~閑話休題~魚釣り
チーッス、白カカオッス。…すみません、調子こきました。生まれてきてごめんなさい。っということで、またかと思うかもしれませんがまた閑話です。ちょっと私生活で色々あって、メンタルの均衡を保つ為に今回は遊びに走ります。続き期待してた方、本ッッ当にごめんなさい。今回だけです。それと、もう一つお詫び。本編より時間が若干飛びます。敢えて明記はしませんが。それにより酷いネタバレとかはない…とは思うので、できればご了承してください。
「のうアキラ君。アキラ君の世界では、料理を作ると竜を召喚できるのかい?」
冒頭から何イってんだこの親父は。今、国王が僕の部屋に遊びに来ている。僕は国王と遊んでやっている自覚はないのだが、誰かとプライベートで一緒にいる感覚がいいらしい。アンタは彼女か。僕が放置プレイ決め込んで資料の整理をしている傍ら、国王は僕のベッドで漫画を読んでいる。こっちに滞在している間、気分転換になればと思って持ってきた代物だ。たまに国王は、マテリアルの世界の研究の一環とか大層なお題目を唱えては何冊か拝借…もといほぼ無断で持って行っては、次巻の催促をしてくる。迷惑以外の何者でもない。一回それについて言及したことがあったのだが、しょげにしょげて逆に面倒になったのでしかたなく許している。
「…はっ?何言ってんスか?」
「だって、ほら」
純粋無垢な瞳をかっ開き、本を開いて見せてくる。子供か。この親にしてこの娘あり。いや、最近エリーは気持ち大人びてきてはいる。どんな心境の変化かはわからんが、いいことには変わりない。お前も見習え。
「中○一番はフィクションだろーがー!」
まぁファンタジーな世界の住人に言う台詞でもないような気もするが。
「えっ?だってほら、背後に竜が…」
「一国の国王がだってとか言うんじゃねぇー!それは演出!竜が昇るくらい凄く美味いって演出なの!実際飛んでないの!」
「そうなのか…」
ちょっと、いやあからさまに残念そうの表情を浮かべる。あぁもうめんどくせぇ。
「そういや…刺身食いてぇなぁ…」
フォローするように絶対興味ありそうな話題を提供する優しい僕。…なんでフォローせにゃならんのだ。
「サシミ?」
「そう。JAPANISE SASHIMI。均等に切った魚の生肉に、豆で作った調味料をかけてそのまま食す!この美味さ、プライスレス」
「ほう、興味あるな。よし!海へ魚釣りへ行こう!」
「えっ?いきなり?」
…ということで、第一回、魚釣り大会が始まった。何故か護国騎士団フューチャリング国王家で。ようここまで来たよ。南の海までそこそこ距離あるのに。政治はどうすんだよ。それに全員分用意した釣竿と、数百隻もあるこの小舟も、明らかに無駄遣いだろ。国のお金の。
ーーーこれで刺身の美味さが広まったら、国の経済活動にもプラスになるからってことらしいぞ。主。
明らかにローリターンだろうが!刺身にそこまで過剰な期待すんな!
「これより、第一回護国騎士団大漁旗争奪大会~ポロリもあるよ~を始める。ルールは簡単。騎士団と魔術師団で分かれ、より多く魚を釣った方の軍部に、第三王女であるリーナスが夜なべして作った、愛情たっぷりの大漁旗を授与する。なお、一番多く釣った者には個人賞として、『ゴールデン・ウルトラ・スーパー以下略アングラー賞』を与える!」
ーーーうおおおお!!!ワーワー!!
何故か士気がグンと上がる。いや、いらないだろ。どっちも。大漁旗なんて、制作の半分以上僕が頑張ってたのに。エリーは途中からスヤスヤ寝息立ててたぞ。騙されるな皆。真実は言外しないけど。
逸る気持ちを抑えられず、スタートの合図も待たず小舟に向かって走り出す一同。いいや、僕はゆっくりで。小舟は一人一隻とはいかないので、僕はカイムとグレンと三人で沖に出る。始まって数時間…釣果、出ず。
「主、暇だ。何がいいのだ?こんなボーっとしてるのの」
ダービーが痺れを切らしたのか、声を隠さず話しかけてきた。
「ちょっと黙ってろ、ダービー。今僕は集中している。暇なら一人で小噺でもしてろ」
なんだかんだでかなりのめり込んでいる僕。人生何があるかわからないもんだ。
「つまらんのう。死ぬまで一回見てみたい、女房が膝繰り返すとこ。どうも烏蛇魔流です」
「お前、それはへそくり隠すとこだろ。なんだ膝繰り返すって。お前の女房は三○寿ばりに膝故障してるのか?それとも十回ゲームか?」
「主、なんだその十戒ゲームとは。モーゼか?」
「中身が想像出来なさすぎんだろ!」
「あー、懐かしいね、十戒ゲーム」
「あったのっ!?」
まさかのカイムからの口撃!アキラはふいをつかれた!
