活動も跳ね上がり、経済の動きも活発になるだろう。結果オーライな政策だな、ホント。しかし…


「美味かったなぁ…魚」


 そう、意外に美味かったのだ。こっちの世界の魚も。あの後シェフや料理が出来る者に僕が見様見真似な魚の捌き方を教えたところ、鮮やかに彩られた刺身パーティーが始まった。…厳密に言えば醤油なんてこっちにないから、カルパッチョに近い形になったが、それでも充分満足のいく出来だった。


「くそう…寿司が食いてぇ」


 そういや、もう暫く向こうの世界に帰っていない。そろそろ、日本食が恋しくなってきた。


「そういや、この国の農耕事情はどうなってるんだ?ダービー」


「うむ…主の世界と比べると、天と地の差があるほど発展しておらん。こちらの世界の住人は、それほど食に関心がないのやもしれんが」


「なんと勿体無い!ダービー!早速国王と大臣にこのことを話すぞ!そしていつかこの国に、寿司の文化を広めるのだ!」


「主…無闇な文化の流布は世界のバランスを崩すと、こないだ自分で言っておったではないか」


「嗚呼、寿司…SUSHI…何という甘美な響きだ…禁断の果実に、勝るとも劣らない奇跡の産物…今の僕なら、ルシファーに騙されることも厭わない…」


「主…滅多なことを言うもんでない…主ならリアルに誘惑しにきそうだから、あの悪魔」


「寿司王に、俺はなる!!」


「えらくスケールが小さいな…。主はゴム○ムの実など食っておらんだろうに…。いや、これからの避妊具の使用頻度を考えるとある意味ゴム人間だが」


「五月蝿い」


ーーーゴスッ!


「あうっ」


「変態紳士があうっとか言うなっ」


ーーーゴスッ!!


「グボァッ!」



 そうして晶は早急に国王と大臣を呼び出し、マテリアルの世界と半マテリアルの世界の異文化交流の会議が僕の世界で行われることになった。最重要事項は、この世界で米を作ること。世界は、一人の男の食欲のせいで大きく変わろうとしていた。





「へぇー。お兄ちゃん、向こうの世界の人たち、こっちの世界に来るようになったんだね」


「あぁ…そうみたいだな」


 自分の世界に帰り、ある日曜日。久しぶりに順子の部活が午後からになった神谷家は、一家団欒で朝食を採っていた。テレビのニュースをつけていると、ベイン国王がこちらの世界の各国首脳達と握手をしている。科学と魔法は相容れぬものかもしれんが、科学技術を使わない農耕技術は双方に問題ないだろうとのことで締結したようだ。


「へぇー。あっちの世界のイケメンはどんなかなー?この王様も、案外渋くていい男だし」


 姉貴がニヤニヤしながらテレビを眺める。いや、実際は馬鹿もいいとこだぞ、あのオヤジ。オーラだけは無駄にあるけど。


「まぁ、実際顔はいいけど…馬鹿ばっかだぞ?」


「なんでアンタが知ってんのよ?」


 僕のぼそっと言った独り言に耳ざとく反応する姉貴。やばい、ちょっと無用心だったか?


「では、ここ日本では、H海道とN潟、そしてA田の三つの道県を交流対象とすることに決まりました」


 キャスターが原稿を読み上げる。まぁ稲作の技術が最重要事項だと、国王に言ったからなぁ。日本の代表的な生産地が選ばれることはなんら不思議ではない。不思議ではないのだが…。


「お兄ちゃんお兄ちゃん!A田だって!エルフさん見れるかな!?」


 ホッ…。順子の勢いで上手く姉貴の追撃を誤魔化せそうだ。


「うーん…どうだろうなぁ?A田って言っても、広いし」


「えぇー」


「最後に、ベイン国王から一言あるそうです」


 カメラが国王に向けられる。バストアップで大きく写される国王。


「この度は、こちらの世界とこのような交流が出来る事を大変嬉しく思っております。そして、この世界のある人物をマテリアルの世界と、半マテリアルの世界の親善大使として指名させていただければと思います」


 唐突な国王の物言いに、会見会場に喧騒が広がる。おい…まさか…おい待て!嫌な予感しかしない!!


「この世界…この国の交流指定地であるA田に住まいの、私の友人。そして我が国の軍部の要、護国騎士団の魔術師団に所属し、未来の大魔導士になるであろう男、カミヤ・アキラく」


「おいこんの馬鹿国王ぉぉぉ!!!!全部台無しだろぉがああぁぁぁ!!!」


 テーブルを跳ね上げんばかりの勢いで立ち上がり突っ込む。おい!流石にこの展開は予想できねぇぞ!!つうか何やらかしてくれてんだああああ!!僕にもこっちの生活があんだろうがあああ!!


「ちょっ!?…お兄ちゃん!?」


「…マジ?」


 お袋はと言うと、完全にフリーズしている。親父と兄貴はいないけど、速報扱いのニュースだからきっと知ってんだろうなぁ…。


ーーー主、あれだけならまだ同姓同名の線で誤魔化せたものを…はぁ…。


 言うなダービー…。溜息つきたいのも、僕の方だ。墓穴掘った…泣きたい…。

といことで、久しぶりに帰ってきました。そして…3万PV、3千ユニーク本当にありがとうございます!お気に入り登録も着実に増えて、それ以外にもユーザー登録してないたくさんの人がこの作品を楽しみにしてくれていると考えると、マジ感涙ものです。…涙腺弱いんで。これからもクリエーターを楽しみにしててください!でも人間って欲張りなもので、Pick Upされるにはどうしたらいいのかなとか、ランキング載りたいなぁとか、贅沢なこともちょっと考えてたりしてます(笑)でも先ずはファンになってくれた皆さんがもっと楽しめるように、もっともっと精進します!あと、神話の勉強もしないとなぁ…

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