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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
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~第十九話~迷いの森、攻略への布石その3

…はい、白カカオです。えぇー…今、帰りました。我ながらこの帰宅時間には驚いてます。現在零時半前。バイト先でたとき既に零時回ってたという…。あっあと最近自分のページっつうかこの作品のページの『一緒にお気に入りされてます』ってとこ見てたら、どうやらランキング上位のお作品や大御所さんのお作品と一緒に並べてもらってるみたいで…非常に恐縮してます。…なんかこんなこと書いたことある気もしますけど。いつか少しでも肩を並べれるように精進するんで、改めて応援してください。

 『ヨグ=ソトース』…あのクトゥルー神話に出てくる、クトゥルー、ハスター、ヴルトゥームの生みの親である『外なる神、アウター・ゴッド』。「全にして一、一にして全なる者」「門にして鍵」の異名を持つ神性。なぜここに…。


「拙い主!あの者達に防御を!耐性の低い者は、火脹れや組織の乾燥、骨の露出を起こしてしまうぞ!」


「ようはとんでもないダメージを受けるってこったな!アクアリウスッ!あいつらを守れっ!」


「イエス、マスター」


 急いでアクアリウスを召喚する。なんか呼ばれ方変わったか!?…なんて細かいことに突っ込んでる場合じゃない!僕の魔力の半分を、アクアリウスへ!


「主!それでは自分の分が!」


「おぉぉ!美女キタコレ!」


「あぁ、女神さま!」


「こら!お前ら腰折んな!そして伏字にするのも場面的に微妙な発言すんな!」


 …あいつら、案外余裕だな。やっぱ魔力の供給、減らしてやろうか。


「マスター、なんか、あやつらあまり相手にしとうない」


 僕の後方で水で出来た半球の護封壁を張り続けながら、アクアリウスが乞うような視線を飛ばしてくる。


「奇遇だなアクアリウス。僕もちょうど似たような事を考えていたところだ」


 でもこれで万が一あいつらに何かあったら、後で面倒なことになりそうだしなぁ…。訴訟とか裁判とか、通報しますたとか。しょうがないから第一優先で守ってやる。自分の為に。


「なぁ、ダービー」


「なんだ?主」


「あいつ、神性だろ?僕の?お前の?力に取り組んでやろうかと思うんだけど、どうだろ?」


「なっ!?」


「出来ると思うんだけどなぁ…あいつは時間と空間を自由に行き来出来る門の神性。僕は時の属性を持つ魔術師に、お前は神を従える指環。やってやれない事はないと思うんだよね」


 周囲にはヨグ=ソトースと僕の間に行き来する膨大な魔力で、局所的に暴風が起こっている。魔道嵐というべきか。イメージ的には、赤い着流しの某ニート侍が時々剣気とやらで起こす、アレ。これで僕とダービーのこの会話があいつらに届く前に霧散させている。まぁそういう世界に今から連れて行くんだから、聞かれたところで特に何も無いけど。ゲート(?)開くとこ、見せちゃったし。


「そんなこと!今までにそんな無茶苦茶なことした主はおらぬ!危険過ぎる!」


「今までは…だろ?じゃあダービー。今まで時と他の属性を同時に持って、膨大な魔力を持った主はいたか?」


「ぬぅ…」


ーーー確かにここまでの魔力を持つ主はいたことはいたが…ここまで設定が規格外の主はいなかった。


「緑竜が、教えてくれた気がするんだよ。神に近い古代竜をも下す力を、僕は持ってるんだって。そんな存在を倒せる力を持ってるなら、お前を以ってして出来ないはずがない!」


 そう、僕の後ろには力を持たない者たちが脅威に晒されている。…あんなやつらでも、巻き込んだ以上僕が護らねばいけない存在。なら、こいつを倒さなければ護れないなら、きっと僕は出来る!やらなきゃいけないんだ!


