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クリエーター  作者: 如月灰色
《第一章 二つの世界》
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~第十二話~バリアスの攻防その2

おそばんわ、白カカオです。バイト先の先輩とダベってたら、いつの間にかこんな時間に…。でもまぁどうせ不眠気味だし、突っ走らせてもらいます。そしてやっぱ女ってこえぇ…そう思いました。しばらく彼女はいいや。今でさえクリエーターとかバンドとかで充実しまくりで時間が足りないのに、そんなもの作ったら過労死する。つっ、強がってなんかないんだからねっ!

 僕はどうやら数分ばかり気を失っていたらしい。たぶん、血が足りないせいだ。倒れ際にガロンにああは言ったが、人間とエルフの血液は根本的に違うらしく、増血は不可らしい。まぁ人間同士でも血液型が違うと輸血も出来ないし、無理も無い話だ。


「シーリカ…状況を、教えてくれ」


 たったこれだけの言葉でも、息が絶え絶えだ。かっこわりぃ。


「あ、うん。じゃあ横になったままでいいから聞いてて。ここは北のはずれの鍾乳洞…って、それはわかるか。現在、ドワーフの生存者が四百余名。魔術師団約一千九百六十名、騎士団二千六百余名がここにいるわ」


「ちょっと待て、そんな入るのか!?ここ」


「うん。元の空間が結構広い上に、ドワーフが散々炭鉱で掘りまくった後だからね。まぁ…スペースはギリギリだけど」


 そうか、それなら一応は納得出来る。ガラリオン山脈に続いているここなら、掘削する余地は多大にある。まぁ…それでも四千人強が入っていることを考えると、驚異的な事には変わりないのだが。さらに、上の地盤も心配だけど。


「しかし…もうそんなに減ったのか…」


 魔術師団の二パーセント、騎士団に至っては三十パーセント近く人数が減っている。たしかに魔術師団に比べ、自分の身を矢面に立たせる騎士団の方がはるかに危険な目に遭っているのはわかる。が…作戦開始初日でこうも消耗するものなのだろうか?戦況は、僕が聞いているよりもずっと悪いのかもしれない。


「アキラ?たぶん誤解してると思うから先に言うけど、戦死者数は二十一名よ。この作戦の規模でこの人数は上出来の部類だわ」


「えっ?だって今ここにいるのは…」


「これ見て」


 シーリカがこの鍾乳洞と周辺の地図を広げて見せる。


「ここの鍾乳洞の出入り口は東西に二十箇所。そのうちこの集落に隣接しているのは四箇所。今言った人数に含まれない騎士団員と魔術師団員は、その出入り口の周辺の警護に廻ってるわ」


 …唖然とした。地図を見れば、ここはガラリオン山脈のセラス側のかなりの部分に渡って伸びている。寧ろ、山脈の長さとほぼ同じと言っていい。


「つまり、後ろさえ気をつければ逃げ放題ってわけか」


「そうも言ってられないのよ」


「?」


「山脈の脇には、鍾乳洞とほぼ同じ範囲の広大な森林が広がってるでしょ?」


 ふむふむ。確かにバリアス以外の全出口が森林部分と重なっている。


「第一の問題はここ」


 シーリカが地図でのバリアスの右、すぐ東側を指す。


「ここはセラス側でほぼ唯一と言っていい、緑竜ランド・ドラゴンの生息地なの」


 ゲッ!たしかこないだ資料で見たぞ。確か古代竜エンシャント・ドラゴンの一種で、比較的温厚な種だったはずだけど…あくまで『比較的』で、亜人にとって脅威であることには変わりない。それに、緑竜は他の下位のドラゴンも従属させてた気が…。そんなとこに残りの出入り口の内の十箇所、六割弱が集中している。


「じゃあ、こっち側なら…」


 僕が残りの出口バリアスの西側を指差す。


「こっちはこっちで、妖精フェアリーの中でも最も排他的(偏屈)な人たちが住む、『迷いの森』。それも森のこっち…北側からの生還者は…ゼロ。せめて南側からなら、妖精の気まぐれか何かで脱出出来たって報告も数件あるけど」


 なんという八方塞り…。どっちにしても絶望的じゃないか。今からゴブリンやらオークやらを蹴散らしてバリアスから帰った方が安全なんじゃないか。


「で、現状に話を戻すわね。敵勢の数は、セラトリウス団長の千里眼によりこちらより二割半多いことがわかってるわ。そして…向こうにロードがいることも。で、こっちは鍾乳洞の出口が狭くなってるせいで相応数の出撃が出来ない。下手に警戒範囲を広げると、いざ鍾乳洞に撤退するときに余計な犠牲が出る。それに幸い敵はこっちの存在にまだ気づいてない。下手に大人数で警らしたら、薮蛇になる危険もあるからね。それで入り口を崩されたりしたら元も子もないから、今警らには騎士団の精鋭が出ているわ」


「状況は芳しくないな…」


「えぇ。突然の襲撃だから食料の問題もあるし、上部も今日様子を見て情勢が不利なままなら、東の森からの脱出を視野に入れてるわ」


 「東のって…緑竜の森か!?」


「そう。幸か不幸か、出口の範囲は広くなってるし、緑竜自体の活動範囲はそこまで広くない。当たったとしても確率的に高くてせいぜい、十分の三、四くらいだわ。実際は護国騎士団を二つに分けて全軍まとまるよりは動きを目立たなくし、最悪ドワーフの生存を最優先として、片方をデコイにして逃げる方法もあるわ」


「動きを目立たなくするための数字が二つの意味は?もっと多くバラければ、さらに目立たなくなるんじゃないの?酷い話、出口十箇所分に分ければ、どこかは必ず緑竜に当たるけど、その分確実に時間稼ぎになる」


「部隊一つにつき五百弱人くらい…アキラ、普通ワイバーン一匹を討伐するのに用意される人数は何人だと思う?」


 ワイバーンとは、小型の竜の亜種だ。竜程力や魔力、知能はないが、攻撃的な性格と機動力、小型ゆえの小回りの性能は一個体としての他の種族のレベルをゆうに凌ぐ。


「魔術師や、飛行種だから弓兵も必要だし…二十くらい?」


「正解は三十。ワイバーンでさえ、一匹に一小隊動かす程手ごわい。竜はその数百倍…文字通り、レベルが違うわ。緑竜の森は、ワイバーンとかの亜種だけじゃなく下位の竜まで生息している。半分という数字は…ここまで騎士団員を費やして尚、最も安全な数字なのよ…」


「じゃあ、全軍まとまるとか」


「馬鹿。そんなの竜の息吹ブレスでも狙い撃たれれば一撃で全滅よ」


 そっか。駄目だ、血が足りなくて頭が働かない。何にせよ、出発は明日だ。とりあえず頭が働かない今、せめて休息をとり明日に備えるのが先決だろう。明日、緑竜の森なんて物騒なところで皆に迷惑かけたくないし。シーリカに礼を言うと、最後の文字を発した瞬間眠りについた。



 翌日、これ以上状況が好転しないと判断したセラトリウス団長は、緑竜の森への出向を取り決めた。こういう時に外れクジを引くのって、だいたい僕なんだよなぁ。はぁ…悪い予感しかしない。

すみません、頭が働かないのは僕でした…。執筆中に何度も舟を漕いで、あげくただの説明回で終わらすとか、ホントすみません…。後できちんと加筆修正します。…寝よ。

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