「俺んとこは川とか池とかの水割りすぎて、禁止令出たんだよね。こんな風に」
カイムが舟の鼻先から向こうの海を割る。どこの大魔導士様だ。遠浅の海底が根こそぎこんにちわしている。
「俺んとこはよく石版隠して遊んでたぜ…懐かしいな」
らめぇ!返してあげてー!その石版、人類にすっげぇ大事なモンだから!グレン、お前は人類に多大な罪を犯したんだぞ。つうかカイム、海を元に戻して!なんか露出した海底の向こうで黒い大きな何かがビクンビクンしてるから!…黒い大きな何か…だと…!?
「ピッピー!そこ!十戒ゲームは止めなさい!」
「やっべ!先公だ!カイム、早くしろ!」
「わかった!」
…どこに先公がいんだよ。つうかこの世界学校あんのか?…それより、なんで誰もアレに気づかないの?
「お主らのおかげで助かった。危うく天日に干されてくさやになるところだった。礼を言う」
「いや、当然のことをしたまでさ」
違う!このやりとりは致命的に色々違う!海を割ったのはお前だ、カイム!なに、さも困ってる魚に手を差し伸べたみたいなニュアンス出してんだ。お前、加害者!
「命の恩人には変わりあるまい。我が名はバハムート。海の覇者なり」
バハムート…だと…!?お前が、メ○フレアとか名前に改とか零式とかついたりする、あのかっこいいアレか?いや、ホントはわかってたけどさ、バハムートが実は魚だってことくらい…でもさ、わかってるけどさ…
「お前、でかい出目金じゃん…」
そう、ただのでかい出目金なのだ。しかもこっちに正面向いて話してるから、なんか、その…ごめん、すっげぇ気持ち悪ぃ。魚って、真正面から見るもんじゃねぇな。最後の幻想は本当に幻想だったらしい。ついでに言えば、カイムの海割りの軌道上にピンポイントでいるという不運っぷり。お前、本当にあのバハムートか?
「もし海でお主らが困ったことがあったら、吾に言うがいい。必ずや力になろう」
僕の呟きはあっさりスルー。驚く周囲に、和気藹々と話すカイムとグレンと、でっかい出目金。僕はというと、逆にこっちが死んだ魚の目をしている。
「じゃさ、今俺ら釣り大会してるんだけど、一匹もまだ釣れてねぇんだ。助けてくれよ」
…僕はこの現実が釣りであることを願いたい。してグレンよ、海の主にそれを頼むのは、どうよ?
「…承知した」
シェ○ロンのように、朝飯前だといわんばかりにドヤ顔して消えていく出目金。いや、決まってねぇし。
…ということで、第一回護国騎士団大漁旗争奪大会~ポロリもあるよ~は、バハムートのおかげで魔術師団が勝利した。物議はかもしたけど。そして『ゴールデン・ウルトラ・スーパー以下略アングラー賞』は、なりゆきで召喚獣もゲットしたカイムに輝いた。~ポロリもあるよ~の副題は、バハムートが海からポロリしたことにより見事成された。僕には、疲労感だけが残った。
第二回の開催は…是非自重願いたい。最後に、こっちの魚も意外と美味かった。
ということで、遊びに遊びまくった今回です。なんかすいません。そして是非言わなきゃいけないお礼が。3500PV、500ユニーク達成!本当にありがとうございます!こんな乱文お気に入りに入れてくれてる方や、評価してくれている方、次回を楽しみにしてくれている方。ホント竜が背後に飛ぶほど感謝!神レベルに感謝!もっと…たくさんしてくれていいんだよ?日本は八百万の神が住む国だから。…調子こいてごめんなさい。期待に応えれるシャーマンになります。