「主の力が…上がった?」


 覚悟とは心の強さ。魔術の基本にして極意が心なら、今の晶に勝るものは無い。


「うおるああぁぁぁ!!!」


 一歩一歩、ヨグ=ソトースに近づいていく。魔力の嵐に負けない『心』が、宇宙規模の神性に負けない力を示す。歩くこと僅か数歩。ついに晶の手がヨグ=ソトースにかかる。


「あっ、が…ああああああぁぁぁぁぁ!!!!」


「主っ!」


「マスター!!」


 膨大という言葉が生温い程の力の奔流に触れ、アクアリウスに向けられる魔力が一瞬不安定になる。しかし涙目になりながら、持ち堪えると、残った魔力を自動(オート)でかかっている自分の防御の分までヨグ=ソトースに注ぎ込む。触れた手が火脹れする。


「主!何を!」


「なに、魔力に上限があるなら、逆にそれ以上の魔力は保持し得ない。パンクするってことだろ!?ならっ!パンクするまで送り込んでやる!触れて感じた!こいつはたかがヨグ=ソトースの一部だ!一部ならタンクの容量も小せぇだろ!やってやるよ!護る者がいる強さ、盲目白痴な神サマに見せてやるよっ!!」


 あいつらは確かに若干気に食わないとこもあるけど、こんな神サマの気まぐれで消されていい人間じゃない。ほら、なんだかんだ言って、心配そうにこっちを見てるじゃないか。悪いやつらじゃない。なら充分に護ってやる価値はある。護る為の戦い、僕の信念を懸けた戦い。この戦いで勝てないんじゃ、僕の意思が無価値になる。勝たなきゃいけない。ほうら、侵食が手首で止まっている。火傷ですら、この程度じゃ致命傷には到らない。僕は、負けてない。負けてないなら…勝つまで粘ってやる!


「いい加減諦めやがれっ!!この虹野郎がっ!!」


 ゲートに纏わり付いた触手のような腕が、鈍く虹色に輝く球体に変化していく。晶に魔力を送り込まれ、牛乳に酢を入れられたようにカタチが固定化されていくヨグ=ソトース。晶の力が、逆にヨグ=ソトースを追い込んでいた。


「跪けぇっ!!僕は魔術師アキラ!!ヘブンズ・ゲートを従え、大魔導士になる男だあああああ!!!」


 渾身の魔力を込めると今までの圧力が一瞬膨れ上がり、嘘のように退いた。硬質の、野球ボール位の虹色に輝く球体が晶の足元に転がる。魔道嵐は霧散し、辺りの風景が正常に戻る。


「ヒトの想いの力…一部とはいえ、宇宙を覆う神性すら退けたか…ってんなわけあるか!!それで解決するなら人類皆スーパーサ○ヤ人化しておるわ!!」


 ダービーのツッコミが聞こえるが、例の如くドサッと倒れこむ僕。今回は、奇跡的に意識は保っている。




「マスターッ!」


 アクアリウスが、忘れていたかのように今護封壁を解除し、僕の元に駆け寄る。


「こんな無茶をして…寿命がいくつあっても足りないわ。私、寿命ないんですけど」


 そう言いながら、僕に回復魔法をかけてくれる。そういや無我夢中で感覚なかったけど、最終的に下腕半ばまで侵食を受けていたらしい。ある所は火脹れし、ある所は著しく乾燥し、骨も見えんばかりになっている。我ながら痛々しい。こんな状態でも指輪はしがみつく様に指を離さない。相当だな、ダービーも。そういや、シャウトしっぱなしで喉も痛い。


「我の魔力も分ける。これで体力も歩ける程度には回復するでしょう」


「んっ…サンキュ」


 何故か知らんが僕が治癒を受けている間、円卓の馬鹿共が羨ましそうにこちらを見ている。ちなみにその僕の状況は、仰向けに倒れている僕にアクアリウスが跨り、僕のシャツを捲くり剥き出しにした胸に手を当てている。アクアリウスの格好は素肌に薄布一枚。…入ってはいない。断じて!入ってはいない!


「あのさ、アクアリウス?もうちょい違うやり方があるんじゃないかな?」


「ふふ、マスター?直にマスターの体に触れるほうが、マスターを感じられ、奴隷である我も力を発揮出来るというものよ?…んっ。あっ…」


「馬鹿タレ!!紛らわしい表現と声を出すな!!」


「はぁんっ!マスターの、凄い…力抜けちゃう…」


「主…人間やエルフだけでは飽き足らず、ついに神まで手篭めにしたか…」


 …僕はそっと、しかし有無を言わさぬ強制力で馬鹿アクアリウスを還す。変態ダービーは、傍に転がってるヨグ=ソトースの球体にガンガンぶつけてやる。


「主!おぐっ!あるじゃ!悪かった!悪かった!許してくれ!ぶへぁ!」


 ほうら、硬質化したヨグ=ソトースは痛いだろう?もう、主に逆らう気も失せるだろう?


「うぅ…神器と神性をこんなに雑に扱う主は初めてだ…」


「自業自得だし、逆にお前が今までこういう目に遭わなかった方が不思議でならない」


 ふと視線を向けると、円卓の馬鹿共が何かを必死に耐えるように前屈みになっている。ときどき、オゥフ!とか言ってるけど、あえてシカトする。もういいよ、このくだり…。


「思わぬことに時間を食った。おい、そろそろ行くぞ」


 時間は九時を回ったあたり。あの戦闘がたった一時間弱の間の出来事ということに驚きだが、そろそろ行かないとまたエリー達に迷惑かける。アクアリウスが馬鹿なことしたせいで回復は中途半端だけど、歩けない程ではない。


「うっ…某はもう既にいっているござる」


 …黙れ。こいつらヨグ=ソトースはともかく、「女」にも耐性なかったのか…。いや、わからんでもないけどさ。もうなんか、ダービーが話してることになんらリアクションしてこないし。しゃべる指輪よりそっちの方が衝撃的だったか。んっ?そういや、


「なぁダービー。こっちって、基本的に魔法使えないんじゃなかったっけ?」


「アレは非常事態だったゆえ、我の力の一部を開放し、一時的に限定解除した。この世界にとっては不自然な事だから反発が強く、それだけで精一杯だったが」


「なるほど。だからアクアリウスに魔力送った時、相応にしか供給出来なかったわけだ」


 納得してヨグ=ソトースを無造作にバッグに放り込むと、半ば強制的に後ろの野郎共のケツを叩き正常化したゲートを潜った。




「おかえりなさい…アキラ」


 前回と同じ轍を踏むものかと身構えた僕に反して、エリーが落ち着いた微笑みを向ける。調子が狂う。何かあったのか?


「あぁ…ただいま」


 んっ?ただいま?これは挨拶が違くないか?僕はこっちでは食客だぞ?…護国騎士団には所属してるけど。


ーーー細かいことはいいではないか、主。故郷は幾つあってもいいものだ。


 んっ…そういうもんだな。ってダービーがまともな事を言ってるぅ!?本格的に何かあったか!?


「私は千里眼で先ほどの戦い、全て見ておった。アキラ君…大したものだ。アキラ君の勲功、君の帰りを一番首を長くして待っていた愛娘には教えてやっても、構わなかったろう?」


 僕に近づいてきた国王まで、落ち着いた面持ちで話しかける。これはマジで天変地異の前触れか!?


「心配したんだよ?アキラ…緑竜こと聞いた時も、今回も…」


 あぁ、そういうことか。そりゃ悪いことをしたな。


「悪い。でも、僕は大丈夫だから。護るべき者がいればさ」


 涙を溜めているエリーの頭を優しく撫でてやる。エリーが僕の胸に顔を押し付けると、ようやっと後ろの面子に気が付いた。こないだ昼食を一緒に取った、四人。シーリカがニヤニヤしてこっちを見ている。こっち見んな。ココは…どうだろう?暗いし、長い前髪に隠れてよく見えない。

 すると突然、後ろから声を掛けられた。


「神谷三等兵…いや!お師さん!!」


 エリーにシーリカ、ココの姿を視界に入れた円卓の馬鹿共の目がキラキラ輝いている。ある意味純粋無垢な瞳で。

 …まず言いたい。お前らのどこがサ○ザーだ!!聖帝じゃなくて童帝だろうがお前らは!いや、確かに『(二次元への)愛深き故に(三次元への)愛捨てた男』だけどよ!


「アレが…アキラの世界の妖精…いや、違う…むしろ…オーク…」


 グレンはすっかり色を無くしている。だから言ったろ?期待すんなって。そしてその横で馬鹿笑いするカイム。ああもう!毎度毎度収拾つかねぇなこいつらは!


なんか前半部分が思ったより長くなってしまい、大変でした。それとクトゥルーについてですが、一応神話は神話なので組み込みました。なるべくバランス崩さないようにオリ設定などで調整していきます。そして…ようやくタグに最強とハーレムを入れる覚悟が出来ました。だってチートがとどまる所を知らないんだもん、主人公。そっちは書くつもりなかったんだけどなぁぁ…

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